【悪夢】
俺は、帰宅してからも、 ジャンヌのことが心配で、頭から離れない。
食欲もなく、自分の部屋に籠った。
何も手につかず、ベットに入っても全然眠れない。
昼間のジャンヌと後藤の仲の良いシーンが思い出される。
帰りも俺を無視して、ルンルン気分で如何にも楽しそうに帰って行った。
このままだと、《ジャンヌが後藤に汚される》。
俺は、そのことばかりが沸き上がってくる。
後藤の奴、ジャンヌをラブホテルに誘って、
『何もしないから』って言えば、人を疑うことを知らないジャンヌだから、
騙されて付いていきそうだ。そして中に連れ込まれたらもう終りだ。
俺は、心配、焦り、嫉妬、いろんな感情に支配され、
完全に自分を見失っていた。
そのうち俺の妄想念は一線を超えた。
遂に、
《ジャンヌが後藤に汚される》なら、
《俺が先にジャンヌを汚す》。
俺のジャンヌだから俺の自由だ。
俺は、嫉妬の亡者となり、悪魔のささやきに支配されてしまった。
まんじりともなく夜を過ごし、朝を迎えた。一睡もしていない。
早めに洗面を済ますと、ほとんど朝食に手をつけず、登校した。
とにかくジャンヌの顔を早く見て確認したかった。
教室の時計は、まだ6時半を差している。
誰もいない教室で、ジャンヌの椅子に座ってみる。
何となしに心が落ち着いてきた。
小林が言っていたが、昨日いきなり決めることはないだろう。
今日ジャンヌに注意すれば大丈夫だ。
ジャンヌの机をなぜていると、ジャンヌの笑顔が目に浮かぶ。
俺は自分の席に移ると、また落ち着かなくなる。
トイレが近い、登校してから2回目だ。
女子トイレに人がいるみたいだ。
聞くともなしに聞こえてきた話しに、俺はその場で固まった。
「ねえねえ聞いてよー、昨日ジャンヌと後藤君、ラブラブだったのよ」
「え? ナニナニ、サキ、どうしたの?」
「ガチマジで? 教えて教えて!」
「あのさー、私、昨日藤沢で見たの。
ジャンヌと後藤君が、仲良さそうに歩いていたの。
二人ともチョー楽しそうだった」
「ヤバヤバ」
「二人、手、つないでた?」
「いや、つないではなかったな。
でも、二人とも、恋人同士みたいに、息がぴったり合っていたわよ」
「それで二人、どこ行ったの?」
「わかんない」
「サキぃー、何で二人の後付けなかったのよ!」
「ジャンヌ、後藤君にお持ち帰りされちゃったりして」
「きゃー」 一斉に女子トイレから歓声が挙がり、学校中に響き渡った。
中の一人は1組の宮本の声だ。
ダンス部の連中かも知れない。朝練だろう。
俺は、逃げるように教室を後にした。
俺は、どうやって自分の部屋に戻ったのか記憶にない。
気がついたらベットの上だ。
そうだ。オカアに体調悪いから学校休むので、連絡を頼んだ。
それからオカアが、体温計持って、俺の部屋にやって来て、
熱を計らされた。はなから熱なんてない。
でも、食べてないし、寝てないから病人顔だろう。
悪想念に覆われているから、さぞかし顔つきも悪かろう。
後藤の奴、ラブホじゃなかったんだ。
『シューズ調整してあげるから、俺ん家寄って行って』とか後藤に言われたら、
ジャンヌの奴、断れるはずないよな。
ちくしょう、後藤の奴。ジャンヌも大馬鹿だ。
そもそもジャンヌが後藤にいい顔するからいけないんだ。
二人に腹が立った。
いろんな思いが、次から次と湧き上がってくる。
みんな悪想念ばかりだ。
だんだん悪い方にエスカレートしていく。
《ジャンヌが後藤にお持ち帰りされた》
《ジャンヌが後藤に汚された》
《ちくしょう! 俺が先にジャンヌを汚しておけばよかった》
俺は繰り返し、そのことばかり考えている。
昼にジャンヌから、お見舞いのメールが来たけど無視した。
昼食も、とても食べる気分じゃないので、朝から何も食べてない。
今3時をまわったところだ。
もうすぐ帰りのホームルームが終わる頃だ。
ジャンヌは今日も、後藤とラブラブでリレーの練習かあ。
昨日買った、ランニングシューズ履くのだろう。
ジャンヌのことだから、初めて履くから、すげー喜ぶはずだ。
益々後藤とラブラブになりそうだ。
部屋のドアをオカアがノックした。
オカアがニコニコしながら、
「オズ、具合どう? ジャンヌさんが、お見舞いに来てくれたわよ」
「え? ジャンヌ? もう来たの?」
「どうするの? 下に降りてくる? それとも部屋に入れてもいいの?」
「じゃあ、ここに呼んでよ」
俺は、ベットの端に腰かけた。少し緊張する。すぐにノックだ。
「ハイ、どうぞ」
ゆっくりドアが開き、顔だけのぞき、心配顔のジャンヌだ。
「オズぅ、大丈夫、具合どう?
