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紫をまとういと高き天使  作者: げんくう
第九章 中国
72/105

【下流方針】

 俺たちは、成田空港の到着ロビーに出ると、ジャンヌの両親と、

ゴリの親父さんが迎えに来てくれていた。


ジャンヌは真っ先にお母さんに「ただいま!」っていうと、二人抱き合った。


「お帰り彦、ジャンヌさんもオズくんもお疲れさん。

 彦なぁ、昨日、全人代で、中国が平和的かつ友好的な方針で、

国家運営していく事が決定されたんだ」


「うん、今朝、向こうの通訳の人から聞かされた。

 老子の力はチョウ絶大だから」


「それが彦、今回の決定が、お前たちのことっていうか、

老子もなにも、全く出てこないんだ。

 ただ会議の冒頭、約20分間が、空白の時間になって、

だれも記憶も、テレビの記録も、何もないんだ。

 きっとその時間帯に、ジャンヌさんと老子が、

何らかのミッションを行ったんだろうなって」


「はい、老子様が、中国の指導者たちの意識を変えられました。

 北京では、大天使ミカエル様が仰っていらしたとおりでした。

 もう全てが整えられていました」


 ゴリの親父さんから、昨日全人代で決定された、

中国の新たな政策を聞かされた。


 新たな政策方針は、次のような内容らしい。


1.日中関係の正常化を目指し、尖閣諸島の領有権を棚上げする。


2.尖閣諸島を含む海域を、日中で共同開発する。


3.尖閣諸島海域の海上保安庁による管轄権の継続は認めるが、

  漁業権を台湾を含めて認める。


4.尖閣諸島周辺海域を含めた東シナ海を、友好の海域として、

  日中両国が努力する。


5.愛国教育を見直す。

  特に反日教育を改め、高潔で隣人との友好を育める人間を醸成していく。


6.中国は、アジアの安寧と平和の確立に最大限努力していく。


 以上が要点らしいけど、あとは日本政府の対応が注目される。


 空港でゴリと別れ、俺はジャンヌん家で送ってもらう。


 ジャンヌは、車の中で話す内容は、食べた中華料理と、

万里の長城のことばかりだ。


 やっぱミッションのことは、なにも話さないし、両親も聞いてこない。

 娘を心底信頼している感じだ。


 夜俺が先に寝てしまって、

ジャンヌがゴリのベッドで寝たことまで話していた。


 俺はすぐに寝てしまった。

 起こされたら俺ん家に着いていた。ジャンヌも寝ていたようだ。


 玄関でお互い両親が挨拶すると、ジャンヌ一家は帰って行った。


 俺はまだ寝足りないので一旦寝ることにした。


 夕食時に、オトウに北京での土産話をしてやろう。



 《翌日の月曜日》


 今日、月曜日から木曜日まで、中間テストのテスト週間だ。


 俺たちは、一昨日の北京でのミッションの報告と感謝をこめて、

今朝7時半に神殿で祈った。


 お祈りのあとジャンヌから、大天使ミカエルが現れて、

中国北京でのミッションの成功を褒め称えられ、

老子も大変お喜びなされた由のお話しがあった。

 そして、これから中国が、真の大国としての役割を担っていくために、

大きく変わっていく旨のお話もあった。


 それから、今月10月の六国登山は、今週の木曜日だそうだ。

 ちょうど中間テストが終わった日だ。

 大天使ミカエルも、俺たちの学業のことも配慮してるみたいだ。


 俺たちは、8時少し前に登校した。


 既にジュリも登校していて、俺たちを待ちかねていたみたいだ。


「よう、おはよう。三人ともお疲れさん」


 それぞれジュリとハイタッチした。


「ゴリ昨日ありがとう」ゴリはOKサインで応えた。


 ゴリは昨日、帰りにジュリの家へ寄って、

中国のおみやげを持って行ったみたいだ。


 ジュリはジャンヌの手を、両手でがっちり握ると、


「あー、ジャンヌの顔見て安心した。

 私、今度は中国行くっていうから、今だからいうけど、

ジャンヌが捕まって、監禁されるんじゃないかと心配したのよ」


「心配掛けてごめんなさい。ジュリ」


「ジュリさあ、ジャンヌどこ行っても絶対大丈夫だから。

 俺、今回よく判ったよ。なあゴリ」


「ああ、今回、大国の中国だから、それなりに凄かったよ」


「そうよね。それにしてもジャンヌ、あなたたち凄いわね、

あの中国の、指導者たちの意識、変えちゃうんですもの。

 そうそう、私心配しちゃったから、あなたたちが北京に着く、1時ころかな、

勉強やめて、天之宇受売命=(あめのうずめのみこと)にお祈りしちゃった」


「ありがとうジュリ、また天之宇受売命にお祈りしてくれたんだ」


「そーよ、どーか中国でのジャンヌたちをお守り下さいって。

 そしたらさー、この前みたいに、急に目の前が明るくなって、

天之宇受売命を感じられたわ。

 だから私、久々に『平成の祈り』も祈ったの」


「わー、ありがとうジュリ」今度はジャンヌがジュリを抱きしめた。


「でもジャンヌ、今回のミッションって、なにやったか知らないけど、

あなたたちのこと、全く報道されないんだけど。

 中国だから、報道規制したの?」


「アー私、昨日テレビ見てないからわからないんだ。

 でも神様が、私たちの存在、みんなの記憶から残らないように配慮されたわ」


「ふーん、でも無事でよかった。

 テスト前だから、ほとんど観光してないんだって?」


「ええ、でも万里の長城だけは行ったわ」


「ジュリさあ、本場の北京料理食ったんだぜ。

 北京ダック、焼きたてを、目の前でさばいてくれるんだ。

 皮をメインに食べるんだけど、すげー美味かった」


「わー羨ましいなー。

 オズはジャンヌをサポートしたご褒美ってところね」


「おう、まあそんなとこかな。

 夜も中華でさ、でも料理かぶらないようにしてもらってさ。

 全然飽きなかったぜ」


「俺もオズも、ジャンヌに合わせて菜食だったから、

中華で今までのカロリー不足、取り戻した感じ」


「ゴリしっかり食べてよ、木曜日、テスト終わったら稽古だからね。

 オズもジャンヌもね」

 

