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酒だっ!酒持って来いっ!向かい酒だっ!ツマミも忘れるなっ!

らちが明かないので、『』を異世界語。

「」を日本語と、分けさせて頂きます。

それを念頭に、良ければどうぞ。

練兵場より緊急脱出したリリコは、近くの草むらにて、マーライオンの如くリバースしていた。


「ぐへっ…んぎゅっ…うぼえ~~~~~~」


辺りに余り聞きたくない音が響く。

後を追って来たヴィルヘルムが、優しく背中を撫でてくれる。

但し…上半身裸で……。


暫くリバースしていると、徐々に吐くものが無くなって行き、呼吸が安定してくる。気持ちの悪さは健在だが…。


「もう、出ません。大丈夫です…」


言葉は通じないと分かってはいるのだが、つい言葉を掛けてしまう。

リリコが蒼白い顔色で、頑張って笑顔を浮かべると、ヴィルヘルムが顔に張り付いてしまった髪の毛を、横に払ってくれる。


ヴィルヘルムの方が、辛そうな顔をしながらリリコを抱き上げて歩き出す。

練兵場の裏手に砦に入る扉があり、ヴィルヘルムは行儀悪くも、足で扉を開け放ち通路を進んで行く。


段々と薄暗くなって行く通路を進むと、茶褐色の扉が見えて来る。

ヴィルヘルムが扉を軽くノックすると、中から声が聞こえてきた。


『おう、入って来いや~』


『失礼します』


ヴィルヘルムが扉を足で上手に開けると、室内に居た頭から紙袋を被った人物、その名もジョニーが楽しそうに喋りかけて来る。


『ヴィルよ~?やっと結婚する気になったんだろ?お目でとさんっ!男が好きって噂が払拭されたようだぜ?良かったな?』


『っ………。まだそんな下らない噂があったんですか?あれほど違うと言ったのに……』


『ギャハハッ!慌てて否定するから、逆に怪しいって噂されんだよ!もちっと、ドッシリと構えてりゃいいのによ?』


『……そうですね…って、結婚!?だっ誰のですか?』


『お前のだろ?』


『へっ?俺のですか?まったく…何処からその様な話が出て来るのやら……』


ヴィルヘルムが情けない表情を浮かべて肩を落とした。


『あん?お前が今、腕に抱えてる女が噂の元なんじゃねぇの?』


ジョニーはヴィルヘルムの腕に抱えられたリリコに顎をしゃくってやる。

ヴィルヘルムはその事に今気付いた様で、慌ててリリコを下ろした。


『気付いていたなら教えてくれても良いのに……』


『ハハハッ…甘えんじゃねぇよ?』


ジョニーは甘やかさない主義の様である。


『にしても、さっきから何も喋らないがこの女どうした?』


『ああ、そうでした…。どうやら具合が悪い様でして、ジョニー先生に見て貰いたいのです』


『あん?そうだな…顔色が悪いな……んっ?この女酒臭いぞ?二日酔いじゃねぇか?』


『ふ…二日酔い…。病気では無いのなら、良かったです』


『うむ。直す方法もちゃんとあるんだぜ?』


『どうするのですか?』


『酒だっ!酒持って来いっ!向かい酒だっ!ツマミも忘れるなっ!』


『わっ…分かりました』


返事をしたヴィルヘルムは、勢いよく部屋から飛び出して行った。

部屋に残されたのは、具合が悪いリリコと口の悪い紙袋男ジョニーだけになった。



リリコ自身は気持ち悪いのと、初めて会った紙袋を被った変人と一緒の部屋に居る為、気分が更に悪くなって居たのだが、言葉が通じていないので何故ヴィルヘルムが勢いよく部屋から飛び出して行ってしまったのか理由が分からず、困惑していた。



するとジョニーが、リリコに近づいて行く。

リリコの近くで止まったジョニーだったが、いきなりリリコの頭を掴む。


「きゃっ!何するのよっ!ウップ……」


『ふむ。やはり何を言っているかは不明だな…。この国…ましては隣国の言語ですらねぇな…。しかも肌の色も蒼白いし…って、そりゃあ具合が悪いからか?瞳の色と髪の色が黒か……初めて見るな……』


ジョニーがリリコの頭を掴んだまま、身体検査をして行く。


『服は…チッ…ヴィルの上着が邪魔くさいな。所々破けてるし、ほぼ黒焦げだが……結構上質な服なんじゃねか?ただの民じゃねぇな……。異国の貴族を拐って来たとかか?』


ジョニーは自分が調べて分かった事をブツブツ呟いて居たのだが、言葉の通じないリリコには自分の頭を掴まれながら、呪文でも言われており、自分の頭が破裂するんじゃないかと、怯えて居たのであった。










新キャラ登場!ジョニー……安易な気持ちで名付けました。何故紙袋を被っているかは、いずれ分かる……筈。

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