お熱ないんですって? 私、心配しちゃった」
「ああ、大丈夫。ちょっと食欲ないけど、中に入ったら」
俺は、あえてぶっきら棒に言った。
ジャンヌは、バックを置きながらカーペットに座った。
ジャンヌにいつもの笑顔がない。やっぱ汚されたのか。
俺は慎重に観察する。
「オズぅ、顔色が悪いわ、体に障るなら、私、おいとまするわ?」
早く俺から逃れて、後藤のところへ行きたいんだろう。
俺はすっかり疑心暗鬼になってしまった。
自分から湧き出てくる、醜い思いが嫌になる。
「俺は大丈夫、ジャンヌ、練習は?」
「今日、後藤君に言って、お休みさせてもらったの」
「そうか。それでジャンヌ、昨日靴買ったの?」
とたんにジャンヌの目が輝いた。
頷きながらいつもの満面の笑みだ。やれやれ、どうなってるんだ。
「オズぅ、私まだ、ここにいて大丈夫?」
声までハイテンションになった。
「いいよ」 俺は、相変わらずぶっきら棒に言った。
ジャンヌはバックをまさぐりながら、
「私ね、ランニングシューズ、おろす前に、
オズに見てもらいたくて、持ってきたの」
無邪気に嬉しそうに話すジャンヌを見て、俺は全てを悟った。
と同時に、ジャンヌに対するすまなさと、後悔の念で、涙が吹き出した。
俺はあわててベットの上で布団を被った。
「オズ、どうしたの?」
「ちょっと待ってて」
「オズぅ、急に具合でも悪くなったの?
お母様、呼んで来ようか?」
「いや、いい、何でもない、もうちょっと」俺は、布団を被ったまま、
長い深呼吸で必死に心を落ち着かせた。
なんとか涙も収まり、薄い掛け布団の被りを取り、
再びベットの端に腰かけた。
心配そうな眼差しで、俺を見つめるジャンヌに、
「おージャンヌ、いい靴買ったじゃん」
俺はジャンヌの気をそらせた。
ジャンヌは、カーペットに置いたシューズを持ち、俺に見せながら、
「ほら、とっても軽いのよ」
俺はシューズを受け取りながら、
「ほんとに軽いな、よかったなジャンヌ」
ジャンヌは頷きながら、俺からシューズを返されると、
大事そうに胸に抱き、
「オズぅ、お部屋の中だけど、まだおろしてないから、履いてみていい?」
「もちろんだよ」
ジャンヌは、幼児のように、嬉しそうに靴を履いている。
すらりと伸びたジャンヌの、穢れなき白い足を見ると、また涙が吹き出した。
俺は再びベットの上で布団を被った。
「オズ、ほんとに大丈夫? さっきと同じところ?」
「ああ、ちょっと待ってて」
俺はまた、長い深呼吸で心を整える。
さっきより早く、心も涙も収まった。
被りを取ると、ジャンヌは靴を履いたまま、ひざまづいて心配顔だ。
俺は、ジャンヌの眼差しを避けるように、後ろの靴を指し、
「お、決まってるじゃん。ジャンヌ、立って見せてよ」
ジャンヌは立ち上がると、
走りのポーズを決めると、俺を見て微笑んだ。
俺は頷きながら、思わず小さな声で
「お持ち帰りはなかったんだ」って言ってしまった。
「え? お持ち帰りよ」
俺は一瞬ドキッとした。
「たまたま展示品が、私の足のサイズにぴったりだったの。
だからお持ち帰りできたの。なんで?」
「あー、いや、俺もあの店、サッカーのスパイクとか、買いに行くけど、
いつも俺に合うサイズがなくて、なかなかお持ち帰りできないんだよ」
「それなら私、ラッキーだったのね」
