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紫をまとういと高き天使  作者: げんくう
第三章 聖地巡礼
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【鈴松庵】

 時計を見ると、15時少し前だ。


「じゃあジャンヌ、まだ早いから、松下幸之助さんのお茶室で、

お茶でも飲もうか」


「あ、それなら、運転手さんの福西さん、お誘いするわね」


「ジャンヌ、俺も一緒に行くよ。

 ジュリ、ゴリも折角だから、ゆっくり散歩してこいよ。

 俺たちゆっくりお茶飲んでるから」


 俺は、ジュリとゴリに気を効かせたつもりだけど、

それよりも、ちょっとでもジャンヌと二人だけになりたかった。


 俺とジャンヌが、二人で駐車場へ向かった。


 旅行先で、ジャンヌと二人だけになれるなんて、

俺は今の幸せを噛みしめていた。


「オズ、ごめんなさい、おつきあいさせちゃって」

「いや、いいんだ」


 二人で駐車場へ探しにいった。


 俺は、福西さんが車に不在で、どこか時間つぶしに行ってるのを期待した。

 少しでもジャンヌと二人だけでいたかった。


 あいにく福西さんは、シートを倒して休んでいた。


「あーよかった。福西さん、いらっしゃるみたいね」


 ジャンヌが、嬉しそうに俺を見たので、不機嫌な顔もできないので、

「そうだな、探しに行かなくてよかった」


 福西さんも、初めは遠慮していたけど、

ジャンヌが本心から相伴を願っているのが伝わったようだ。


 ジャンヌの無邪気な微笑みでお願いされたら、断れるヤツはいないはずだ。


 俺たちは、鈴松庵へ向かいながら、


「福西さん、私たち、いろんなお願いしたから、お疲れになったんですか?」

「いえいえ、私ら運転手は、休めるときに、体休めておくんですよ」


「それなら安心しました。

 福西さん、今から行くお茶室、行ったことおありですか?」

「いいえ、初めてです」


「それなら次回、いらっしゃったときに、お客様にお茶室の説明出来ますね」


 鈴松庵の入口で、ゴリとジュリが待っていた。


 ジャンヌが、福西さんを先に促したけど、固く固辞された。


 ジャンヌが先頭で中へ。

 中はかなり広かった。


 茶室にあがるとジャンヌは、床の間の掛軸の前に座り、

正式な礼をして、両手をついてお軸を拝見している。


 俺たちは、真似するか躊躇していると、ジャンヌが俺たちに振り返り、


「あ、ごめんなさい。今日は形式張らずにいただきましょう」


 ジャンヌは、係りの和服を着た年配の女性に、


「お席はどちらへ?」と聞いた。

「毛纎の上なら、どちらでもお好きなところへどうぞ」


俺たちは、庭の廊下に面して並んで座った。

すぐに和菓子が出された。


「ジャンヌ、お菓子、先に食べるのよね。

この前教わったけど、ジャンヌ、もう一回教えてね」


「ハイ、でも略式でいくわね」


「ゴリたち、散歩しなかったんだ」

「うん、ジュリともう一度、本殿と椿岸神社にお参りしたんだ」


「二人で、両方の神様に、感謝したり、これからもよろしくお願いしますって」


「ジャンヌ、お菓子どうする? 食べられる?」

「あ、じゃあ、オズ、お願い」


「OK、お皿は記念品で、持ち帰りらしいから、お菓子だけ俺の皿にのせて」


 抹茶が運ばれてきた。ジャンヌが一番先にいただく。


ジャンヌは、和服の女性に、三つ指をつき一礼し、茶碗を取ると、


「あのー、お茶を習っているのは、私だけですので、

みんな、気軽に頂戴したいんですけど」

「どうぞ、お気軽に、作法などお気になさらずに」

と言うと下がって行った。


和服の女性の言葉を聞き、なんとなく感じていた緊張感が解けた。


ジャンヌは、茶碗を隣のジュリとの間に置き、三つ指をつき、


「お先に頂戴いたします」と一礼し、茶碗を再び自分の前に置き、


「ジュリ、ほんとはここで主人がいれば、主人に向かって,

『お点前、頂戴いたします』と言いながら両手を畳につけた正式な礼をするの」


 ジャンヌは深々と頭を下げながら、 

「じゃあ、復習ね、茶碗をもって、軽く会釈し、

茶碗の正面を避けるように左へ二回まわし、飲む。

飲み終わったら、飲み口を親指と人差し指で拭き、指を、懐紙で拭く。

懐紙がなければ、ハンカチでもティッシュでもいいわ。

そのあと右回りに戻し、お返しすればいいの」


 次はジュリの番だ、始めに和服の女性に三つ指で一礼し、

ジュリは茶碗を持ってジャンヌとの間に置き、三つ指で礼をして、

次に茶碗を俺との間に置き、三つ指をついて、


「お先に頂戴いたします」次に茶碗を自分の前に置き、


「お点前、頂戴いたします」とハッキリと大きな声でいい、

作法も堂々として、ゆったりと味わっていた。


大和撫子風女子高生って感じで、ゴリも見とれている。


「ジュリ、お作法、完璧ね」

「でしよー、私、舞台にあがったつもりで、お芝居演じてたの。

お茶の心って、奥が深いじゃない。

だから始めは、かたちから入って、心の余裕を持ちたかったの」


「それでなのね。どおりで所作が、堂々としていたわ」


「ねえジャンヌ、また抹茶やろう、今度はオズん家でやろうよ。

抹茶やると、なんか、精神性が高まる気がするの。

舞台にもきっと役にたつよ。ゴリもやろうよ。

先生もいることだし。あ、私もお茶、点ててみたい。

オズ、場所提供してくれるわよね」


「提供するもなにも、もうジュリ決めてるじゃん。

俺も大賛成だから。

ジャンヌの指さばき、また見たかったんだ」


「福西さん、すいません、内輪の話ばっかして」

隣のゴリが気を使ってくれた。


「いえ、私のことはお気になさらず。

それにしても皆さん、とっても仲が良いですね」

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