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紫をまとういと高き天使  作者: げんくう
第九章 中国
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【万里の長城】

 俺たちは階段を降りながら、


「先導車まだ停まってるな。

 陳さんもまだ休んでるみたいだな」とゴリ。


 車に近づくと、運転手の呉さんが陳さんを起こしている。


 陳さんが目覚めないので、呉さんが後ろのドアを開けてくれた。


「シェイシェイ」

 俺が先に乗り込みジャンヌが真ん中に座った。


「ジャンヌ、陳さんも覚醒状態か?」

「そうみたいね」


「陳さん」

 ジャンヌが声を掛けながら、後部座席から左手を陳さんの頭上に置き、

右手を額にあて、


「陳さん」と再び声を掛けるとやっと目覚めたようだ。


 まだぼーっとしている陳さんへ、呉さんが話しかけた。

 陳さんが頷くと、


「これから自由行動です。天安門広場出たら、政府の先導ありません」


「そうですか、わかりました。

 陳さん、これから昼食とりたいんですけど、

北京料理お願いしていましたが?」とごり。


「そうです、お勧めです。大橋さん、用事済みましたか?

 人民大会堂、入る無理でしたね?」


「あ、はい」


「陳さん、今日は警備が厳重で、近づけませんでしたよ」とごり。


「そうでしょ、大会、今日一日で終わります。

 天安門広場、人民大会堂、見学、もういいですか?」


「結構です。陳さん、では、お勧めの北京料理お願いします」

「はい、わかりました。これから北京で有名、北京料理の店、行きます」


 陳さんは車から降りると、前に泊まっている先導車に、何か話しに行った。

 戻ってきて、呉さんへ何か話しかけると、呉さんは頷いた。


 先導車がゆっくりと動き出し、俺たちも後に続いた。


 詰所脇の白い柵が開かれ、先導車が外に出て車を脇に寄せ、

窓から手を出し、行けという合図をしている。

 なるほど、これからは自由行動ってわけか。


「陳さん、確認なんですけど。

 昼食は、旅行のミールクーポンでお願いしてるんですけど、

僕たち3人の他に、通訳兼案内人の陳さんと、車の運転手の呉さんも、

一緒に食べて頂くように手配されていますか?」


「はい、ありがとございます。5人で予約しています」


 ジャンヌが気を利かせて、お母さんにお願いしたそうだ。


「店、北京ダックの有名です。北京料理のコースです」


「俺、北京ダックなんて食べたことないから、陳さん、

その店で北京ダック食べられるんですか?」


「もちろんです。みんな北京ダック食べにきます」


「やったね。ジャンヌは食べたことある?」


「ええ、私は横浜の中華街で、でもだいぶ昔だから、

北京ダックは北京が本場なんでしょうから。私も楽しみよ。モンチは?」

「俺もないな」


「陳さん、北京ダックはたしか、焼いた皮を餃子みたいな皮で、

ネギか野菜かなにかと挟んで食べた記憶があるんですけど」

「そうです。ここ北京も同じです」


 車はすぐに繫華街に入った。


「ここは『王府井』といって、北京で一番賑やかです」


 俺たちと陳さんは、先に車を降ろしてもらい、先に店へ。


『全聚徳』と書いてある。


 店内は広く、円卓の間を係員が忙しそうに行き来している。


 初めに前菜とスープが出た。ゴリがスープを一口飲むと、


「わーうめー。なんか久々に飯にありつけたって感じ」

「おー、やっぱ本場の味はうめーな」


「ほんとに美味しいわね。陳さん、いいお店に連れてきていただいて、

ありがとうございます」


「そうですか。みなさん喜んでもらえてよかったです」


 続いて炒めた料理が出てきた。


「なんかみんな、肉食うの久しぶりじゃねぇ? それに朝も食ってねえし。

ジャンヌいきなり食べて大丈夫か?」


「私、セーブしていただくから大丈夫よ。オズ心配してくれてありがとう。

その分オズとモンチ、沢山食べてね」


 円卓を囲んで、みんなでわいわい食べていると、北京ダックの登場だ。

 焼き上がったばかりで、飴いろをしている。


 丸々一匹がお盆に乗っており、目の前で料理人がさばいていく。

 あっという間に切り分けてくれた。


 この店でもジャンヌのいったとおり、餃子の皮みたいなものに、

ネギときゅうりを刻んだものを挟んで、巻いて食べる。


 陳さんと呉さんが見せてくれるのをまねて食べた。


 皮はパリッと焼き上がっており、こおばしくて美味しい。


 でも俺にはちょうどいいけど、ジャンヌには脂がちょっときついかも、


「ジャンヌさあ、皮が旨いっていうけど、脂、ジャンヌにきつくねえ? 