ジャンヌの目がきらきら輝いている。
「私ね、昨日、後藤君と藤沢へ行ったでしょ。
私、後藤君から、陸上競技のいろんなことを教わったわ。
400メートルリレーのことは、4継=(よんけい)って言うんですって。
普通第一走者は、スタートが巧い選手で、第二走者は、
直線を一番長く走るから、エースが投入されるんですって。
第三走者はコーナーを走るのが巧い選手とか、
4継は、陸上の花形競技だから、大会の最後にやることが多いんですって。
私、後藤君の4継のお話聞いていたら、実際の試合、
観に行きたくなってしまったわ」
「え、ジャンヌ、陸上の試合、観に行くのか?」
俺は焦った、もうジャンヌが、後藤とそこまで進んでしまったのか?
「ううん、行かないわ」
「なんだ、後藤に誘われたのか?」
「いいえ」
「じゃあ、後藤に観に行きたいっていったのか?」
「ううん」
「でもジャンヌ、4継とやらを、観たいんだろ、何で行かないの?」
「え、何でって、私、観に行かなくてもいいの」
「だってジャンヌ、さっき観に行きたいって言ったじゃん」
俺は、ジャンヌが俺に内緒で観に行かないか心配だ。
俺もしつこいけど、
ジャンヌが観に行かないという確証を得られないと不安だ。
俺がこだわるから、ジャンヌが不安顔になってしまった。
「オズぅ、言わないといけないの?」
ジャンヌは哀願しているが、
「俺、聞かなきゃすっげー気になるよ。教えてよジャンヌ」
「私ね……」
そこまで言うと、ジャンヌは下を向いて躊躇した。
「なんだジャンヌ」
俺はまたジャンヌに迫った。
「私ね、とても……」
そこまで言ってもじもじしている。
「だからー、とてもがどうしたんだよー」
「とてもー、大切な人がいるから行かないの」
ジャンヌは、下を向いたまま、一気に耳まで赤くなった。
『大切な』の後は、声が小さくなって、よく聞き取れなかった。
え、ほんとかよ? ジャンヌの大切な人って、俺のことだよな。
俺のために観に行かないんだ。
俺は、ジャンヌのサッカー観戦の時、誤解してしまったので、
今回は、早とちりはしない。これも学習効果だ。
俺は、自信あるが、不安も少しはある。
怖いけど、やっぱ確認しないと気が済まない。
よし、はっきりさせよう。
「ジャ、ジャンヌ……」
ジャンヌは赤い顔をして、下を向いたまま、
「ハイ」って小さく返事した。
「た、た、大切な人って……」
俺も一気に緊張し、胸が詰まってこれ以上言葉が出せない。
震えてきた右手で、恐る恐る、ゆっくりと胸の前で、人差し指を俺に向けた。
ジャンヌを見つめると、下を向いたまま、
俺の指先をちらっと見ると、ゆっくりと頷いた。
まだ顔は赤い。
俺は嬉しさのあまり飛び跳ねた。
「ジャ、ジャ、ジャ、ジャンヌありがとな、俺、めっちゃ嬉しい」
ジャンヌはここで顔を挙げ頷いた。
俺は部屋の中でじっとしていられず、忙しなく歩き回っている。
ジャンヌも嬉しそうに俺を見ている。
俺は立ち止り、再びジャンヌの方を向き、右手人差し指を、自分の胸に差した。
ジャンヌは微笑みながら、また頷いてくれた。
「そっかー」
俺も頷いてベットに腰をおろし
、
「俺もジャンヌが、とてもとても大切な人だから」
「オズったら」
ジャンヌは恥ずかしげに、だけど嬉しそうだ。
でもまた下を向いてしまった。
