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紫をまとういと高き天使  作者: げんくう
第五章 紫をまとういと高き天使
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【成就】

 今朝は、ジャンヌが、断食を始めてから四十九日目、

大天使ミカエルから課せられた課題達成の日だ。


 ジャンヌは、とうとう頑張り通した。祈り出すと、既にジャンヌの身体は、

円光のようなオーラに包まれて、穢れの微塵も残っていない。


 やせているのが少し心配だ。


 今朝は金曜で、オトウも会社だけど、俺が六時に起きたら、

もうオトウは起きていた。


 今日は、オトウは飲まずに帰ってくるはずだ。


 先月の六国登山の時も、飲まずに寄り道しないで帰ってきた。

 それも、ジャンヌにケーキを買ってきた。


 だけど、ジャンヌは、断食中だから、今晩は食べられないからと、

オトウに申し訳なさそうに謝っていた。


 オトウはオトウで、ジャンヌにすまないことをしてしまったと、

逆に謝って、しつこいくらい後悔していた。


 結局、ジャンヌが食べられないから、俺もゴリも食べるわけにいかず、

もっともジャンヌは、自分の分もケーキ食べて欲しいと言っていたけど、

俺が、ゴリん家へ持って帰って、姉貴と妹に食べてもらおうと頼んだ。


「オズ、今日で四十九日目だよな。

 ジャンヌさん、よく頑張ったな。

 それに、今晩、また、六国見山に登るんだろ」


「ああ、そうだよ」オトウも気になっていたらしい。


「お父さんたら、今晩、オズたちがお山から帰ったら、

お祝いしようっていうのよ。

 ジャンヌさんとゴリ君のご両親も呼んで、お寿司でもとろうかって」


「オトウは呑むことしか考えてないもんな」


「オズ、まあそういうな。これは絶対お祝いに値するぞ。

 遅いから、たいしたことはしないけど、PTAで反省会っていうか、

ここはやはり、一度顔をそろえておいたほうがいいぞ」


「オトウ、お祝いなんていわないほうがいいよ。

 オトウが飲みたがってるの、みえみえだよ」


「そうか、それなら、今日で一応、けじめが着いたから、

それに、定期的に親も顔を合わせたほうがいいって」


「わかった、ジャンヌの家も、ジャンヌが、毎朝早くから訪問してるし、

ジャンヌの部屋まで用意してもらってるから、

お父さんもお礼に行きたいって言ってるそうなんだ」


 俺も正直、オトウが、ジャンヌとゴリの親父さんと飲みたいのはわかるから、

口添えしてやりたい。

 でも、二人のお父さんは、オトウほど酒が好きにも見えないけど。

 ここは、俺たちに、全面的にバックアップしてくれてるオトウに、

協力しよう。


「オズ、頼んだぞ」オトウは子供のように嬉しがってる。


 キッチンからオカアが、


「お父さん、飲むのはいいけど、あまり長くならないようお願いね」


「オトウ、でも、今晩、先月みたいに、大天使ミカエルから、

どんな使命が課せられるか判らないから。

 そこんところは理解しといてよ」


「そうだよな、ジャンヌさんは、それなりの使命をもって生まれてきたから、

それはお父さんもわかっているから」


 神殿で、四十九日目のお祈りが終わった。


「ジャンヌ、おめでとう。よく頑張ったな」とゴリ。


「私、二人がいてくれたから続けられたの。

モンチ、オズ、四十九日間、支えてくれてありがとう」


「いやあ、やっぱ……」ここで水晶が輝き出し、映像が映し出された。


 沙也香ちゃんのお父さんの、銀行強盗の映像以来だ。


 俺たちは、一瞬緊張して身構えた。


 講演会の会場のようだ。


 演説する演壇が解体され、数人で何か作業している。


 機械とか装置が映っている。


 画面に黒い煙が漂っている。作業員の頭部から湧き出ている。

 悪事の作業。悪魔の仕業の雰囲気が伝わってくる。


「これって、爆弾じゃねえ?」とゴリ。


「演説してる人を、吹き飛ばすつもりだろう。誰を狙ってんだろう」


 次に国会議事堂が映し出された。本会議場が写っている。


「始めにどこかの講演会場が出てきたよな。

