【椿大神社】
次の目的地は、椿大神社だ。途中で昼食休憩をとる。
福西さんお勧めの、菰野町の道の駅を目指した。
15分くらいで道の駅に着いた。
隣に<マコモの里>という食堂があり、そこで昼食だ。
トランクをあけてもらい、みんなバックから携帯やスマホを取り出し、
メールなどをチェックしている。
ジャンヌはボトルを取り出し、みんなで食堂に向かった。
なにも食べないジャンヌ以外、福西さんの分も含めて、
ゴリがまとめて清算した。
ジャンヌのお母さんからの預かりからだから、みんなジャンヌにごちをした。
昼食後、車は鈴鹿山脈の方へ向かっている。
だんだん茶畑が多くなってきた。ゴリが、
「福西さん、お茶の畑ですか?」
「はい、そうです。ここら辺は四日市市の水沢地区っていって、
お茶の生産地なんですよ。
三重県は全国でも3番目の生産量を誇っているんです。
伊勢茶のブランドですね」
「そうですか、知りませんでした」
ふと気がつくと、やはり神様の光を感じた。
ジャンヌも合掌している。
どこを走っているのか判らないけど、神様に見守られているのが分かる。
だんだん山の麓に近づいている。
13時40分、椿大神社に到着だ。
「着きましたよ。ここはお参りするところや、見るところが沢山ありますから、
ゆっくりなさって下さい。私はあちらの駐車場でお待ちしていますから」
「はい、ありがとうございます。
じゃあ福西さん、3時目途にお待ちいただけますか」
「どうぞごゆっくり。私の事は気にしないで下さい。
後は四日市にお送りするだけですから」
「それでは福西さん、いってまいります」とジャンヌ。
みんなも行ってきまーすと言って車を降りた。
俺たちは、参道の入り口で降ろしてもらった。
鈴鹿山脈の麓っていう感じだ。
参道の奥に本殿が見える。
ここの御祭神はゴリの本体、『猿田彦大神』だ。
「ここは昔でいう伊勢の国の一の宮なんだ」
「ゴリ、一の宮ってなに?」
「律令制の時代には、国司が任国に赴任すると、先ず一番に参拝に行ったんだ。
昔の国ごとに、社格の高い順に一の宮、二の宮、三の宮って呼ばれたり、
定められたりしたんだ。所在地は地名にもなったりしているよな」
「そうかぁ、さすが猿田彦大神だな」
「いや、伊勢の国の一の宮というよりも、国津神とか地の神、
導きの神とかいわれてるんだ」
「だろうな、スケールが違うよな」
俺たちは、手水に向かって歩き出した。
ジャンヌが、手水の手前に小さな御社を見つけ、
「オズ、この御社、龍神さんを祀ってあるわ。ここからスタートね」
一同龍神さんのお社の前に整列し、二拝二拍手でお祈りをする。
上空で、龍神さんが、風をまっているのが地上にも伝わってくる。
1拝でお祈りが終わると俺は、
「ジャンヌ、今、真上で龍神さんが舞ってなかった?」
「ええ、私たちを歓迎してくださったみたいね」
「それじゃあ、神様がお待ちかねだな」
俺たちは手水を使うと、
「ここは、モンチ、ジュリ。二人、前に並んでお願いできる?」
ゴリとジュリは、お互い見つめ合い、一瞬戸惑ったが、
二人同時にうなずいた。
俺とジャンヌが、後に続く。
参道を歩き始めると、ジャンヌが俺をちらっと見て、嬉しそうに微笑んだ。
俺も頷きながら、微笑みをかえした。
参道を進む、前の二人を見ていると、二人には似合わず、
かなり緊張しているのが分る。
新米役者が、初舞台を踏む緊張状態なのだろう。
ゴリもジュリもロボット歩行みたいだ。
二人とも、羽織袴と白無垢は着ていないが、
あたかも神前結婚式に向かうみたいだ。
ジャンヌと後からついてく俺は、まるで仲人気分だ。
本殿前に達すると、ゴリとジュリが立ち止り、俺たちを振り返ると。
「ご祈祷お願いするから、私は本殿に上がって報告します。
二人もその時、一緒に報告したら?」ゴリとジュリが頷く。
「ここはモンチ、お祈りのリードをお願いします」
ジャンヌが左端、俺が右端で四人整列し、
「モンチ、お願いします」
ゴリが合掌し、短く報告した後、一斉にお祈りした。
みんなでお祈りした後、
「モンチ、ご祈祷の申し込み、お願い出来るかしら?」
「OK、社務所に行ってみるか」
社務所でゴリが、
「ジャンヌ、申込者はジャンヌでいいか?」
「ここは、モンチでお願いできるかしら?」
「え、俺でいいの? それと、何を祈願する? いろいろ項目あるけど」
「そうね、『芸道上達』でいいんじゃないかしら?
ここは、モンチとジュリが、神様と交流していただく為だから」
神社の案内のパンフレットを見ると、猿田彦大神と同じく祀られている
『あめのうずめのみこと』は、ここでは『天之鈿女命』と書かれている」
福西さんの言うとおり、見るとこ満載だ。全部回っていたらきりがない。
俺たちは、拝殿に案内された。ここは、本殿は奥にある造りだ。
ジャンヌが目をつぶって、合掌している。
ゴリとジュリも、何か報告してるみたいだ。
ご祈祷を受けるのは、俺たちだけだ。
やがて太鼓が響き渡り、神主の祝詞奏上が始まった。
ご祈祷が終わると、ゴリとジュリが涙を流していた。
「俺、自然と涙が流れて、とまらなかったよ。体が熱くなったし」
「私も、泣いてないんだけど、でも、ずっと感激していた」
「そりゃ、ここは、二人が主役だからな。
自分の分霊が揃ってお参りに来たから、
さぞかし両方の神様も喜んでらっしゃるぜ。
ジャンヌ、二人を見てると心がほんわかするわ」
「ええ、私も」
「なあジャンヌ」
「なあに、オズ」
「俺、今、猿田彦大神は感じたけど、六国見山の頂上みたいに、
姿は現わされなかったな」
「そうね、お姿を見られるのは、六国見山の山頂だけかもしれないわね。
やはり六国見山は、特別な聖地なのね」