ジャンヌって、微妙な恋愛感情、意外と解かるんだ。
後藤とは、一線を越えないで接しているのがわかった。
ジャンヌの誠実さが嬉しい。
「そういえばオズ、体調は? 元気になったみたいだけど。
寝ていなくて大丈夫? 私もう帰ろうか?」
「ジャンヌ、まだいてよ。
俺、ジャンヌがお見舞いに来てくれたから、もう治ったみたい」
「わーよかった。今日練習休んで来てよかった。オズが良くなってくれて。
それなら明日、学校大丈夫ね」
「おう、もうすっかりいいみたい。
じゃあ俺、オカアに言って、お茶入れてもらうわ」
「あ、オズ、私がお母様にお願いしてくるわ。
私もお手伝いしてくるから、ちょっと待っててね」
ジャンヌは立ち上がって、行きかけると、再びバックを置いたところに戻り、
「あ、忘れていたわ、今日、オズがお休みしたから、
私、オズの分も、ノート取ってきたの。
授業受けながら、二人分取ったのよ。
間に合わなかったところは、休み時間にモンチに見せてもらったの」
ジャンヌはそこまで俺のことを!
俺は、再びジャンヌに対するすまない気持ちで、胸が張り裂けそうになった。
ジャンヌに心からお詫びしたい。
でも、俺がジャンヌを、汚そうとしたことを話したら、
きっとジャンヌは、ショックを受け、俺を軽蔑するだろう。
俺の心は揺れた。
ジャンヌはひざまづいて、バックから切り取ったノート類を出して確認している。
ジャンヌは、ノートを俺に見せながら説明を始めた。
「えーと、これが英語でしょ、ここに教科書のページ書いてあるから。
急いで書いたから、字が汚くなってごめんなさい。
読みにくかったら後で聞いてね。これが国語で……」
俺はもうジャンヌの説明を聞いてなかった。
俺の感情の高ぶりは頂点に達した。
ジャンヌは俺の無反応に気付き、説明を止め俺を見た。
俺はジャンヌと目が合うと、一気に涙が吹き出した。
今度はジャンヌに涙を見られても俺は逃げない。
ジャンヌは驚いた表情で、無言で『どうしたの?』って俺に聞いている。
「許してくれジャンヌ!」
俺はジャンヌの膝の前へ突っ伏した。
溢れる涙と全身の震えが止まらない。嗚咽も抑えられない状態だ。
「オズぅ、急にどうしたの?」
ジャンヌには、事態が飲み込めてないだろう。
「オズぅ、何か悲しいこと、思い出したの?」
俺は、ジャンヌの優しげな問いかけにまた号泣した。
俺は、涙が流れるままゆっくり顔を挙げ、ジャンヌを見つめた。
ジャンヌは困惑の表情だ。
「俺、ジャンヌに謝んなくちゃいけない」
「え、オズ、なにを?」
「俺、ジャンヌに話すの、すっげー恥ずかしいけど、
俺、ジャンヌに話さないと、俺の気が済まない」
「オズぅ、何か恥ずかしいことしたの?」
俺はジャンヌから目をそらし、下を向いて頷いた。
「ああ、ごめんなジャンヌ。ほんとにごめん」
「オズぅ、無理してお話、しなくてもいいわよ」
俺は首を横に振って、
「あのなジャンヌ、ジャンヌ昨日、後藤と二人で藤沢へ、
シューズ買いにいったじゃん」
「ええ」
俺はジャンヌに顔向けできないから、下を向きながら話す。
「俺、ジャンヌのことが心配で、昨日、一睡もできなかったんだ」
「あ、ごめんなさいオズ、私、オズ……」
俺はジャンヌを遮って
「いや、違うんだ。俺、後藤のこと、嫉妬したんだ。
もちろんジャンヌの気持ちはわかってるつもりだったんだけど」
