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紫をまとういと高き天使  作者: げんくう
第九章 中国
77/105

【司令官】

 オスプレイが、大正島のあった辺りの上空を通過すると、

副操縦士がジミー井上さんを呼んだ。


 戻ってくると、

「通信もレーダーも復活したみたいです。それから、基地からは、

気象庁の緊急地震速報で、尖閣諸島の海域で、巨大な地震が発生し、

魚釣島の辺りを震源地として、震度計が振り切られて、

計測不能の規模だといってます」


 眼下には、海上保安庁の巡視船が数隻、尖閣諸島に向かっているのが見える。


 やがて沖縄本島が見えてきた。すでにオスプレイは、ヘリ走行になっている。


 ジミー井上さんが、

「御覧の通り、普天間基地は、住宅の密集地に隣接していますから、我々としても、

早く移転したいのですが……」


「ジミー井上さん、あの建物は教会ですか?」


 ジャンヌは、普天間基地の敷地にある教会に気がついた。


「そうです、アメリカ合衆国は、キリスト教の国ですから」

「それならジミー井上さん、私、教会で、イエス様に感謝の祈りを捧げたいんですけど」


 それを通訳されたケリーさんが、目を輝かせ、是非自分も大橋さんと一緒に

神に祈りを捧げたいと言っている。


 オスプレイは無事に普天間基地に着陸した。


 ジミー井上さんから、しばし機内で待つよう言われ、

ケリーさんと先に機外に降りていった。


 おそらく尖閣諸島での出来事を、先に司令官たちに報告するのだろう。


 しばらくして機外へ案内され降りると、三司令官が迎えてくれた。

 三司令官とも驚愕の表情で、両手でガッチリ握手してくる。


「ジャンヌ天使様、ミッションお疲れさまでした」って通訳で挨拶された。


 ジャンヌは、

「ご配慮ありがとうございました。無事にミッションが終了することが出来ました。

 イエス様に代わってお礼申しあげます」


 ジャンヌの言葉が通訳されると、三司令官ともひざまずき、

胸に十字を切って低頭した。


「どうぞお立ちください。

 私は神のみこころのままに働かせて頂いただけですから」


 在沖縄海兵隊トップの、第三海兵遠征軍の司令官が、

「先程尖閣諸島での出来事を、ケリー少尉から報告を受けました。

 始めは信じられませんでしたけど、ジミー井上中尉も目撃していましたから」


「今回のミッションで、尖閣諸島を海に沈めたのは、イエス様をはじめ、

地球を守護なさっていらっしゃる神々様の決定事項でした。

 中国政府が、国の基本政策を、アジアとの友好を図るべく、

『下流方針』に方針変更しました。せっかく中国の指導者が、譲歩して、

日中友好を復活深化させようとしてきたのに、日本政府は、

相変わらず『尖閣諸島は我が国の固有の領土で領土問題は存在しない』と、

従来からの主張を繰り返してます。

 尖閣諸島が、日中両国との友好の妨げになっていましたから、

その源を絶ってしまわれたのです」


 ジャンヌの説明を通訳された司令官たちは、大きく頷いている。


 普天間基地の司令官が、

「ジャンヌ天使さん、魚釣島を震源地とする超メガトン級の巨大地震が発生した

との報道がありましたから、みなさんのことを心配しました。

 魚釣島への着陸許可を与えていましたから。

 そしたら、私の上官の第一海兵航空団の司令官が、これはきっと

《紫のリボンを結んだ天使》が、なんらかのミッションをおこなっているのだと」


 第一海兵航空団の司令官が、

「気象庁の緊急地震速報でも、マグニチュード12以上で、

計測不能の巨大地震の割には、この沖縄本土でも、

まったく地震の揺れを感じませんでしたから、

いくら400キロは離れているといってもですよ。

 それに震度計で地震が観測されたのは、尖閣諸島だけで、尖閣海域の外では、

石垣島でも地震の揺れは観測されませんでしたから」


 第三海兵遠征軍の司令官が、

「津波警報も100メートルを超える予測でしたから、私のところへ、

すぐに東京の駐日大使から電話があり、

八重山諸島や周辺諸島への被害状況の情報の収集と、支援活動の準備を要請されました。

 司令部でも、早速第二の『ともだち作戦』の策定に入るべく、

