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ヴィルヘルムも鈍いが、リリコも負けてない

書けた。ので投下。

手直しはするよ。

 イシェラス神を讃える言葉はまだマシだ。かくいうリリコも彼女(?)に結果的には救われたのだから。


 しかし、イシェラス神のヴィジュアルに関しては、コメントしづらいせいもあり、苦笑いするしかないのが現状である。

 延々と続くヴィルヘルムのイシェラス神を褒め称える話に、若干リリコが辟易し始めていると、またも唐突に部屋の扉が開いた。


「あん?お前らまだ居たのか……。医務室はイチャつく所じゃ無いから、即座に出ていけ」


 紙袋を被った謎の医者、ジョニーが疲れたように肩を回しながら入って来た。


「ジョニー先生っ!べっ…別に俺たちはイチャついて何て居ないぞ?」


 ジョニーは大きなため息を吐き出すとこう言った。


「ふぅ……。なら何でそんなに顔を寄せあってんだぁ?俺の目は節穴じゃねぇ!何をしようとしていたかなんて、一目瞭然なんだよっ!!」


 確かにジョニーの目は節穴では無いだろう。ただし頭に被っている紙袋に穴は開いている。

 リリコは内心その事に笑いが込み上げていたのだが、声や表情に出すのを必死に我慢していた。


 そしてヴィルヘルムの方は、イシェラス神の話に熱が入ってしまって、リリコの方に自身がかなり近付いていた事に驚いていた。

 自分の中に無意識にリリコに近寄りたいと、不埒な下心でもあったのだろうかと、自問自答を始めて考え込んでしまっていた。





 リリコとヴィルヘルムの両者が黙り込むなか、絶口調(絶好調)のジョニーは、毒舌ぶりを遺憾無く発揮する。


「あんだぁ?同時に黙り込みやがって……。二人でシンクロするほど仲良くなったのかよ?そりゃ良かったなぁ、おい?だがな、俺は仕事をしてきたんだぜ?空気を読んで部屋から出ていって、俺を休ませてくれるとかしないもんかねぇ?」


 ジョニーが心底面倒臭そうに文句を言うと、リリコとヴィルヘルムは同時に動き出して、同じ早さで部屋の外に駆け出していった。



 二人が出ていった部屋の中で、ジョニーはボソリとこう呟いた。


「あいつら行動が極端過ぎんな……。てか、扉は開けっ放しかよ……」


 リリコとヴィルヘルムは部屋を出ることに集中していたせいか、扉を開けっ放しで出ていってしまったのであった。






 ****





 リリコとヴィルヘルムは、お互い妙に息の合った動きで、ジョニーが居た医務室を駆け出して来たのだが、二人とも自分が相手と同じ動きをした事に驚いていた。


「「あのっ…」」


「「…………………」」


「うっ…ヴィルヘルムから、どうぞ?」


「えっ…リリコが先で良いよ?」


 二人はお互いに顔を赤らめ、モジモジとどちらが先に喋るか譲り合って居た。

 付き合いたての初々しい恋人同士の様なやり取りを、恥ずかしげも無く行う二人の背後に近付く影があった。その影の主はリリコを突き飛ばすと、勢いよくヴィルヘルムに抱き付き、甘い声を上げる。



「あ~んヴィルヘルム様~!!兵士の方々が怖い顔をして、村から出ていったので砦で何かあったのかと思い、心配で駆け付けましたのよ~」


「うん?君は確か…マロウ村の村長の娘…だったかな?そうか…怖がらせてしまったんだな?それは済まなかった。たが、そろそろ離してはくれないかな?」


 ヴィルヘルムは背中に抱き付いていた少女を、優しく引き離すと、突き飛ばされて地面に座り込んだままのリリコに、手を差しのべた。


「リリコ…ほら、お手をどっ…どうぞ?」


 リリコを立ち上がらせようと、自分の手を差し出したヴィルヘルムであったが、リリコが手を掴むとドキドキしてしまい、若干言葉の語尾に動揺が出てしまったのであった。



 そんなヴィルヘルムの様子を、驚きと共に見詰める村長の娘…シェリアの姿があった。

 シェリアはヴィルヘルムがこの砦に来た頃より、好意を寄せていて、何かとモーションを掛けていたのだが、一向に伝わらず悔しい思いをしていたのだが、今回は大胆にも背後から抱き付き、更に胸をヴィルヘルムの背中に押し付けてみたのに、慌てる処か冷静に離してくれと言われてしまい、砦のみならず村でも噂になりつつあったヴィルヘルム男色説が、誠であったか……と、考えた瞬間、ヴィルヘルムが顔を赤くしながら自分ではない人物に手をかしているのだ。そんなヴィルヘルムに勿論シェリアは面白く無い。

