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紫をまとういと高き天使  作者: げんくう
第八章 体育祭
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【天然】

「ジャンヌ俺さあ、今は心底、ジャンヌの気持ち解かったから、

俺って、すげー嫉妬深いかなって。でもジャンヌ、もう安心して。

 俺、これからは絶対ぶれないから。

 俺もジャンヌのこと、ずっと信じていられる」


「ありがとう、オズ。お互いに、理解が深まってよかった」


「おう、俺もう絶対大丈夫だから。

 明日また、後藤と楽しそうにしてても、グランドで俺を無視しても、

余裕だから」


「オズ、ごめんなさい。

 私、オズがサッカー部の時は、近づいても、

口をきいてもいけないと思っていたの。

 だから私、一昨日から、グランドで、近くにオズがいても、

わざと知らんぷりしていたの。

 私、ほんとはオズと、グランドでお話したいんだけど、

うちのグランドならお話していいの?」 


 ジャンヌは嬉しそうな表情だ。


「あ、俺、そういえば、鎌学との試合の時、

先輩たちが、ジャンヌファンだから、そんなこと言ったよな。

 ごめんなジャンヌ、やっぱ挨拶くらいにしとこうか」

「ハイ」


「俺、てっきりジャンヌが、後藤に教えてもらってるから、

後藤に気を使って、わざと俺を見ないのかと思った」


「え?  後藤君に気を使うって、どういうこと?」


「あのさ、ジャンヌが楽しく後藤から教われるように、

後藤が、俺とジャンヌが仲いいとこ見たら、面白くねえだろうからって、

ジャンヌが気を使っているのかと思ったのさ」


「え?  ごめんなさいオズ、私よく解らないわ? 

 別に後藤君、楽しく、親切に教えてもらってるわよ、私もとっても楽しいし」


「なんだ、ジャンヌ、ほんとに楽しいんだ」


「ええ、だって、陸上って、私の知らないことばかりなんですもの。

 後藤君、いろんなこと、教えてくれるのよ。

 あ、オズ、後藤君の指導、明後日で一通り確認して終わりなんだけど、

明日も教わってもいいかな?」


「え? ジャンヌ、もう俺に気ぃ使うなって。

 俺、ジャンヌが後藤と楽しく練習してるの見ても、

温かく見守ってるから」


「ありがとうオズ、でも私、これから男子と二人だけの時は気をつけます。

 あ、それから、昨日みたいな時は、お家に帰ったら、

オズに安心してもらうように、お電話で報告するわね」


「あのサー、ジャンヌ、変に気ぃ使うなって。

 ジャンヌの好きな、《普通》に接すればいいんだから。

 俺、誰とでも温かく接するジャンヌが好きなんだ。自然体のままじゃん。

 絶対今のままでいて欲しい。天然のままでいいからさ」

 あ、しまった。一言よけいだった。


「まあオズったら。もう知らない!」


 ジャンヌは頬を膨らませ、ぷいと横を向くと、

すぐに茶目っけ顔で俺を見直すと、吹き出してしまった。


「あ、そうだ。お茶いれてくるの、すっかり忘れていたわ。

ちょっと待っていてね」


「それならジャンヌ、オカアに、俺の病気、

ジャンヌがお見舞いに来たら、奇跡的に即全快したからって言っておいて」


 ジャンヌは笑いながら、

「お母様には伝えておくけど、でも、あまり無理しないでね。

 さっきみたいに、また悪くなったらいけないから」


 ジャンヌはシューズを脱ぐと、部屋を出て行く時、

振り返って笑顔でバイバイしてくれた。


 ジャンヌの奴、俺の病気、嫉妬から来た、《恋の病》だったって、

気がつかないんだ。


 やっぱジャンヌは天然だ!


 俺は、昨夜からの、暗黒の世界から、一挙に天国に駆け上がった感じだ。

 それにしても、本物の天使って、優しいだけでなく、

何でも許して受け入れてくれる、包容力もあるんだなー。

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