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紫をまとういと高き天使  作者: げんくう
第九章 中国
73/105

【明治18年】

 今朝からまた、俺ん家に7時に集合だ。

 

 俺は昨日、ジャンヌに『任せとき』っていったものの、

やっぱ気になったのと、気分が高揚して、なかなか寝られなかった。


 今日の朝食から9日間、精進料理だ。


 先週まで23日間続けていたから、後は昼抜きを我慢するだけだ。


 昨晩ジャンヌが、昼に飲んでいる、ブドウ糖入りの抹茶、

俺とゴリの分も作って持ってくるっていったけど、オカアとゴリのお母さんが、

それぞれ自分たちで作って待たせるからということになった。


 だから俺たちが9時前に帰宅すると、オカアたちは、ブドウ糖を買いに、

大船の薬局に急いで行くことになった。


 それに明日からまた、精進料理がスタートするから、胡麻豆腐とか、

栄養価の高い食品を、それに抹茶も、西友へ急いで買いにいった。


 俺たちが神殿で、9日間の初日のお祈りが終わると、水晶に映像が映し出された。


 天空から海上が写し出された。


 尖閣諸島だ。


 左端に台湾、上に中国大陸、下に西表島と石垣島だろう。


 高度が上がり、右手、大正島のはるか右手に沖縄本島が写し出された。


「ジャンヌ、尖閣諸島の中では、魚釣島が一番大きくて、

飛瀬を挟んで近くにある北小島、南小島の三島は固まってるけど、

魚釣島の右上約27キロに見えるのが久場島で、

魚釣島から右手沖縄方面へ約110キロのところにあるのが大正島なんだ。

 その他に、魚釣島の周辺に、沖の北岩、

沖の南岩の岩礁を含めた総称が尖閣諸島なんだ」


 ゴリがジャンヌに説明している。


「モンチ、魚釣島って、台湾から近いのね」


「ああ、台湾から約170キロで、石垣島からも約170キロなんだ。

 中国からは約330キロ、沖縄本島からは約410キロあるんだ」


「なるほど、ゴリ、尖閣諸島って、天空から見ると、

距離感からいって、台湾にくっついてる感じがするけど」


「そうみたいだな。明治28年、1895年1月に、

日本が閣議決定して日本の領土に編入したから、

それ以前は、どこの国にも属してなかったんだ」


 映像が変わり、航海している船だ、


「中国の船だな、明の時代で琉球王国(沖縄)へ向かっているようだ。

 あ、魚釣島が見えている。

 魚釣島を道標として、今度は尖閣諸島沿いに、

沖縄方面に向かっているな」


 ゴリが解説してくれている。

 ここで映像は消えた。


「ゴリさあ、なんか昔は、中国の船も、

尖閣諸島を自由に航行したりしていたんだ」


「ああ、ただの無人島だったからな」

 

「なあジャンヌ、俺たちが今見せられた映像って、

神様が見せてるんだから、日本も、中国と仲良くしなさいってことだよな」


「そうね。太古に、神様が国造りされた時には、

尖閣諸島は入っていなかったみたいね」


「もちろんだよジャンヌ。

 沖縄自体が明治時代まで、琉球王国っていう独立国だったんだから。

 だから、日本政府の公式見解でも、明治時代に、無人島で、

どこの国の所有でも支配も受けてないのを慎重に確認して、

日本の領土に編入したことになっているんだ」


 ゴリは、尖閣諸島の歴史をよく勉強している。


「じゃあなんで中国や台湾ともめてるんだ?」


「日本が明治28年に閣議決定する10年前に、

島に国標を建てることになって、明治18年、1885年に、

南大東島と北大東島には、すんなり日本国としての国標を建てたんだけど、

尖閣諸島については、中国も明の時代から、航海の道標として、

島に名前を付けていたし、当時、清国も、

日本が島を占拠するのではないかと、疑心暗鬼になっていたから、

清国ともめるので保留にしたんだ」


「なんだ、当時から日本政府も、日本の領土にしたら、

もめるの解かってんじゃん。

じゃあなんで10年後に日本の領土に組み入れたんだ?」


「当時明治18年頃は、日本の海軍がまだ弱くて、

中国の海軍力に圧倒的な差をつけられていたんだ。

 10年後の明治28年は、前年の7月に日清戦争が勃発し、

戦争中で、日本が有利の中で1月に閣議決定されたんだ。

 日清戦争は、朝鮮半島をめぐる争いで、日本海軍は、

前年9月の黄海海戦で、当時世界最強クラスといわれていた、

清国北洋艦隊に勝利して、制海権を確立したんだ。

 陸軍も連戦連勝し、朝鮮半島から国境を越えて、

清国まで侵攻していたんだ。

 日中間の長い歴史の中で、日本が中国の領土に初めて侵攻したんだ。

5月には、下関で日清講和条約が締結され、台湾が日本の領土になったんだ。

 中国としては、戦争に負けてる状況下で、

日本が尖閣諸島を領土に編入してるから、

国民感情としては、納得できないだろうな」


「だったら当時の日本政府の見解がおかしそうだな。

 太古から日本人が住んだり占有していた、

日本の固有の領土じゃないんだ」


「国際法上は、『先占』っていって、どこの国にも属さないところは、

先に実行支配して領土の宣言をしたら、

その国の領土として認められるんだ」


「先に領土の宣言をしたっちゅう、早い者勝ちの世界じゃん。

 昔は自由に漁とか航行出来たのに、日本の領土になったから、

台湾と中国の漁師は出ていけっちゅうのは、

台湾と中国の漁師にとっては納得いかないだろうな。

 尖閣諸島は、好漁場らしいから」


「そうなんだ。理屈では、国際法ではうんぬんいっても、

相手側の心情は理解できないだろうな。

 人が住んでない無人島なんて、みんな無国籍にしちゃえばいいのに」


「そうね、渡り鳥は自由に島を往き来しているし、

イルカだって国籍もないから、自由にエサとなる魚を食べているだろうし。

 この領域は、日本と中国と台湾との友好の領域にすればいいのに。

 それが神様のみ心なんでしょうから」

 

「元々無国籍だったんだから、ここは、日本政府も譲歩して、

日本が主幹事で、海洋資源も乱獲の防止も含めて台湾、

中国と共同管理とか、すげー資源が眠ってるらしいから、

共同開発とか進めればいいのに。なあゴリ」


「ああ、せっかく老子が、中国の指導者たちの考えを変えさせて、

日本に大幅な譲歩をして、アジアの安寧と平和に大きく前進したのに」


「日本政府は、相変わらず、『尖閣諸島は我が国の固有の領土で、

我が国には領土問題は存在しない』って言ってるよな。

 今度は日本が譲歩する番だな。

 国際法上は別にして、中国国民も、感情の世界では納得出来ないだろうから」



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