【演劇部】
ランチタイムでジュリヌが、
「ジャンヌ、紫帆祭だけど、茶道部は何やんの?」
「お茶会やるの。作法室で3年生の先輩が浴衣着てお点前するの。
2年生の先輩は、隣の被服室で立ち席でのお点前なの」
「1年は? 雑用係?」
「雑用というか、受付やったり、裏方やったり」
「ジュリは? 紫帆祭では、演劇部、上演するの?」
「もちろん、毎年駐車場に野外舞台設置して上演するの」
「なあゴリ、演劇部も1年は裏方か?」
「いや、ウチは基本は全員キャスト、全員スタッフだから。
全員役をもらって舞台に立つんだ。
だって4月からほぼ毎日練習してるし、演劇の基本から、
発声とか全てのメニューを教わるんだ。
それに全員スタッフっていって、
大道具部か小道具部か衣裳部のいずれかに属するんだ」
「私は衣裳部に所属しているけど、私、こう見えても、裁縫得意なのよ。
指先が器用なんだ。
ほら、指先がぐーんと後ろに曲がって、腕の甲まで付きそうでしょ。
これってね、和裁とか、針仕事させたら抜群なのよ」
「指先が器用な人って、指に弾力があって柔らかいのね。ジュリすごーい」
「私ね、小学校の時、家庭科の先生に褒められたのよ。すごいでしょ。」
「へーえ、俺の指、全然曲がんねえや」
「わーオズぶきっちょだ!」
「ジュリって、見かけによらず、和風な女の子なんだな」
「なにオズ、見かけによらずって!」
「いえジュリ、オズはジュリがミュージカルとか似合いそうだから……」
「そうだよジュリ、俺はジュリが、
ブロードウェイで主役を演じる女優のイメージだから」
「いいのよジャンヌ。
オズもよいしょが巧くなったし、役者ってね、おだてられると嬉しいものよ。
それに、私が作った衣装、
衣装合わせでキャストに着てもらうととっても嬉しい。
早く本番の舞台で自分の作った衣装、見てみたいなって感じ」
「ジュリ、演劇部って、裏方の仕事も楽しそうね」
「そうなの、衣装のデザインも、自分たちで考えたり、
だから、本番の舞台までの準備も大変だけど、
私、六国高校に入学でき、演劇部で活動出来るって、最高に幸せ。
中学からの夢が叶って、私、ちょー幸せ」
「キャストとしての練習もあるでしょうし、
時間はいくらあっても足らないんじゃない?」
「そうなの、部活は土日含めて毎日あるし、
ほんと、家族と過ごす時間より、演劇部の仲間と過ごす時間の方が長いし、
演劇部が第二の家族って感じ。
演劇漬けだけど、青春真っ只中を実感できるし、
もうみんな、イキイキしてるわよ」
「ジュリ、なんかとっても幸せそう。
それに、演劇がほんとに好きなのね。
なんか、ジュリがとっても羨ましい」
「何言ってるの、ジャンヌだって茶道部で部活やってるじゃない」
「でも、うちの部、毎週水曜日の一日だけなの。
その代わり、お茶の先生がいらして、本格的なお稽古して下さるの。
ジュリたちやオズのサッカー部みたいに、
部活の稽古や練習で青春を謳歌するって感じじゃないの。
茶道って、道を極めていくでしょ、
だから、競技みたいに競うこともないから粛々って感じね。
でも、女子ばかりだし、なんか女子高にいるみたいで、
それはそれで楽しい世界よ。
お互い紫帆祭が楽しみね」
「ジュリ、オカアも紫帆祭の観劇、楽しみにしてるぜ」
「家の両親もよ。ジュリの両親は来られるの?」
「ええ、パパは演劇、あんまり興味なさそうだけど、
ママに引っ張られて来るみたい」
「それなら私、ジュリのお父様にまだお会いしていないから、
ご挨拶させてちょうだいね。」
「家も両親の他に、姉貴と妹も来るっていってるんだ。
それもジャンヌに会いたいって来るんだぜ。
俺、あいつらに絶対余計なことしゃべるなっていってるから。
そこは親父からも、俺たちの活動のことは、
たとえ信頼のおける親友だろうが、一切しゃべるなって、
二人にはよく言い聞かせてる」
そうかあ、俺たちの活動は、両親にも詳しく話してないけど、
マスコミ報道等で、一躍知られてしまったけど、
俺たちが当事者だってことは、家庭内でも極秘事項なんだ。
ゴリん家は安心だけど、ジュリん家が心配だ。
「ジュリん家はどうなのさあ?」
「家も両親は大丈夫。
弟の勝也は、詳しいことは話してないから福岡のことも、
あなたたちって知らないわ」
「へーえ、それなら安心だけど」
「勝也ね、今反抗期で、ママともほとんど口きかないし、
私ともほとんど話さない。
パパには割と素直っていうか、やっぱ男同志だから。
お風呂はもう一緒には入らないわね」
「ジュリ、勝也君、反抗期っていっても、
別に家で暴れたり、暴力振るったりするわけじゃないんだろう?