私に発動許可を求められましたので、一応許可を出しておきました。

 それから、日本の自衛隊と連携して救援活動にあたることも許可したところです」


「司令官閣下、東日本大震災のときは、皆さんの

『ともだち作戦』による救援活動、ありがとうございました。

 みなさんの活動を、当時テレビで拝見し、とても感激しました。

 今回も、早速心配していただき、ありがとうございます。

 しかしながら司令官閣下。今回のミッションでは、尖閣諸島の海域を、

光で封鎖して行いました。

 ですから、尖閣諸島の海域外では、海はいたって穏やかで、

津波の心配はまったく有りません」


 ジミー井上さんが、ジャンヌの言葉を通訳すると、三司令官は、

またこぞって驚愕した。


 第一海兵航空団の司令官が、

「それでですか。我々も、すぐに偵察機を尖閣諸島と周辺諸島に向かわせ、

次々情報が入ってきていますが、第一報は、海は穏やかで、

大正島が見当たらないとの報告でした。それから魚釣島も」


 俺たちと話してるあいだにも、司令官たちには次々と将校が報告にやってきている。

 ジミー井上さんが、先程日本の自衛隊も、尖閣諸島が消滅したことを確認し、

津波の発生はないことも、周辺海域はいたって穏やかだそうだ。

 自衛隊では蜂の巣をつついたような騒ぎになっていて、海上保安庁は今、

確認中とのことだそうだ。


 ここでゴリが、

「まもなく、尖閣諸島が消滅したことが明らかになり、公表されたら、

日本国中が大騒ぎに、いや、中国、アメリカだけでなく、世界中が驚愕するでしょう」


「尖閣諸島の海域が、日中の友好の海にすることが、神様のみ心ですから。

 今度は日本政府もきっと譲歩することと信じております。

 あ、それから、司令官の皆様の、アメリカの海兵隊も、

中国と仲良くして下さいますか?」


 ジャンヌの言葉が通訳されると、三司令官が一斉に頷いた。


 第三海兵遠征軍の司令官が、

「ジャンヌ天使さん、もちろんです。

 神のみ心が解かりましたから、早速ハワイの海兵隊司令部を通じて、

本国の海兵隊総司令官に、あの海域が、

米国も含めた友好の海になるよう働きかけます。

 海兵隊のトップは、安全保障会議のメンバーですし、

大統領とも直接話せる立場ですから」


「ありがとうございます。是非ともアメリカサイドからも、

日本が譲歩するよう働きかけて下さると有り難いです」


「わかりました。あ、いや、今回のミッションは、大統領も承認し、

応援していますから、早速ケリー少尉を本国に帰国させ、

直接大統領に報告に行かせます」


 ケリーさんが頷き、ジャンヌを見て微笑んだ。


 ジャンヌもケリーさんへ、

「ケリーさん、大統領にも宜しくお伝えください。

 大統領が、ケリーさんのお話と、イエス様からのレターを信じて下さったから、

今回のミッションが成功したのですから」


「わかりました。大統領も、きっとびっくりされるでしょう。

 実際に島が沈んでしまったのですから、

ジャンヌさんのミッションを信じると思います」


「そうですか、それからケリーさん、今回の司令官の皆様には、

大統領からのお願いに、充分すぎるほどご対応下さったと、

大統領にお伝え下さい」


「はい、わかりました。お伝えします」


「ジャンヌ天使さん、お心使いありがとうございます。

 それから日本への対応ですが、私の方も、駐日大使から、

日本政府へ働きかけてもらうよう依頼しますから」


「いろいろご配慮頂き、感謝でいっぱいです。どうか宜しくお願いします」


 ここでジミー井上さんが、

「ジャンヌさん、今回の件は、天の神の采配であると、信じることができました。

 だから我が国の大統領を動かし、司令官たちを動かしたんですね……」


 突然ケリーさんが興奮気味に、早口でジミー井上さんへ話しかけた。


「ジャンヌさん、ケリー少尉は、ジャンヌさんが、

ジャンヌ・ダルクの生まれ変りではといっていますが?」


 通訳されると皆、いっせいにジャンヌに注目した。


 ジャンヌは目を大きく見開いてケリーさんを見つめた。

 

 ケリーさんは瞬きもせずジャンヌを見つめ、明らかに期待の表情だ。


 ジャンヌは返答に躊躇してる。沈黙が支配し始めた瞬間、俺は、


「イエス! イエス ベリマッチ」と言ってしまった。

 

