ジョニー視点の小話
何時もの事ですが、読みづらいと思います。頑張って下さい。
※本編では無いので、読み飛ばして頂いても大丈夫です。
俺の名前はジョニー……しがない医者だ。腕はそれなりに良い方だと自負しているのだが、王宮で働いていた時に上と揉めたら、全線の砦に左遷されたのだが、むしろ面倒な人間関係が無くて快適にすら感じる。
そんなに多くないが友人も出来たんだぜ…。自分の事なんだが、俺みたいに頭に袋を被った異様な風体の奴を、優しく受け入れるこの砦の奴等は、少し頭が弛いのかと、常々思って居たのだが、最たるものが今回の副大長のヴィルヘルム… ヴィルだ。一応隣国との砦の部隊の副隊長なのだが、隊の中でも一二を争うほど頭が弛い。そんな奴が拾ってきたのは異国の女であった。
砦中の噂になって居るのだが、何でもヴィルが休暇中に訪れた村の川の上流から流れてきたらしく、ビショビショに濡れそぼっており、言葉も通じないといった状態でヴィルに助けられたそうだ。
普通は他国の難民か、最悪刺客かと考える所だが、何を思ったのか甲斐甲斐しく世話をするヴィルに、俺の男の感が囁く。惚れたんだな……と。
俺が見る限りでは、目を閉じている顔しか見てないので、ハッキリとは言えないが、別に特別美人って訳でも無く、ヴィルに通じないモーションを頑張って掛けている、近くの村娘のライラの方が可愛いし、胸もでかかったと記憶しているが?
まあ、好みなぞ人それぞれだから何とも言えないのだが。
俺の砦での唯一の楽しみは、勤務時間が終わった後の晩酌だ。
あと少しで勤務時間が終わり、やっと酒が飲めるな…と、ボンヤリ考えていたら扉をトントン叩かれた。内心舌打ちをしつつ、返事をする。
「おう、入って来いや~」
俺が少しダルそうに入室を許可すると、噂のヴィルと、その腕に抱き抱えられている地味な容貌の女が、医務室に入って来る。
いっちょからかってやるか?
「ヴィルよ~?やっと結婚する気になったんだろ?お目でとさんっ!男が好きって噂が払拭されたようだぜ?良かったな?」
「っ………。まだそんな下らない噂があったんですか?あれほど違うといったのに……」
いやいや噂ってのは結構侮れないぜ?情報ってやつは幾らあっても困らねぇからな……。
「ギャハハッ!慌てて否定するから、逆に怪しいって噂されんだよ!もちっとドッシリと構えてりゃいいのによ?」
まあ、ヴィルにそれが出来たら、苦労しないよな。
「……そうですね……って、結婚!?だっ誰のですか?」
反応遅っ!?
「お前のだろ?」
「へっ?俺のですか?まったく…何処からその様な話が出て来るのやら……」
相変わらずヴィルの奴は惚けてんな。ま、平常運転だがな。理由にまったく気付いてない様なので、教えてやるとするか。
「あん?お前が今、腕に抱えてる女が噂の元なんじゃねぇの?」
さも今、抱き抱えているのに気付きましたって顔だな、オイ?マジなのか?
「気付いていたなら教えてくれても良いのに……」
「ハハッ…甘えんじゃねぇよ?」
恨めしげに見てこられたが、知らんし。
「にしても、!さっきから何も喋らないがこの女どうした?」
「ああ、そうでした…。どうやら具合が悪い様でして、ジョニー先生に見て貰いたいのです」
「あん?そうだな…顔色が悪いな……んっ?この女酒臭いぞ?二日酔いじゃねぇか?」
ヤバかった…危うく顔が悪いと言う所だった。正直者は辛いな。
「ふ…二日酔い…。病気では無いのなら、良かったです」
「うむ。治す方法もちゃんとあるんだぜ?」
「どうするのですか?」
「酒だっ!酒持って来いっ!向かい酒だっ!ツマミも忘れるなっ!」
「わっ…分かりました」
お人好しのヴィルは、ただ酒が飲みたいだけの俺の、適当な命令に従って、医務室の外へ駆け出して行った。
部屋には俺と女が残って居たのだが、女が、俺の顔の袋が気になる様で、チラチラと俺に視線を送って来る。
まあ、それは分からんでも無い。普通のなら不振に思ってもおかしく無い。
それにしても、俺の予想した通り、パッとしない容貌の女であった。低い鼻に小さい目、それに起伏の無い貧相な身体つきであった。ヴィルの好み、ワカンね。
だがヴィルは甲斐甲斐しく世話を焼いている様だし、女も満更では無さそうである。
お前らはお前らで、勝手にやっててくれ……。俺は俺で、やりたい様にやるからな。
甘い汁だけ吸って生きたい今日この頃。




