『第二十七話』
夏の甲子園も終わり、セミもぱったり鳴かなくなって、世間様は途端に静かになった。
とくにやることもなく、自室の椅子でうだうだ暇を持て余していると、ふと、本棚の上の写真立てが目に留まる。この前行ったプールのときに撮った写真だ。左から、僕、長谷川、テール、須藤さんという、なんとも複雑な順番で並んでいる。
長谷川の視線が須藤さんの方へ向いているのがなんだかおかしかった。須藤さんの水着は、横にスリッドの入ったミニスカートに、セパレートの茶色いビキニだ。
一緒にテールを探している間、目のやり場に困ったのを覚えている。テールと合流してからは、そっちへちょっと視線をやるだけでテールにほほをはたかれた。
ちなみにテールは、前に着ていた花柄のセパレートで、やっぱりこっちも目のやり場に困ったけど、長谷川は終始須藤さんに夢中でそれどころじゃないみたいだった。僕らと別れたあと、長谷川と須藤さんは珍しく一緒に帰った。
あれ以来、なんとなくテールに避けられている気がする。というより、テールはなんだか怒っているみたいだ。なんでかは知らないけど。
「……スケベ」
振り返ると、少し開いた扉の隙間から、テールがこちらをのぞいていた。
「え? あっ、いや」
意味に気づいて慌てて弁解しようと立ち上がると、テールはぱたんと扉を閉めて、お風呂場に引っ込んでしまった。
テールがシャワーから上がったら、たまには何か、ごちそうしようかな。