「オズ、私……」
「いや、ジャンヌ。俺、このままだとジャンヌが……」
俺は一瞬躊躇したが、
「ジャンヌが後藤に、汚されるんじゃないかと思ったんだ。
だから俺、心配よりも、嫉妬の方が強かったと思う。
ジャンヌごめんな、嫌なこと聞かせて」
「ごめんなさいオズ、私、オズのこと、そんなに傷つけていたなんて」
俺は顔を挙げて、ジャンヌをちらっと見ると、
ジャンヌも両手を胸にあて涙を流している。
「ジャンヌ!」
「ハイ」
「俺、今から言うこと……俺の事、嫌いになっても、軽蔑してもいいから。
それから、黙って部屋から出て、帰ってもいいから」
俺はもう腹を決めた。
ジャンヌにだけは、悔いた過ちを、包み隠さず話しておきたかった。
「ジャンヌ、俺な、ジャンヌが後藤に汚されるなら……
お、俺……俺が先にジャンヌを汚してやろうって」
俺は下を向いたままだ。とてもジャンヌの顔を見れない。
「俺、ジャンヌを守護しなければならない立場なのに、
俺、どうかしてたんだ。
俺って失格だよな、ジャンヌの心を傷つけてしまって。
ほんとにごめん」
とうとう話してしまった。でも後悔してない。
ただ、ジャンヌを悲しませた苦しさで、胸が苦しい。
ジャンヌも泣いている気配を微かに感じる。
俺はジャンヌの反応がどうなるか、緊張している。
ジャンヌのことだ、軽蔑したのなら、非難しないで、黙って出て行くはずだ。
重い沈黙だ。まだ出て行く気配がない。
「オズぅ、お話してくれて、ありがとう。
私、オズのこと、信じている。これからもずっと」
え? 許してくれたのか? 俺はゆっくりと顔を挙げた。
ジャンヌはなんと、涙を流しながら微笑んでいる。
「オズぅ、私ね、オズと二人で、一緒に旅行して、
同じお部屋に泊まっても、全然怖くない。
だってオズなんですもの」
「ジャンヌ、俺のこと……」
「だってオズ、いつだか、全身全霊で私を護るからって、言ってくれたでしょ。
だから、オズが私にいけないこと、するわけないわ」
「ジャンヌ……」
俺はたまらず再び突っ伏した。
今度はジャンヌの、盲目的ともいえる信頼に感動した。
「オズぅ、今回のこと、私が無神経だったから、
オズを傷つけてしまって、ほんとうにごめんなさい。
私、なんて言ってオズにお詫びすればいいか、わからないくらいなの」
「ジャンヌ、今回、絶対悪くない」
俺は顔を挙げ否定した。
「オズぅ、もうこれ以上、自分を責めないで。
一瞬の悪い風が、オズの前を通り過ぎただけだから。
もう過ぎ去ってしまったわ」
ジャンヌがここにいる。
逃げないで側にいてくれている、俺を許してくれている。
俺はジャンヌの優しさに、心からの感謝を捧げた。
と同時に、もう二度と悪魔の囁きに引き込まれないよう自分に誓った。
「ジャンヌ、許してくれてありがとう。
俺、もう二度と過ちは繰り返さないからって、自分に誓ったから」
「オズぅ、オズって、とても勇気のある人ね。
なんか私、今、とっても幸せな気持ちよ」
「えー? そんなー。
俺、なんか照れちゃうよ! 俺も今、すげー幸せな気分」
ジャンヌは今までで最高の微笑みに見える。
俺とジャンヌは、お互い見つめ合って、喜びを嚙みしめている。
俺とジャンヌは、お互い照れて、下を向いては見つめ合い、
照れては下を向きを繰り返していた。




