オープニングというかなんというか、オープニングのもっと先の事だよね
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しっかりと糧にさせて頂きます!
「剣を構えろ、達也。またモンスターが沸いた」
セラさんは鬱陶しそうに前方を睨み、あごでしゃくって俺に指示をした。
俺達の視界の先には、腐臭を漂わせながら土の中から出現したアースゾンビ。
人間ベースのその体は、皮膚が所々削げ落ちチラチラと骨を覗かせていた。
言ってしまえば存在は不快そのものだ。当然そんなモンスターなんか斬りたく無い。
だから反論を試みるのだが、
「あの、たまにはセラさんが倒してくれませんか?」
「無理だ。敵のビジュアルが最悪すぎる。達也が倒せ」
と、長い黒髪を手でなびかせるだけでセラさんは腰に刺した長剣を手に取ろうとしない。
「見た目は人間だから斬るのに罪悪感があるんだよなぁ……」
俺は素直に諦め、嫌々ながらも腰から剣を抜いた。
深く嘆息してからジット前方を見つめる。ぺたん、ぺたんと
ゆっくり向かってくるアースゾンビに剣の照準を合わせ、上段構えで一気に
間合いまで踏み込んだ。振り下ろすと同時に肉の感触が刃から伝わる。
相変わらずこの感触は慣れないものだ。モンスターとはいえ一つの命を
奪うのだからむしろ慣れてはいけないのかもしれないが。
アースゾンビはうめき声をあげ地面へ倒れると、土になって消えた。
これがアースゾンビの最後。死ぬと土に還ってしまうのだ。
死体がそのまま放置されない分エコロジーかもしれない。
「よし、先に進むぞ達也。少し急ごう」
そんなアースゾンビの成れの果てにはまったく興味がないようで、
鬱蒼と生い茂る森の中をセラさんはさっさと行ってしまった。
「ったく、指示だけは一丁前なんだよなぁセラさん……」
「なんか言ったか?」
「はは、何でもないっすよ」
ギロりと睨みを効かせるセラさんを適当になだめて足を進ませる。
少し進んだ所で、また出現したのであろうアースゾンビの
うめき声が遠巻きに聞こえてくるのがわかる。
「達也、またお前の出番だぞ?」
「……セラさん、勇者だって自覚あります?」
「それはもちろん。私は優秀だぞ。だがアースゾンビの不潔感だけは受けつけれない」
「潔癖症か!勇者やめちまえあんた!」
「そういうな達也。お前の剣の腕前を拝見したいんだよ私は」
「都合が良いなぁおい!」
にわかに信じがたいが目の前のいる長身細身の黒髪少女セラ・ブルーネルは
この世界、ガルデンの勇者様だ。
そして俺、瀬川達也は勇者の側近としてここガルデンに招待されたのである。
だが働き的にもう俺が勇者なんじゃないかと。そう思えてきた。
大体なんで俺が勇者じゃないの? 小説、アニメ、漫画、映画、こういった物では
召喚、招待される側が勇者なのがセオリーだろ。それが側近て。なんやねん。
……そもそも何で俺はこの世界にやってきたんだ。