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紫をまとういと高き天使  作者: げんくう
第六章 文化祭
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【演劇部】

 ランチタイムでジュリヌが、

「ジャンヌ、紫帆祭だけど、茶道部は何やんの?」

「お茶会やるの。作法室で3年生の先輩が浴衣着てお点前するの。

2年生の先輩は、隣の被服室で立ち席でのお点前なの」


「1年は? 雑用係?」

「雑用というか、受付やったり、裏方やったり」


「ジュリは? 紫帆祭では、演劇部、上演するの?」

「もちろん、毎年駐車場に野外舞台設置して上演するの」


「なあゴリ、演劇部も1年は裏方か?」

「いや、ウチは基本は全員キャスト、全員スタッフだから。

全員役をもらって舞台に立つんだ。

 だって4月からほぼ毎日練習してるし、演劇の基本から、

発声とか全てのメニューを教わるんだ。

 それに全員スタッフっていって、

大道具部か小道具部か衣裳部のいずれかに属するんだ」


「私は衣裳部に所属しているけど、私、こう見えても、裁縫得意なのよ。

 指先が器用なんだ。

 ほら、指先がぐーんと後ろに曲がって、腕の甲まで付きそうでしょ。

 これってね、和裁とか、針仕事させたら抜群なのよ」


「指先が器用な人って、指に弾力があって柔らかいのね。ジュリすごーい」


「私ね、小学校の時、家庭科の先生に褒められたのよ。すごいでしょ。」


「へーえ、俺の指、全然曲がんねえや」

「わーオズぶきっちょだ!」


「ジュリって、見かけによらず、和風な女の子なんだな」

「なにオズ、見かけによらずって!」


「いえジュリ、オズはジュリがミュージカルとか似合いそうだから……」


「そうだよジュリ、俺はジュリが、

ブロードウェイで主役を演じる女優のイメージだから」


「いいのよジャンヌ。

 オズもよいしょが巧くなったし、役者ってね、おだてられると嬉しいものよ。

 それに、私が作った衣装、

衣装合わせでキャストに着てもらうととっても嬉しい。

 早く本番の舞台で自分の作った衣装、見てみたいなって感じ」


「ジュリ、演劇部って、裏方の仕事も楽しそうね」


「そうなの、衣装のデザインも、自分たちで考えたり、

だから、本番の舞台までの準備も大変だけど、

私、六国高校に入学でき、演劇部で活動出来るって、最高に幸せ。

 中学からの夢が叶って、私、ちょー幸せ」


「キャストとしての練習もあるでしょうし、

時間はいくらあっても足らないんじゃない?」


「そうなの、部活は土日含めて毎日あるし、

ほんと、家族と過ごす時間より、演劇部の仲間と過ごす時間の方が長いし、

演劇部が第二の家族って感じ。

 演劇漬けだけど、青春真っ只中を実感できるし、

もうみんな、イキイキしてるわよ」


「ジュリ、なんかとっても幸せそう。

 それに、演劇がほんとに好きなのね。

 なんか、ジュリがとっても羨ましい」


「何言ってるの、ジャンヌだって茶道部で部活やってるじゃない」


「でも、うちの部、毎週水曜日の一日だけなの。

 その代わり、お茶の先生がいらして、本格的なお稽古して下さるの。

 ジュリたちやオズのサッカー部みたいに、

部活の稽古や練習で青春を謳歌するって感じじゃないの。

 茶道って、道を極めていくでしょ、

だから、競技みたいに競うこともないから粛々って感じね。

 でも、女子ばかりだし、なんか女子高にいるみたいで、

それはそれで楽しい世界よ。

 お互い紫帆祭が楽しみね」


「ジュリ、オカアも紫帆祭の観劇、楽しみにしてるぜ」


「家の両親もよ。ジュリの両親は来られるの?」

「ええ、パパは演劇、あんまり興味なさそうだけど、

ママに引っ張られて来るみたい」


「それなら私、ジュリのお父様にまだお会いしていないから、

ご挨拶させてちょうだいね。」


「家も両親の他に、姉貴と妹も来るっていってるんだ。

それもジャンヌに会いたいって来るんだぜ。

 俺、あいつらに絶対余計なことしゃべるなっていってるから。

 そこは親父からも、俺たちの活動のことは、

たとえ信頼のおける親友だろうが、一切しゃべるなって、

二人にはよく言い聞かせてる」


 そうかあ、俺たちの活動は、両親にも詳しく話してないけど、

マスコミ報道等で、一躍知られてしまったけど、

俺たちが当事者だってことは、家庭内でも極秘事項なんだ。


 ゴリん家は安心だけど、ジュリん家が心配だ。


「ジュリん家はどうなのさあ?」

「家も両親は大丈夫。

 弟の勝也は、詳しいことは話してないから福岡のことも、

あなたたちって知らないわ」


「へーえ、それなら安心だけど」


「勝也ね、今反抗期で、ママともほとんど口きかないし、

私ともほとんど話さない。

パパには割と素直っていうか、やっぱ男同志だから。

 お風呂はもう一緒には入らないわね」


「ジュリ、勝也君、反抗期っていっても、

別に家で暴れたり、暴力振るったりするわけじゃないんだろう?