 そしてその人物はヴィルヘルムへ向かう時に邪魔であった為、シェリアが突き飛ばした変な格好の少女であった。




 シェリアが見詰める中、ヴィルヘルムの手を借りて立ち上がったリリコは、ヴィルヘルムにお礼を言いつつ、横に居るシェリアのとある一部分に目が釘付けであった。


 それはシェリアのババンッ!!と、擬音が出てきそうな位の立派なバストであった。

 悲しいかなリリコの胸は、寄せて上げるブラジャーを使用してやっとこさBカップといった具合なのに、彼女のバストは目算でFカップは確実なサイズであった。


 リリコは自嘲するように、鼻で笑うと自身の胸と、シェリアの胸を交互に見ながら、何を食べたらあの大きさになるのだろうか?ヴィルヘルムも小さいよりは大きい方が好きなのだろうか?と、しょうもない事を考えていたのだが、シェリアはそんなリリコの視線を勘違いしてしまっていた。


 リリコに鼻で笑われ、おまけに胸は大きいがその分、胸以外も結構肉付きが良い身体を、スレンダーボディのリリコにチラチラと見られ、恥ずかしさと嫉妬で頭に血が上ったシェリアは、我を忘れてリリコの頬を思い切り叩いてしまったのであった。



 バッチーンッ!!



「うぎゃっ!!」


 ドターンッ!!



 リリコはボケッと自身の胸について考え事をしていたせいで、反応が出来ず思い切り良いのを喰らってしまい、地面に逆戻りしてしまったのであった。しかしリリコが上げた悲鳴は、色気の無いこと甚だしかった。



「なっ!いきなり何をするっ!?もしや…村娘に化けた他国の間者か?いや、そうだとして…リリコを狙う理由が分からんが………」


 地面に倒れたリリコを、更に叩こうとしたシェリアを後ろから羽交い締めにしつつ、突然の凶行に戸惑いつつも、シェリアが凶行に及んだ理由を考えるヴィルヘルムであったが、理由にはサッパリ思い当たらなかった。自分が原因とは鈍いヴィルヘルムには、分かる筈ものないのだが。


「離してっ!狡い…狡いのよっ!!」


「何を言っている?訳が分からん……」


 バタバタと暴れるシェリアと、それを抑えるヴィルヘルムと、反応がないリリコの三人がこの場に居るが、新たな人物達が表れた。


「これは一体何の騒ぎじゃ?」


「さあ?痴話喧嘩とかなんじゃ無いの?面倒だから無視して部屋へ戻ろうよ~」


「いや、流石に止めないと不味いんじゃないかな?」


「ウム、ワシもシャンタルの意見に賛成じゃが…ルドガーは疲れてるのかのぅ?じゃったら部屋で休むと良かろうて……」


「べっ…別に疲れてる何て言ってねぇしっ!面倒っつっただけだしっ!」


「フォフォフォ…そうかのぅ?じゃったらほれ、ヴィルを手伝ってやらんか?」


「あん?あの優等生のヴィルが、問題を起こしてんのかぁ?ったくよぉ……」


「ルドガー……貴方にだけはヴィルも言われたくないでしょうね…」


「あんだと?シャンタル…てめぇ…やんのか、コラ?」


「ふふふ…私に勝てるとお思いですか?」



 いきなり出てきて、勝手に喧嘩を始めるシャンタルとルドガーであったが、もう一人の老齢な人物が二人の間に入り、ため息を吐きながら止めに入る。


「待て待て…はぁ~~~~。お主らは全く本当にのぉ…。血の気が多すぎじゃな?ヴィルを止めよと言ったのに、お主らが喧嘩を始めてどうするのじゃ…」


「だってよう……」


「うっ…。申し訳ありません……」


「言い訳は無用じゃ。お主らは黙って見ているんじゃな?」



 そう言うと、老齢な人物は驚きで固まってしまっているヴィルヘルムに近付くと、朗らかな声音で、


「それで?一体これは何の騒ぎじゃ?警戒体制は取っておけと言うたが、騒ぎを起こせとは命令しておらなんだが?」


 居るはずの無い人物に問い掛けられたヴィルヘルムは、驚いてつい名前を呼んでしまったのであった。



「ピッ…ピクシス団長…………」



 と。

































新キャラ出すぎて混乱します。自業自得ですけど。


今回でた人物のしょうもないメモ


シェリア→ヴィルヘルムに好意を寄せるボインちゃん。容姿も性格もソコソコ可愛い。ヴィルヘルム以外にはかなりモテる。しかし難攻不落のヴィルヘルムが好きとか。ドM疑惑あり。


シャンタル→上級貴族。でも国境の砦に赴任している、変わり者。丁寧な言葉遣いで冷静沈着だが、ルドガーが絡むと熱くなる一面がある。


ルドガー→やんちゃ…というより、粗暴。でも純粋で真っ直ぐな扱いやすい一面もある。ピクシス団長には頭が上がらない。育ての親だから。


ピクシス団長→国境の砦を預かる警備隊の団長。そして例の話のあの方ですね。神官からジョブチェンジしちゃった方です。


警備隊なのに、隊長とか副隊長では無いのには理由は無い。私が団長、副団長って書きたかっただけですので、突っ込み&悩みは無用です。考えるなっ!感じろっ!てやつです、Orz





















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