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紫をまとういと高き天使  作者: げんくう
第六章 文化祭
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【報道】

「オズぅ、起きて、もうすぐ着陸よ」


 俺はぐっすり眠ってしまっていた。

 ジャンヌの優しげな声が、夢の中で話しかけられ、

ふと目覚めると、涎を垂らしてしまっていた。


 ジャンヌが微笑みながら、ハンカチで、おれの涎をそっと拭いてくれた。


「オズぅ、きっといい夢見ていたのね、どんな夢だったの?」

「いや、俺、全然覚えてねえ。

 なんかさー、俺、夢の中でジャンヌの声がしてさー。

 そしたら目が覚めたんだ」


 窓の外は、すっかり暗くなっていた。

 窓側のゴリは、黙って窓の下を見ている。

 東京湾が見えているのだろう。


「そういえばジャンヌ、俺たち、っていうか、ジャンヌ、

福岡ですげー大仕事したんだったよな。今頃マスコミで大騒ぎじゃねえ?」


「私たちの顔や姿は映らないって言ったけど、私たちを目撃した人たち、

総理を始め、あの会場にいた人は、皆、記憶が曖昧になっているはずよ。

私たちの制服とか、人数まで記憶に残らないんですって」


「だからか、会場入り口のホテルの従業員とか、警備の人たちも、

まるで俺たちの存在に気がついてないみたいだったよな。

 なんかさージャンヌ、俺たち透明人間になってたのか?」


「ううん、神様が、私たちを見た人たちの、視覚とか聴覚とか、

それに記憶までコントロールされたの。

 だから総理も、私たちの記憶はぼやかされているはずよ」


「それならジャンヌ、俺たち、有名人になってないし、

今まで通り、普通に生活できるんだ」


「でもなあオズ、あの後、やっぱ俺たちのこと、

どんな報道になっているんだろう。

 それに、うどん粉被った犯人たちは、もう捕まったのかな?

 空港には、親父が迎えに来てるはずだ。そこんとこ聞いてみよう」


「俺はジャンヌん家で送ってもらうから。早く聞きたいな」


 羽田空港は無事着いた。


 ゴリは親父さん、ジャンヌは両親が迎えにきていた。


「彦、お疲れ。お前たち、とてつもないことやってきたんだな! 

 もう日本国中大騒ぎになってるぞ!」


「ジャンヌ、お帰りなさい。お母さん、あなたの顔見てほっとしたわ」


 俺たちは、それぞれの親に挨拶とお礼を言ってから。


「親父、俺たちの素姓、割れてないだろ?」

「そうなんだよ、総理を始め、お前たちを真近でみた連中も、

顔とか制服とか、人数まで記憶が曖昧になっているんだ。

 ただ、金星からきた天使が現れて、

総理を救った事実だけは確かに認識されているんだ。

 それと、その天使は、宇宙からの物凄い光をキャッチして、

光に包まれ、その後の記憶はみんな曖昧らしいんだ」


「俺たちが、ホテルの会場に入る時も、誰も俺たちの存在に気がつかないし、

出る時も、自動で扉が閉まり、マスコミ関係者が追ってこなかったし。

 これってみんな、神様の計らいだったんだよな」

 ゴリがジャンヌの方を見た。


「ハイ、大天使ミカエル様からは、眉間のチャクラからの光と、

光背により、写真やテレビには映らないってお聞きしていました。

 それと、我々の神事をみた人たちに対しては、

視覚や聴覚、記憶までコントロールされたそうです」


「そうだったんだ、だからか、ジャンヌさんの情報も、

今回全く報道されてないし。

 それにしても、天使のお仕事、お疲れさんでした」


「ありがとうございます。

 これもモンチくんやオズくんが、常に私を護っていてくれていたからです。

 あ、お父様、長浜ラーメン、とっても美味しかったですよ。

 教えていただいて、ありがとうございました」


「そうか、食べに行ったんだ、それはよかった」


 ジャンヌのお母さんが、ジャンヌの手を握り、

「ジャンヌ、体は大丈夫? 具合悪くならなかった?」


「ううん、大丈夫。お母さん、心配かけてごめんなさい」っていいながら、

お母さんを抱きしめた。


 ジャンヌのお父さんが、

「大田さん、今日は息子さんにお世話になりました。

 ありがとうございました。

 モンチくん、オズくんもありがとう。お疲れさんでした。

 大田さん、オズくんは家で送っていきますから」


 しばし到着ロビーで話した後、空港でゴリん家と別れた。


 帰りの車の中では、ジャンヌが長浜ラーメンの話とか、

天神での買い物の様子だとか、一生懸命お父さんに話しかけていた。


 お父さんも、車を運転しながら、

いかにも嬉しそうにジャンヌの話を聞いている。


 やっぱジャンヌは、お父さん子なんだって判った。


 でも、ジャンヌのお父さんもお母さんも、

俺たちのミッションのことは全然聞かない。


 普段通りの日常生活みたいだ。


 あえて聞かないのか話題にしないのか。


 ジャンヌも、ミッションとか、お祈りの話は家では一切しないのかな? 

 あれだけの大仕事をやった後なのに、お互い話題にもしない。

 なんなんだこの家族は?


 俺は、大船に近づいたので、オカアにメールした。


 飛行機に乗る前、オカアに連絡して、今晩は、ジャンヌも疲れているから、

送ってもらったら、玄関で挨拶して帰ってもらうからと言ってある。


 そこはオカアも同じ考えだった。


 家に着いたら、オトウもオカアも外で待っててくれた。


 大橋家と玄関先でしばし話をした後、ジャンヌたちは帰って言った。


 俺も早く寝たいけど、どうせオトウは、今日のことは、

マスコミの報道で聞いているだろうから、チョウ御機嫌で一杯やってたはずだ。


 しばしオトウに土産話でもしてやろう。

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