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紫をまとういと高き天使  作者: げんくう
第九章 中国
69/105

【人民大会堂】

 俺たちは、ジャンヌを真ん中に、正面玄関の階段を上がっていく。

 やはりすごい警備員の数だ。


 警備員たちは、俺たちが見えないのか無関心のようだ。


「ジャンヌ、もう既に人民大会堂はトランス状態だな」


 屋根を支える、巨大な円柱の間を通って中に入ると、

赤い絨毯が敷かれている。


「私が先頭を進みます」

 ジャンヌの後ろをゴリ、俺と続く。


 広いロビーの通路には、検問所がずらりと、

赤外線センサーのゲートと一緒に、横一線に並んでいる。


 既に全国から招集された代表者たちは、会場内に入っており、

検問所周辺は、スーツを着た警備係だけが、

直立不動の姿勢で、正面玄関を見つめている。


 みんな精悍な顔をしている。選抜された精鋭達だろう。


 ジャンヌは赤絨毯の上を真っ直ぐ進んで行く。

 検問所とセキュリティゲートの横を、ノーチェックで素通りしていく。


 やはり警備の人達には、俺たちが判らないらしい。

 会場の時計は1時少し前を指している。


 廊下のモニターが、人民大会堂の壇上を映している。

 国家主席他、常務委員などの最高幹部をとらえている。


 画面が変わった。


 なんとジャンヌがモニターに映し出された。


 モニターはジャンヌの上半身をとらえ、

古代紫のリボンがアップで写しだされた。


 次の瞬間、ファンファーレが高らかに鳴り響いた。


 ゴリが、

「ジャンヌ、中国国歌だ!」


 ジャンヌはぴたと立ち止まり、気を付けの姿勢を取ると、

右手を左胸に当て、最敬礼の姿勢を取った。


 俺とゴリもジャンヌに倣う。


 廊下のモニターが、ジャンヌの所作を引き続き映し出している。


 モニターは再び、人民大会堂内を写している。

 壇上の最高幹部をはじめ、全員が起立している。


 中国国歌は、館内のスピーカーから流れて来るのでは無さそうだ。

 明らかに天上から鳴り響いている。


 国歌の演奏が鳴り止むと、再びジャンヌが、赤絨毯を進んで行く。


 会場真正面の扉が開け放たれた。


 万人礼堂(大会議場)に入場すると、

ジャンヌが天地を貫いた光の円柱で被われた。


 金色の光は肉眼でもはっきり判る。


 正面の国家主席が真っ先に反応した。


 立ち上がり拍手で迎えてくれた。

 ほぼ同時に、首相、副主席も同様に立ち上がり拍手でお迎えだ。


 続いて常務委員が全員立ち上がると、ひな壇の後ろの席の政治局員、

中央委員も立ち上がり、会場内全員が立ち上がって、

万雷の拍手で迎えてくれた。


 入口から正面壇上まで70~80メートルはありそうだ。


 ジャンヌは、右寄りの通路を真っ直ぐに、

正面壇上に向かって進んで行く。


 満席の会場、一万人が一斉にジャンヌに注目した。


 ジャンヌは、右側から壇上に上がると、先ず国家主席の前に立ち、

左手を胸に添え、腰を落としながら会釈し握手を交わした。


「ニイハオ」そして「シェイシェイ」と声を掛けている。

 どうやら通じているようだ。


 俺もゴリも、握手しながら、「ニイハオ」そして「シェイシェイ」

と言いながらジャンヌの後を付いていく。


 首相はじめ、7人の常務委員全員へも同様に、一人一人挨拶した。


 挨拶が済むとジャンヌは、国家主席へ着席を促すと、

全員倣って着席した。


 ジャンヌは正面に振り返り、合掌して中央に立った。

 左右を俺とゴリと固めた。


 ジャンヌは、胸の前で指をからめた合掌をし、両人差し指を揃えて天を指し、

掌を開いてピラミッドの印を組むと、目を閉じて《平成の祈り》を祈り始めた。


『内平らかに外成る、地平らかに天成る。

 中国の安寧とアジアの平和が達成されますように。

 大天使ミカエル様、み心のままになさしめたまえ』


 ジャンヌが祈りだすと、ジャンヌの体が紫紺と金色と白光に輝き出した。


 目を開け、天井の大きな赤い星を仰ぎながら、

「大天使ミカエル様、宇宙に遍満するエネルギー、

全てを可能に変えていく《神秘なる宇宙パワー》を注ぎくださりませ」


 これからジャンヌは、大天使ミカエルより授かった《印》を組み、

宇宙からの光を受け止める。


 両手を高く広げると、天から光の雨が降り注がれる。


 次に胸の前で、左掌を上に向け、親指と人差し指で輪っかを作り、

右手は親指と中指で輪っかを作り、左手の輪っかに鍵を掛け、

右手人差し指を天に向けた。


 それから、一瞬念じて鍵を解き、左右輪っかを組んだまま、

胸の前で水車のように回転させ、徐々に回転の輪を大きくさせながら、

左右に広げながら上げていき、七回転目に、右手人差し指を天に向けた。


 その瞬間、ドーム型天井の、その中心の赤い星を貫いて、

稲妻のような光を右手人差し指で受け止めた。


 左手は掌を上に向けたままだ。

 光が右手人差し指から噴水のようにほとばしっている。


 ジャンヌは光を受けながら、体をゆっくり後ろに回した。


 左手掌をやや右上に向けると、右手人差し指で受けている光が、

左手掌に屈折され、左掌から光がほとばしっている。


 そして、ゆっくり国家主席はじめ、7人の常務委員に掌を向け、