 

 今日でテストも終わり、部活も解禁だ。

 だけど早速今晩、六国登山だ。


 ゴリは部活終わってから俺ん家に寄る。

 ジャンヌは一旦帰って夜やってくる。


 その後の日本政府の反応は、一応中国の、

政策変更を歓迎するコメントを発したものの、

尖閣周辺の日中共同開発には前向きだけど、

漁業権の解放には否定的な見解だ。


 それに、相変わらず尖閣諸島が日本の固有の領土だと、

繰り返し主張している。


 日本政府の対応には、中国からの落胆と、アメリカ政府、

世界各国の反応も、頑なな日本の態度に批判が集まっている。


 先週の北京でのミッションで、老子が中国の指導者の意識を変えて、

中国もせっかく『下流方針』を打ち出したのに。


 日中関係の改善をはかるべくボールを投げられたのに。

 今度は日本の指導者、マスコミ、国民の意識を変える番だろう。


 今日も俺は、ゴリより先に部活が終わったから、ゴリを置いて先に帰った。


 帰宅したら、早速今晩の準備だ。

 ランタンと懐中電灯、それから展望台のデッキに敷くマットも用意した。


 ゴリが来るのを待って夕飯にした。


 俺とゴリが食べ終わって、お茶を飲んでると、

7時45分にジャンヌがやってきた。


「おうジャンヌ、お母さん帰ったの?」

「ええ、今晩は。お夕飯は? もう食べ終わった?」


「ああ、今俺もゴリも食べ終わったところ」


「モンチ今晩は、今晩宜しくね。

 あ、お母様、今晩は。

 9時頃両親がやってきますので、宜しくお願いします」


「はーい、その頃にはうちのお父さんも、帰ってると思うから」


「ジャンヌ、こっちで一緒にお茶飲んだら?」

「ありがとうオズ、私自分でいれさせてもらうから」


 キッチンからオカアとジャンヌの会話が聞こえてくる。

 オカアのテンションが上がってるのがわかる。


「お母様、夕食のお手伝い、なかなか出来なくてごめんなさい」


「いいのよ、ジャンヌさん。ぜんぜん気にしないで。

 修行とか中国とかで、大変だったでしょうから……」


「ありがとうございます。

 お母様もオズくんの食事、大変だったんじゃないですか?」


「そうそう、でもね、初めのうちは大変だったけど、

結構精進料理とか、菜食のレシピ本、沢山あるのね。

 それにネットでの情報も、菜食のブログとか見たりしてね」


 ヘーえ。オカアもいろいろ気ぃ使ってくれてたんだ。俺初めて知った。

 キッチンで、オカアとジャンヌが、いろいろ話が盛り上がっていたが、

そろそろ時間になったのでゴリが、


「そろそろ行こうか。ジャンヌいいかー」


 俺たちは、8時ちょっと前だけど出発した。


 今月も曇り空だ。頂上の展望台から空を見上げても、月明かりもない。


 ジャンヌは、頂上のベンチで呼吸を整える。


 ジャンヌの呼吸が整ったところで展望台に並び、俺たちは祈りに入った。


 いつものように、役行者、猿田彦大神の順で、

大天使ミカエルが、最後にお出ましになった。


 俺たちは合掌して神々を迎え、ジャンヌは、合掌したままひざまずき、

深々と一礼すると、大天使ミカエルを仰ぎみた。

 


 大天使ミカエルより、


『天界での決定により、汝らを尖閣諸島に派遣します』


「ハイ、大天使ミカエル様」


『今回は、大澤小角と大田猿田彦、汝らにもミッションが課せられています。

 汝らも明日から9日間、断食するように。

 そして9日目に沖縄へ飛びなさい。

 那覇空港に着いたなら、米軍普天間基地に直行しなさい。

 全ては整えてあります』


 俺は役行者を見上げると、俺を見て頷かれた。

 ゴリも同様に猿田彦大神から頷かれた。


「ぁ、あのう、ど、どんなミッションなんでしょぅ……」


 俺は気になって、思わず大天使ミカエルに聞いてしまった。

 すると役行者が俺を睨み、


「汝は当日、大橋ジャンヌの指示に従えばよい」


 しっ責を含んだ役行者の言葉に、俺は驚愕と恐怖で全身がぶるっと震え、

上半身が思はず30~40センチ飛び上がってしまった。


 すかさずジャンヌが両手で俺の左腕と左肩を抑えながら、

「ハイ、役行者様。み心に従います」


 役行者は、なんとジャンヌを見て笑って頷かれた。

「役行者様、ありがとうございます」


 ジャンヌは合掌して頭を下げた。

 俺もあわてて役行者に合掌して頭を下げたけど、あの笑いというか、

ほほ笑みは、ジャンヌに免じて俺を許してやろうという意味だったのか?


 神々が去られた頂上で、


「なあジャンヌ、大天使ミカエルは、

天界での新たな決定事項って言ってたよな。

 次のミッションでは、俺とゴリも使うって言ってたけど、何だろう?」


「さあ、私にも判らないわ? でもオズなら絶対大丈夫。

 成功間違いなしだから。

 オズは、役行者様に全託して、絶対的に信頼してね」


「よっしゃあ、任せとき」

「そうそう、その調子ね」

「オズ、えらい気合い入ってるな」

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