【古代紫】
今日で23日目だ。大天使ミカエルからの課題も、
神殿で最後のお祈りをすれば、課題達成だ。
それから北京へ飛ぶ。
俺は5時に起床した。オカアが風呂を沸かしておいてくれた。
俺は湯船につかりながら、ジャンヌはもう風呂からあがってるだろう。
今日はジャンヌの大一番だから、制服から下着まで新品のはずだ。
ジャンヌのこだわりというか、神への敬意を最大限あらわすのだろう。
ジャンヌの《おもてなしの心》の精神的なご本尊、井伊直弼も、
茶事のときには、下着から一式、新品に着替えるとジャンヌがいっていた。
オカアには、今朝は朝食不要といってある。
ジャンヌも今朝は食べてこないはずだ。
肉体を最大限浄化させてくるのだろう。
俺も、自分でできることは可能な限りジャンヌと共有したい。
羽田が9時ころのフライトだから、俺ん家に6時に集合だ。
最後のお祈りをして出発する。
オトウも起きてきたが、落ち着かない様子だ。
オトウもオカアも口数が少ない。
俺の真摯な使命感を、二人で感じ取っていてくれてるらしい。
玄関のチャイムが鳴った。まだ6時15分前だ。
ドアを開け、最初に顔を出したのはゴリのおふくろさんだった。
「おはようございます。朝早くからみんなで押し掛けすいません」
続いてゴリ、あとから親父さんがきた。
家族全員で出迎え、挨拶を交わしてリビングへ。
今日は土曜日だけど、おふくろさんもやってきた。
ゴリの両親も、今日のミッションの重大性を認識しているのだろう。
俺とゴリよりも、お互いの両親の方が緊張した面持ちだ。
「ゴリ俺、朝飯食ってないから、北京での昼食、楽しみにしてっから」
俺はあえて普通を装った。
「オズ俺もだよ」
「やっぱそーか。でも頭さえてねぇ?」
再び玄関のチャイムが鳴った。一家で玄関へ。
俺がドアを開け、
「オズくんおはよう、今日宜しくね」
「おはようジャンヌ。あ、おはようございます」
ジャンヌに続いて、お母さん、そしてお父さんだ。
「おはようございます、オズくんにはお世話になります」
「いえいえおはようございます。さあどうぞ」
それぞれ玄関で挨拶してリビングへ。
ジャンヌはやっぱ全身新品だ。制服もバリっとして、
古代紫のリボンもきっちり結んでおり、すげーかっこいい。
どこに出しても恥ずかしくない服装だ。
もちろん容姿も抜群だ。
どんなドレス、服装より似合っている。
長い髪も磨きがかかってつややかだ。
ジャンヌ全体が、まぶしいぐらいに輝いている。
オカアが俺の制服を、昨日きっちりアイロン掛けしといてくれた。
靴は自分で磨いておいた。
俺の服装がよれよれじゃあジャンヌに恥をかかせてしまう。
そういえばゴリの服装もきまっていた。
おそらく俺と同じ気持ちだろう。いや、あいつは俺以上だろう。
リビングでは三家それぞれ挨拶を済ませると、旅行費用のことで、
またまたジャンヌのお母さんに、
家とゴリん家の両親がお礼を言っていた。
ミッションに関わる費用は、大橋家で持つという、
パターンが出来あがったみたいだ。
俺たちは、緊張ぎみの親たちを残して神殿へ。
今日が大天使ミカエルから命じられた23日めだ。
俺たちは、《平成の祈り》と
《中国の安寧とアジアの平和が達成されますように》
との祈りも加えて約30分ほどお祈りした。
お祈りに入ったジャンヌの輝き具合から、俺は今日もジャンヌが、
宇宙からのエネルギーをキャッチできると確信した。
ジャンヌの北京でのミッションは、全然心配してない。
ジャンヌの合図でお祈りは終わったけども、
今日は水晶には映像は映らなかった。
「オズう、モンチ、23日間、私を支えてくれてありがとう。
お二人もお疲れ様でした」
「おう、ジャンヌ。今日は水晶、なんにも映らないじゃん」
「ええ、でもね、さっきお祈りしていたら、大天使ミカエル様が現れて、
私の肉体は、充分無限の宇宙エネルギーを捉えることができるからと、
お誉めの言葉を頂いたの。
それからね、オズもモンチも肉体がとっても浄化され、
だいぶ高いところまで進化したんですって。
私、それをお聞きして、自分の事のように嬉しくなったの」
「え、ほんと? よっしゃー、俺も気合い入ってきた。なあゴリ」
「ああ。今回俺とオズも、一緒に修行した甲斐あったな」
「それそれ、俺もジャンヌの足元にも及ばないけど。それなりに進化した感じ」
「ああ、俺もオズほどわからないけど、なんか肉体が浄化された感じはする。
頭っていうか、直観っていうか、なんか冴えわたってる感じ」
「二人とも頼もしいんだ。ありがとう。
最後にね、北京へ行っても、全ては天界で整えてあるから、
安心しなさいって」
リビングに戻るとオトウが、
「ジャンヌさん、凄く輝いているよ。なんか凄いオーラで圧倒されそうだよ」
ジャンヌは恥ずかしげに、
「お父様ありがとうございます。
お父様、オズくんもモンチも、とっても輝いてると、
お感じになりません?」
それを受けてオカアが、
「うーん、ジャンヌさん、私もなんか、そんな感じがしてきたわ。
いつものオズとちょっと違うわね。ゴリくんもよ」
ジャンヌの明るい振る舞いに、親たちの緊張や不安な思いは消え、
表情が和らいでいる。
ゴリがジャンヌのお母さんへ、
「お母さん、ジャンヌが、さっき大天使ミカエルが現れて、
『北京へ行っても、全ては天界で整えてあるから、
安心しなさいって』いってたそうですよ。
「ありがとう、モンちゃん」
ジャンヌのお母さんは、ジャンヌを見ると、お互い頷き合った。
ゴリの親父さんが、
「ちょっと早いですけど、もう行かれたらどうですか?」
ジャンヌのお父さんが、
「それならそうさせて頂きますか」
ジャンヌのお母さんもお父さんをみて頷いた。
「それでは羽田まで、私どもで送ってまいりますから」
一泊二日だから、俺とゴリはスクールバックだ。
ジャンヌを護るために、なにがあってもいいように、
できるだけ荷物は少なく、身軽で行こうとゴリと話していた。
でもテスト前だから、勉強道具は入れてある。
一泊二日といっても、昼過ぎには北京に着いて、
夕方にはホテルに帰って勉強。
翌朝一番で帰ってくるから、外国旅行って感じがしない。
ジャンヌは、スクールバックより少し大きめのバックだ。
いずれも機内持ち込みサイズにした。
北京空港へ着陸してからすぐに出場できるようにだ。
家とゴリん家の両親に見送られ、俺たちは羽田へ向かった。




