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『第三十三話』
自動ドアをくぐると、人気のない店内で、レジカウンターに立つ須藤さんと真っ先に目が合った。
「もう大丈夫そう?」
少し心配そうな顔で、唐突にそんなことを聞かれた。
「え?」
なんのことかわからず、聞き返す僕に、店長は当然のような口ぶりで答える。
「テールちゃん、風邪なんでしょ?」
「…………は?」
聞いてないぞ、そんな話。
*
実家のインターホンを鳴らすと、すぐに戸が開き、テールのお母さんが顔を出した。
「……ごめんねぇ、心配かけちゃって。あの子、熱出してずっと寝込んでてーーーー」
「ーーーーそれで? テールは、今、どこに!?」
遮るように問いつめると、テールのお母さんは、困惑した様子で僕を見上げた。
「え? ……もうそっちへ戻ってるんじゃないの?」
その言葉に、僕は青ざめる。