 俺にはちゃんと挨拶してくれるし」


「そうよ、あいつ、よそのお母さんには愛想いいのよね。

 ただ口きかないってとこかな。

 ママもママで、色々干渉するから、ほら、中学入ると、いじめとか心配じゃない。

 だから、本人から根掘り葉掘り聞こうとするのよ」


「そうそう、俺も毎日学校から帰ると、オカアが学校であったこと、

しつこく聞いてくるんだ、ほんとうざかったな」


「オズう、お母様はオズが初めての中学の生活だから、心配してらしたんだわ。

 家の両親も、入学してすぐの父母の懇談会があったけど、

ほとんどの親が出席したし、父親の出席も多かったって言ってたわ。

 どこの親も心配っていうか、不安を抱きながら子供を見守っていたのよ」


「勝也の情報は、同じクラスに私の友達の妹がいたから、

そこから聞いてたから、ママも安心してたみたいだけど。

 クラスにいじめがないか、勝也もいじめるほうに回らないか心配していたわ。

 ママも、他のお母さんと情報交換しながら、

絶対いじめは止めさせましょうって、常にアンテナを高く張ってたわね」


「俺ん家の親父、損保会社だからさあ、転勤が多かったんだ。

 小学校も俺二つ替わったけど、俺ん家の兄弟、俺も含めて、

姉貴も妹もいじめにあったことなかったけど、

親父は俺たちに、いじめにあったら必ず報告しろ、

パパとママとみんなで解決するからって。

 転校する度に必ず言われたな。

 そのかわし、絶対いじめに加わるな、いじめは、人間として最低の奴がやることだ。

また、いじめに遭ってる子がいたら、見て見ぬふりをするな! 

ただの傍観者は共犯者と同じだとか言ってたな」


「ゴリの正義感って、親父さんの教育から来てんだな」


「家の親父、高校大学とずーっとラグビーやってたラガーマンなんだ。

だからチームワークを大切にするし、曲がったことが大嫌いって感じ」


「モンチのお父様って、体育会系のいいとこ取りされているわね。

家庭内のチームワークもとても良さそうね」


「転校初日の夕食なんて、みんなでどうだったか、

先生とか、クラスの雰囲気だとか、わいわいがやがや楽しかったな。

 おふくろは、毎日俺たちが帰ってくると、表情でわかるっていってたな。

 帰るとお帰りって言って、ハグから始まるんだ」


「へーえ、ゴリん家の子供たち、

お母さんから愛情いっぱい受けて育ったんだ」とジュリ。


「俺たち兄弟の結束も固かったぜ、

姉貴が長女の役割しっかり果たしていたからな。

 おふくろがいないところでも、俺や妹のこと、

しっかりウオッチしてくれてたな。

 俺が5年生の時、親父、札幌に転勤になって、

姉貴が中学生になってたから、単身赴任したんだ。

 だから親父の替わりやってくれたり、俺、小学校のとき、

地元のFC六会湘南台っていうサッカーチーム入ってて、

ゴールキーパーやってたから、よく姉貴がシュートの練習とか、

PKの練習とかつき合ってくれたんだ」


「だったらゴリ、中学んとき、反抗期なかったんだ?」

「俺は中学ん時、優等生やってたし、家でも平和だったぜ」


「ゴリって、上も下も女の子じゃない、

女の子に挟まれて育つと男の子も優しく育つっていうわね。

お姉さんも湘南じゃない。

ゴリん家って、絵に描いたような理想的で平和な家庭って感じね」


「男の子って、いろいろ大変なのね。

 オズも中学の時、反抗期あったの?」とジャンヌ。


「俺は別になかったと思うよ。

 ただ、うざいっていうか、小学校の時は、そんなに感じなかったけど、

いろいろ探り入れてきたり、オカアよりオトウの方がうざかったな。

 中学のサッカー部の練習試合なんて、親なんて誰も観に来ないのに、

オトウは来るんだよな。

 来るなっちゅうのに、隠れて観にくるんだけど、絶対判るんだよな」

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