光を屈折照射始めた。


 みな低頭して光を受け、光の噴水で見えなくなった。


 続いて左掌を、少し上に向け、後ろに控える政治局員、

中央委員へも照射された。


 壇上全体が光につつまれ見えなくなった。


 ジャンヌは光を受けながら、再び体をゆっくりと回し、

正面を向きなおすと、会場の全員が低頭した。


 ジャンヌの掌から放射される光が、会場全体を覆っていく。

消防の放水のようだ。


 やがて大会議場が光に包まれて見えなくなった。


 ここでジャンヌは印を解き、合掌しながら正面上方を見つめた。


 やがて会場全体を覆っていた光の雲が、天井から徐々に晴れてきた。


 光が消え去っていくのと同時に、天井の屋根も消え失せて、

巨大な宇宙空間が出現した。


 みな、驚きの表情で宇宙空間を見上げている。


 長い白髭が降りてきた。更に上を見上げると、老子が登場していた。


 会場にいる全員が、老子の出現に驚愕し、その巨大さに、

恐怖と緊張で固まった。


 俺たちは、合掌のままひざまずいて控えた。


『大国は下流なり』


 老子の重厚な第一声が会場内に響き渡った。


 しっ責しているような感じだ。

 六国見山の時とは明らかに違う。


 老子の第一声が響き渡ると、国家主席はじめ、全員が机にひれ伏した。


 ゆっくりと間を置いて、続けて老子は、

『天下の交なり。天下の牝なり。牝は常に静かなるを以て牡に勝ち、

静かなるを以て下ることを為す。

……故に大なる者は宜しく下ることを為すべし』


 老子はゆっくりと、諭すように説いている。

 その声は、宇宙に響き渡っている。


 続いて、

『無為を為し、無事を事とし、無味を味わう。

 小を大とし、少を多とす。怨に報ゆるに徳を以てす。……』


 そっと振り返り、国家主席をちらっと見ると、低頭しながら頷かれている。


『大怨を和すれば、必ず余怨有り、安んぞ以て善と為す可けんや。

 是を以て聖人は、左契を執りて人に責めず。

 有徳は契を司り、無徳は徹を司る』


 老子の講義が続いている。

 

 最後に老子は、

『汝ら指導者が、アジアの安寧と世界の平和に貢献せよ。

 依って大国たらん』っと説かれると、一瞬に消えられた。


 宇宙空間も消え、万人礼堂の天井も元に戻っている。

 同時に天井の大きな赤い星から金粉が舞って、大会議場を覆った。


 中国でのミッションは成功した。


 ジャンヌが天を仰ぎ、

「老子様、ありがとうございました」


 老子への感謝を捧げた。

 

 立ち上がって、会場を見渡すと、皆目をつぶっている。

 おそらく覚醒しているのだろう。

 

 後ろを振り返ると、国家主席はじめ、常務委員も皆覚醒している。

 

 最後にジャンヌは、ピラミッドの印を組むと、

『内平らかに外成る、地平らかに天成る。

 中国の安寧とアジアの平和が達成されますように。

 老子様、ありがとうございました。

 大天使ミカエル様、ご加護ありがとうございました』と祈った。


 するとジャンヌが、再び紫紺と金色と白光に包まれた。


 ジャンヌは、後ろを振り返り、覚醒状態のままの国家主席に、

 再び膝まづいて合掌し、同様に常務委員一人一人にも合掌した。


 そして立ち上がって正面を向くと、

同じく覚醒状態の会場全員へ向かって合掌すると、


「ミッションは終わりました。さあ行きましょう」


 ジャンヌを先頭に、長い通路を出口に向かった。

 会場内は、まだ金粉が舞っている。


 通路から会場を見渡すと、全員が机にうつ伏せている。


 上の階の奥に設置されているテレビカメラの席が、

テレビカメラの方列だけが見え、カメラマンの姿が見えない。

 おそらく三脚の下あたりで覚醒されているのだろう。


 出口に近づくと扉が開け放たれ、俺たちは、

赤絨毯を玄関出口へ向かって歩いて行く。


 警備係も俺たちには無関心のようだ。


 廊下のテレビモニターは画面が白く映ってない。

 また神様の配慮だろう。


 俺は思わずにやけてしまった。


 俺たちは、玄関出口を出ると、ジャンヌの緊張が解かれたのか、

笑顔でハイタッチしながら、

「モンチ、オズ、お疲れ様」


「おお、ジャンヌ、ミッション、大成功だな」


 ゴリも興奮気味だ。


「ジャンヌも凄かったけど、老子の迫力は半端じゃないな。

 宇宙大の迫力だったな。これで中国も大きく変わるな」


「そうね、老子様が中国の指導者の方々の意識を変えられたから」


「だよな、領土拡大だとか、反日教育とかはなくなって、

真の大国になってもらいたし、国や国民の国際評価も上がるだろうから」


「そうだよなゴリ、中国が老子の解く、真の大国のように下流になれば、

アジアの盟主になって、アジアの安寧と平和が達成されるんだな。

 もっとも北朝鮮の問題が残ってるけど」


「そうね、でも、大天使ミカエル様から、

ミッションは大成功って誉めて頂いたから。

 ねえ、私お腹空いちゃった、モンチ、お昼北京料理だったわね」


「そうそう、陳さんに確認するけど、やっぱ北京だから北京料理がいいよな。

 じゃあ昼飯食べて、それから万里の長城見学だな」

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