 なんなら脂の少ない肉の部分だけ食べたら?」


「そうね、オズ心配してくれてありがとう。

 皮はこの一枚だけにしておくわ。

 オズとモンチは大丈夫なの? 二人もお肉は久しぶりでしょう」


「全然。久々だとやっぱ、肉も脂がないとものたんないや。なあゴリ」

「うん、俺も感じる」


 最後にチャーハン、食後のデザートはフルーツだった。

 ジャンヌはチャーハンには手を付けなかった。


 俺たちは北京ダックをはじめ、北京料理を堪能して、万里の長城へ。


 時刻は現地時間で2時半を回ったところだ。


 食事中に陳さんへ、万里の長城では、テスト前なので、

少しだけ観てホテルに帰って勉強する旨お願いした。


 それからジャンヌも、断食修行で体力がなくなってるので、

できるだけ歩かなくてすむようお願いした。


 陳さんの説明では、万里の長城の観光スポットは、数ヶ所あるらしく、

一番近くて人気のあるのが八達嶺で、観光客でいっぱいらしい。


 陳さんのお勧めは、慕田峪という長城で、八達嶺より少し遠いけど、

空いてていいし、周辺の混雑を考えると、

時間的にも変わらないとのことで、慕田峪を目指した。


 高速道路をビュンビュン飛ばし、周辺道路も空いてたから、

慕田峪へは4時10分前に着いた。


 万里の長城は、山の尾根伝いに連なっており、

山の上までは、ゴンドラかリフトになる。


 一般的なコースは、頂上での乗り場が、リフトとゴンドラと離れており、

リフトで上がって、ゴンドラの乗り場まで歩く人が多いという。


 長城は、アップダウンがきつく、かなりしんどいと言っていた。


 陳さんは、長城を歩かないのなら、リフトで上がって、

帰りはスライダーで降るのをを勧めてくれた。

 スライダーはそりみたいなものだ。


 入場料と往復の乗車券を買って長城へ。


 リフトは二人乗りなので、先にゴリと陳さんが、

次のリフトに俺とジャンヌで乗った。


 ジャンヌと二人でリフトに乗れるなんて、俺ってチョーラッキー。


 ゴリには悪いけど、俺もジャンヌも嬉しさを隠しきれずはしゃぎ過ぎてる。


 リフトに乗ると、急に二人だけの密室の世界になったようだ。

 花火大会以来の心がときめいた。


 新幹線とか近鉄特急での二人掛けの席に座るのと、まったく濃密度が違ってくる。

 周りからは誰にも干渉されない二人だけの世界を感じる。


 ジャンヌも恥じらいを感じているのか、下を向いている。

 ちらっと見ると、とても嬉しそうだ。

 きっと俺と同じ感覚を共有してるんだ。


「わっ、高ーい」


 ジャンヌの声で我に返った。地面からはかなりの高さだ。


「ほんと、ほら、結構急そうじゃん」


 リフトは急な斜面を一気に上がっていく。

 周りの景色を楽しんでると、山上にすぐ着いた。5~6分乗ってたろうか。


「わーすげーなー。さすが万里の長城だな」

「延々と続いているわね。中国はスケールが大きいわね」


「観光客、ここから向こうへ歩いていきます。

 途中のろし台とかあります。ゴンドラの乗り場あります」


 観光客も、アップダウンのある登りを、遥か彼方まで続いて歩いている。

 歩いたらかなりきつそうだ。

 ジャンヌの体力状態を考えると、帰りはここからスライダーで降りて正解だ


 俺たちは、しばし雄大な景色を眺めると、ゴリが、


「ジャンヌもういいか? 俺たち勉強があるからな」

「ええ、充分堪能したわ。オズは?」

「ああ、俺ももういいよ。帰りのあのそりみたいなやつ、おもしろそうじゃん」


 俺たちは、帰りは陳さんのお勧めに従って、スライダーで降りることにした。


 冬季オリンピックのボブスレーのようなコースを、

ブレーキ付きのそりみたいな物に乗って降りて行く。


「陳さん、スピードは出ないんですか? 楽しそうだけど、なんか私怖いな」

「大橋さん大丈夫です。怖くないです。ブレーキあります。途中係員、います」


 陳さん、ゴリ、ジャンヌ、俺の順番で、

なだらかなコースをゆっくり降って行った。


 ジャンヌも心配することなく楽しめた。みんなにも大うけだった。


 これで中国での観光は終了、慕田峪長城を後にして、ホテルへ直行だ。

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