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あら?何この状況?エルドラド?もしくは、阿鼻叫喚?

everythingボケ。いや、何でも無いっス。

リリコの眠りを阻害する、暑苦しい空気が室内を埋め尽くす。

ここは、国境警備隊が駐屯する砦の室内練兵場であり、年若くまだ尻に殻が付いて居る様な匕ヨッコ少年兵から、老齢で狡猾な歴戦の強者感漂う老兵が、共に汗を流しながら訓練に参加して居る。


と、そんな場所に寝かされた、リリコに安眠など出来る筈も無く、男達の野太い声と、剣撃の音、更には汗臭い体臭などが混ざり合い、とてつもなく寝苦しいのだ…。否!眠れないっ!!


「ぐはっ……。暑いっ!臭いっ!苦しいっ!」


リリコは飛び起きると、身体を低くしてゴロゴロと辺りを転がった…。

リリコが起きてまず思い違いをしたのは、自分が現在火事の現場にいると勘違いしてしまった事だ。

火事では体勢を低くして、煙りを吸わないように速やかに外に出る様にと、学んで居た為の行動であったのだが、そんな事など知らないこの世界の人間に言わせれば、物凄く奇異な動きをする変な奴といった目で普通は見られる所だ。



リリコは知らず知らず、自分の首を絞めて居た……………………と思いきや、実際は「可哀想に……」とか「あんな動きをしなければ、生きて行けなかったに違いない……」など、同情と憐れみの籠った目で見られている事に、本人は夢にも思って居なかった。


リリコは本能的に転がりながらも、目ざとく出口を発見し、ゴロゴロと転がりながら練兵場からの脱出を図るが、リリコをその場で抱き止める者が居た。

そう、ヴィルヘルムである。


「℃★◎∀@∞#¥☆%♀、¶¥◎¥※?」


何か質問をされているのは、ニュアンス的に分かったのだが、何を言っているかはリリコには依然分からない。


が、確かな事はひとつある……。自分を抱き締めているこの男は、最初に会った長身のイケメン男であり、現在も上半身が裸であると言うことである。


基本的に、この男は露出狂何だろうか?とリリコが考えて居ると、二人の周りに大勢の上半身が裸の男達が、ワラワラと集まって来る。



何ここ?ムキムキマッチョ好きには、堪らない……そう、エルドラド?それとも……暑苦しさ満点の阿鼻叫喚地獄?どちらかしら?げふっ……。

現実逃避をしていたリリコだが、汗臭い臭いに限界が来ていた。……近寄らないでっ!私に近寄りたいならば、せめてシャワー位浴びろっ!おえっぷ……。


酸っぱい何かが、込み上げて来る。リリコは、自分を抱き締めていた男の拘束を、高速で(ダジャレじゃ無い、決して)振り解くと、猛ダッシュで練兵場から逃げ出した。


後に残された者達は、一連のリリコの行動に度肝を抜かれ、唖然としていたがヴィルヘルムだけ、彼女の予測不明な行動に耐性があった為、急いでリリコの後を追って行ったのであった。



後に残された男達は、あのお堅いヴィルヘルムが、女を砦にまで連れて来て、その上抱き締めていたのに驚かされ、このまま二人で仲良くシッポリ消えると、予想して騒いで居た。

実に緊張感の無い国境警備隊の、姿がそこにあったのであった。





隣国とちょいちょい小競り合いをしていて、情勢不安定の癖に、楽天的な国境警備隊の男達でした。


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