 すぐにゴリが、

「はい。ジャンヌは、まさしくジャンヌ・ダルクの生まれ変りです。

 ジャンヌは天界の決定により、地球の安寧と、世界平和の達成のため、

再び地上へ、今回は、この日本へ生まれ変わったのです」


 ゴリの言葉が通訳されると、ケリーさんは、

ゴリとジャンヌを交互に見つめながら喜び頷いた。

 三司令官も、三人で驚嘆し合っている。


「私はジャンヌ・ダルクの時代から、大天使ミカエルの指導を受けております。

 今生においても、常に守護と指導を受けているのです」


 直接ジャンヌから聞かされ、みんなは大きく頷いた。


「私が日本へ降ろされるとき、私を守護するために、日本の古い、

とても力のある神様の分霊を、一緒に降ろしてくださったんです。

 それがこの大澤小角と大田猿田彦なのです。

 ですからこの二人の本体は、天界にいらっしゃって、

常に二人を指導しているのです」


「私の本体は、役行者という神様です」


「私の本体は、猿田彦大神という神様です。

 私も大澤小角も、両親が我々を授かる時、夢の中で、

近々『紫をまとういと高き天使』が地上に降ろされる。

 その守護にあたらせろと」


 三司令官は、話が進んでくると、反応が少し鈍ってきた。


 あまりにも現実世界とかけ離れた話の進展だからだろう。


 ジミー井上さんが、三司令官に向かって俺を紹介するようなポーズで、

龍にまたがったポーズをして体を左右に上下に揺らしながら、

体を斜め右上に持って行きながら説明している。


 ジミー井上さんの説明に、再び三司令官が驚愕の表情になり、

おれを見ながら『オーウ』を連発している。


 次にゴリの方に向き、同じように、

鉾の柄を海に突き刺しかき回すポーズで説明した。


 そして最後に、思い出したようにジャンヌに向かい、

印を受けるポーズから光を受け、光が広がって行くシーンを、

両手を大きく使って、全身で説明した。


 三司令官は俺たちに握手を求め、それぞれがっちり握手した。


 第三海兵遠征軍の司令官が、

「あなたがたのことは良く理解出来ました。

 私はこれから、キャンプ・コートニーの司令部に帰って、

指揮を執らなければなりません。

 ハワイの司令部と米第七艦隊との連携もあり、

また駐日大使へも連絡しておきましょう」


 ここでゴリが、

「司令官閣下、再度確認なんですけど、今回のミッションの情報に関しては、

レターに書かれている通り、引き続き神様から許された方だけでお願いします」


 ゴリの言葉を通訳されると、司令官は口に人差し指をあて頷き、

再びジャンヌに向かって、


「わかりました。それからジャンヌ天使さん。

次に竹島へ行かれる時は、ご案内させて下さい。


「あ、えぇー、あのぅー、司令官閣下。

 私はあくまで、神様のみ心のままにミッションを行っております。

 ですから、神様がお命じになれば、その時は宜しくお願いします」


「そうでしたね。大変失礼しました。

 韓国も、国を挙げて竹島は自国の領土だと主張していますからね。

 私の個人的な思いとしては、是非ジャンヌ天使さんに、

竹島も沈めてもらい、日韓関係に刺さった棘を抜いて頂きたいものですね。

 我々米軍にとっても、日米韓の軍事的な同盟関係にも大きなマイナスですから」


「竹島問題をどうされるかは、神様のみ心ですが、島を沈めるような、

悲しいことはしなくてもいいように、日韓で友好的に解決してもらいたいですね」


 三司令官とも大きく頷いた。


 ここでジャンヌが、

「司令官閣下、一つお願いがあるのですが」

「どうぞなんなりと」


「空から基地を拝見すると、基地の中に教会があるのですね」

「イエッサー。おっしゃる通りです。

 教会でお祈りしてくださるんですか?」


「はい、イエス様、それに私を指導されている、

大天使ミカエル様に感謝の祈りを捧げたいのです」


「そうですか、それでは我々は、指揮を執らねばなりませんので、

ここで失礼します。

 ジミー井上中尉、ケリー少尉と一緒にご案内して」


「イエッサー。それではジャンヌさん」


「ご配慮ありがとうございます。

 あちらに部下の方々が待っていらっしゃいますので、

どうぞ司令官の皆様が先にいらしてください」


 さっきから、あちらの方に7~8人の将校が控えて、

我々の話が終わるのを待ちかねているようだ。


「いえいえ、《紫のリボンを結んだ天使》をお送りしないわけにはいきません。

 さあお先にどうぞ」


「それではお言葉に甘えて……皆さまの感謝の気持ちを教会で、

イエス様に報告させて頂きます」


 最後にジャンヌは、司令官一人一人に腰をかがめ、

左手を右手に添えながら握手した。


 我々が車に乗り込むと、三司令官は、敬礼して見送ってくれた。

 4月以降、執筆が中断して申し訳ございませんでした。第9章を終わらせるべく、現在筆を進めております。今後は、不定期の掲載となりますが、引き続きお読み頂けますようお願いいたします。

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