不公平
人間って不公平な存在だと思いません?
ねずみは嫌いなのにハムスターは好きだとか、ブサイクはムカつくけど可愛い子は好きだとか・・・。
もちろん私は後者の方なのだが。
そう、この世の中は結局可愛い生き物に支配されているに違いない。だから私は、頑張って「可愛い生き物」に近づけるように努力するのだ。
「おい。長谷川早く黒板消せよ。」
そう言われたあと、椅子を後ろに引かれ、私の重たいお尻が教室を驚かせた。
そんな私を見て、クラスの一部の人間はこう言う。
「何であんな豚になっちゃったんだろうね。」
同じ中学校の子達はきっと皆思っているはずだ。
元々痩せ型だった私は、中学の卒業式で好きだった男子に振られて春休みに一度も欠かさずやけ食いした結果、体重90キロを優に超えてしまった。
そして今でもやけ食いの癖は止まらず、日々太り続けている有様なのだ。
雄一あの時と変わらず、明るく接してくれるのは、親友の優奈だけである。
「ゆい、黒板消しといたよ。お尻大丈夫?」
私は思わず優奈の優しさに涙しそうになった。周りの男子はそんな優奈の可愛らしさにうっとりしている。
優奈は私が出会った中でも一番の美少女だ。
だけど私の苦手な「可愛い生き物」とは別格の特別な存在。
だから私には優奈がいてくれさえいればいい、
そう、ずっと思っていた。