 さっきの演壇に爆弾を仕掛けて、講演者を吹き飛ばすつもりだろう。

 次に国会議事堂が出てきたよな、

ひな壇に、総理はじめ、閣僚が並んでたよな」とゴリ。


「まさか総理を吹き飛ばすんじゃないだろうな」


 今の総理は、元々保守的な考えだったが、最近になって、

どういう心境の変化か、考え、政策を180度変えている。


 原発も総理就任直後は、容認というか、むしろ推進派だった。

 ところが最近、脱原発を言いだして、党内からの反発ばかりでなく、

 原発推進派の経団協との対立が一挙に表面化した。


 それと、今までお互いを利用してきた官僚機構にも大胆な改革を断行している。


 天下りを根絶すべく、独立行政法人とか、

政府の外郭団体等をのきなみ廃止している。


 官僚のOB・国会議員を巻き込んでの反発を強めている。


 それに公務員の大幅削減も進めている。


 また、総理はここへきて、

独裁者よろしく強引にトップダウンでこれらの改革を進めている。

 急に正義の味方になった感じだ。


 続いて画面が変わった。


 料亭街だ、外に黒塗りの車が止まっている。部屋で密談している。

 いずれも国会議員のバッジをつけている。

 頭部から黒い煙が湧き出て、部屋全体が黒い煙に覆われている。


 音声が聞こえてきた。


「このままじゃいかん、なんとかしなきゃ大変なことになる。

 官公庁も産業界も、そして労働組合もスクラムを組み、

総理の暗殺を極秘で進行させている。

 総理の講演会場の演壇に、爆弾を仕掛けて吹き飛ばす計画だ。

 実行は、既に、海外のある特殊機関に依頼済みだ。このことは……」


 ここで映像が変わり、

 地下鉄の霞が関駅が映っている。

 官庁街だ。次に薄暗い部屋で、なにやら密談している。


 やはり黒い煙が漂っている。密談者たちの頭部から出ている。


 音声が聞こえてきた。


「このままだと、我々省庁も、大鉈を振るわれ、

地方の出先の仕事はなくなるし、天下りの利権もみんな潰されてしまう。

 そこで……」


 次に、丸の内から大手町にかけてのビル群が映し出された。


 同じような黒い煙の漂う密室で密談している。

 みな恰幅がよく、大企業のトップという雰囲気だが、

人相は悪くなっており、頭部から黒い煙が湧き出ている。


「我々産業界も、電力会社にメスを入れられ、原発関連で幅広く、

裾野まで広がっていたおいしい利権もなくなりそうだ。そこで……」


 次に、労働組合関係の建物だ。

 同じく密談している。今までと同じく、

いずれも頭部から黒い煙が湧き出ている。


「我々官公庁の組合員や、民間の組合からも、

大規模なリストラが予想され、危機感を募らせている。

 そこで……」


 ここで映像が消えた。


「ゴリ、これって、総理の暗殺計画じゃないのか?

 今、日本を再生させるべく、大改革を断行している、総理を狙ってるんだ」


「政界と官界と産業界と組合って、

日本の中枢を担ってる連中じゃねえ」とゴリ。


「総理の改革に、拒否反応を起こしている想念が、

巨大な悪魔となっているわ。

 日本の中枢を担っている指導者たちが、

悪想念に支配されてしまっているのね」


「講演会場って言ってたな。どこだろう? 

 場所も時間も判らないじゃん」


「演壇に爆弾仕掛けるんだ」とゴリ。


「ジャンヌ、また、沙也香ちゃんのお父さんの時と同じように、

会場に乗り込んで、爆弾が仕掛けられてるから逃げて下さいって言うのか?」


「この連中を、思いとどませるのは無理かもな」とゴリ。


「今晩、大天使ミカエル様から、ミッションの指示があると思うわ」


「でも、今度は総理か。

 ジャンヌの今までの修行の厳しさも分るよな。

 俺、なんだかビビってきたよ」


「オズ、ジャンヌを100%信頼しろよ! 

 お前がビビってどうするんだよ」


「あ、ごめんジャンヌ。

 ジャンヌはいかなる時も、大天使ミカエルや、沢山の神様が、

しっかり守ってるから、絶対安心だ。

 それに、俺には役行者がついてるし、ゴリには猿田彦大神がついてるし、

ゴリ、俺もう弱気なこと言わねえから」

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