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紫をまとういと高き天使  作者: げんくう
第四章 サッカー部
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【沙也香のお礼】

 校門で、父親と、私立の制服を着た娘の、二人に声を掛けられた。


 娘は中学生のようだ。


 ジャンヌは父親を見て、娘をみた。


「あ、沙…也…香…ちゃん?」


 沙也香ちゃんは、顔が泣き崩れながら頷いた。


 ジャンヌは、優しく沙也香ちゃんを抱きしめると、


「沙也香ちゃん、安心して、もう絶対大丈夫よ。

 沙也香ちゃんの祈りは、ちゃんとイエス様が受けとめられたわ。

 イエス様がね、大天使ミカエル様に、

沙也香ちゃんの家族を救ってあげなさいって。

 沙也香ちゃん、偉いわね」


 ジャンヌと沙也香ちゃんを見つめるお父さんも、

顔をクチャクチャにして泣いている。


「ジャンヌお姉さん、ありがとうございました。私……私……」


 沙也香ちゃんは、言葉にならない。ジャンヌが強く抱きしめる。


「安心、安心。沙也香ちゃんの信仰が、お父さんを救ったのよ。

 だから、自分自身を褒めてあげてね」


「ジャンヌお姉さん、私、毎日ジャンヌお姉さんに感謝しているの。

 そして、ジャンヌお姉さんに、神様のご加護がありますようにって、

お祈りしているの」


「まあ、沙也香ちゃん、私、とっても嬉しいわ。ありがとうね」


「でも私、どうしても、ジャンヌお姉さんに会いたかったんです。

 会って直接お礼を言いたかったんです。

 パパに、どこの高校か聞いたけど、判らないっていうし、

制服が、グレーのスカートに紺のブレザー、

それに、紫のリボンしていたっていうから、六国高校だって判ったんです。

 今日、学校が早く終わるから、パパに言って、連れてきてもらったんです。

 お会いできてよかった」


「私も沙也香ちゃんに会いたかったの。あれからどうしているかなって」


「ジャンヌも、沙也香ちゃんご一家をお守り下さいって、

お祈りしていたよ。

 人のためにお祈りするって、素晴らしいことだね」


 沙也香ちゃんがゴリを見つめ頷いた。

 また沙也香ちゃんの目から涙がこぼれた。


 ゴリのナイスフォローだ。


 ここでジャンヌはお父さんに目を移し

「お父さん、本当によかったですね。沙也香ちゃんを褒めてあげて下さい」


「あのー、ジャンヌさん、なんてお礼を申し上げてよいものやら」


 お父さんもまた涙が、


「私、ジャンヌお姉さんに、もっともっと感謝したい。

 自分でもわからないくらい、沢山お礼言いたかったんです」


「ありがとう、沙也香ちゃん。

 それなら、沙也香ちゃん。

 私が、大天使ミカエル様から授かった《平成の祈り》という、祈り言があるの。

 沙也香ちゃんも祈ってくれると、お姉さん、嬉しいんだけど」


 沙也香ちゃんが喜びに目を輝かせ、


「もちろんです。ジャンヌお姉さん」


「いつも沙也香ちゃん、イエス様の、主の祈りを祈っているでしょ。

 その主の祈りの後に、祈ってくれるかな?」

「沙也香、絶対毎日お祈りします」


 ジャンヌは、胸の前で指をからめた合掌をし、ピラミッドの印を見せてから。


「それでは、『内平らかに外成る、地平らかに天成る。

地球の安寧と世界の平和が達成されますように』で、私はこれに加えて、

『大天使ミカエル様、み心のままになさしめたまえ』ってお祈りしているの」


 沙也香ちゃんもピラミッドの印を組んで、復唱した。


「わー、とっても素晴らしいお祈りですね。

 イエス様のお祈りに似ていますね。

 私、お家に帰ったら、早速お祈りします」


「嬉しいわ、沙也香ちゃん」


「あ、ジャンヌさん、今日、ジャンヌさんをお待ちしていたのは、

お礼と、ご報告がありまして。

 あれから私、家に帰ってから、あの日の出来事を、

妻と沙也香に、すべて話しました」


「え?」とジャンヌは、沙也香ちゃんを見つめると、

沙也香ちゃんは頷いた。


「ハイ、私が銀行強盗をしようとしたことも。

 ジャンヌさんに止められ、私を破滅から救っていただけたのも、

沙也香の祈りがあったからだと。

 だから、自分の娘ですけど、沙也香に感謝したかったし、

神様の存在を信じることができました。

 なんでもお見通しの神様に、素直になろうと思ったんです」


 ジャンヌはほーっという驚きの表情で、

「お父さんも、とっても素晴らしいですね」


「それから、まもなく倒産して、この家にも住めなくなるし、

無一文になってしまうからと、話したんです」


 お父さんは、沙也加ちゃんを見つめ、お互い頷き合った。


「そしたら、沙也香に励まされましてね、

沙也加は、今の私立中学を辞め、地元の公立中学に転校して、

中学卒業したら、働くって言うんです。

 そして弟の裕太を大学まで出すっていうんですよ」


 お父さんは、そこまで話すと、泣き崩れて声にならない。


「私は、絶対、正しく生きるんだって、目覚めさせられました。

 だから私、もう無一文になっても平気っていうか、完全に開き直りました。

 だから、ジャンヌさんに言われて買った宝くじも、

期待もせず、家内に渡したんです」


 俺とゴリは顔を見合わせ、次の言葉に注目した。


「そうしたら、なんと、一等二億円が当たったんです」


 俺とゴリは、お互い驚きの表情で頷き合った。


「宝くじで、倒産を免れることができました。

 借金も返済でき、沙也香も今の私立中学、辞めないで済みました。

 今回、私も、ジャンヌさんに、ぜひお会いして、

お礼と報告がしたかったんです。

 お話出来てほっとしました」


 ここまで話すとお父さんは、泣きながら、

沙也香ちゃんの肩を強く抱きしめた。


「これからは、私もジャンヌさんが祈る《平成の祈り》を祈らせてもらいます」


「ありがとうございます。お父さん。

 この《平成の祈り》を祈ると、必ず大天使ミカエル様のご加護がありますよ」


「ジャンヌさん、感謝の気持ちを、ジャンヌさんが授かった

《平成の祈り》を祈らせていただくことで、ご恩に報いたいと思います」


「お父さん、それだけで充分です。

 どうかこれからも、どうぞお健やかにお暮らし下さい。

 沙也香ちゃんも元気でね」


 二人は名残惜しそうに坂を下っていった。


 俺たちは、二人が見えなくなってから、


「ジャンヌ、やっぱし宝くじ、当たったんだ。でもよかったな」


「オズ、神様って、やろうと思えば、なんでもできちゃうんだな。

 俺、今回の事で、ジャンヌをますます尊敬するよ」


「モンチ、ありがとう。でも、モンチとオズのサポートがあったからよ。

 二人とも、私以上に素晴らしいわ」


「ジャンヌ、今回俺も、なんか、ジャンヌに協力できて、心が大いに満たされた」


「二人とも、これからもよろしくお願いします」


 ジャンヌも心から喜んでいた。いい笑顔を見て、また嬉しさが込み上げた。

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