俺にはちゃんと挨拶してくれるし」
「そうよ、あいつ、よそのお母さんには愛想いいのよね。
ただ口きかないってとこかな。
ママもママで、色々干渉するから、ほら、中学入ると、いじめとか心配じゃない。
だから、本人から根掘り葉掘り聞こうとするのよ」
「そうそう、俺も毎日学校から帰ると、オカアが学校であったこと、
しつこく聞いてくるんだ、ほんとうざかったな」
「オズう、お母様はオズが初めての中学の生活だから、心配してらしたんだわ。
家の両親も、入学してすぐの父母の懇談会があったけど、
ほとんどの親が出席したし、父親の出席も多かったって言ってたわ。
どこの親も心配っていうか、不安を抱きながら子供を見守っていたのよ」
「勝也の情報は、同じクラスに私の友達の妹がいたから、
そこから聞いてたから、ママも安心してたみたいだけど。
クラスにいじめがないか、勝也もいじめるほうに回らないか心配していたわ。
ママも、他のお母さんと情報交換しながら、
絶対いじめは止めさせましょうって、常にアンテナを高く張ってたわね」
「俺ん家の親父、損保会社だからさあ、転勤が多かったんだ。
小学校も俺二つ替わったけど、俺ん家の兄弟、俺も含めて、
姉貴も妹もいじめにあったことなかったけど、
親父は俺たちに、いじめにあったら必ず報告しろ、
パパとママとみんなで解決するからって。
転校する度に必ず言われたな。
そのかわし、絶対いじめに加わるな、いじめは、人間として最低の奴がやることだ。
また、いじめに遭ってる子がいたら、見て見ぬふりをするな!
ただの傍観者は共犯者と同じだとか言ってたな」
「ゴリの正義感って、親父さんの教育から来てんだな」
「家の親父、高校大学とずーっとラグビーやってたラガーマンなんだ。
だからチームワークを大切にするし、曲がったことが大嫌いって感じ」
「モンチのお父様って、体育会系のいいとこ取りされているわね。
家庭内のチームワークもとても良さそうね」
「転校初日の夕食なんて、みんなでどうだったか、
先生とか、クラスの雰囲気だとか、わいわいがやがや楽しかったな。
おふくろは、毎日俺たちが帰ってくると、表情でわかるっていってたな。
帰るとお帰りって言って、ハグから始まるんだ」
「へーえ、ゴリん家の子供たち、
お母さんから愛情いっぱい受けて育ったんだ」とジュリ。
「俺たち兄弟の結束も固かったぜ、
姉貴が長女の役割しっかり果たしていたからな。
おふくろがいないところでも、俺や妹のこと、
しっかりウオッチしてくれてたな。
俺が5年生の時、親父、札幌に転勤になって、
姉貴が中学生になってたから、単身赴任したんだ。
だから親父の替わりやってくれたり、俺、小学校のとき、
地元のFC六会湘南台っていうサッカーチーム入ってて、
ゴールキーパーやってたから、よく姉貴がシュートの練習とか、
PKの練習とかつき合ってくれたんだ」
「だったらゴリ、中学んとき、反抗期なかったんだ?」
「俺は中学ん時、優等生やってたし、家でも平和だったぜ」
「ゴリって、上も下も女の子じゃない、
女の子に挟まれて育つと男の子も優しく育つっていうわね。
お姉さんも湘南じゃない。
ゴリん家って、絵に描いたような理想的で平和な家庭って感じね」
「男の子って、いろいろ大変なのね。
オズも中学の時、反抗期あったの?」とジャンヌ。
「俺は別になかったと思うよ。
ただ、うざいっていうか、小学校の時は、そんなに感じなかったけど、
いろいろ探り入れてきたり、オカアよりオトウの方がうざかったな。
中学のサッカー部の練習試合なんて、親なんて誰も観に来ないのに、
オトウは来るんだよな。
来るなっちゅうのに、隠れて観にくるんだけど、絶対判るんだよな」




