【福王神社】
次は、多度大社を後にして、福王神社へ向けて出発だ。
11時を回ったところだ。
街道沿いの道路標識に、大きく彦根方面の表示があった。
「ジャンヌ、まっすぐ行くと、彦根に行けるんだ。井伊大老の地元じゃん」
「あーらほんとだ。西片町のおばあちゃんも、
いつか彦根を訪れたいって言っていたわ」
「福西さん、ここから彦根まで、どのくらいかかるんですか?」
「そうですねえ、ここからなら、一時間ちょっとで行けると思いますよ。
あの山の向こう側ですから。山を越えると滋賀県ですから」
しばらく平坦な道を進み、福王神社入り口の案内を右折し、
鳥居をくぐって、山へ向かって進んで行く。
鳥居をくぐったあたりから、神様を感じ始めた。ジャンヌも合掌している。
途中に<福王山>のバス停があった。
終点のはずだ。まだ麓だし、ここから歩いたら、かなりありそうだ。
タクシーでよかった。しばらく山に向かって進んで行く。
ゆるやかな登りから、急な登りになり、一番上の、
参道入り口で降ろしてもらう。
11時半だ。福西さんが、
「本殿までは、かなり登りますよ。本殿の奥に、奥の院があって、聖徳太子は、
福王山の山頂まで登ってるはずですよ。皆さん、今日は、本殿までですよね?」
「ハイ、そのつもりです。なあ、ジャンヌ」
ゴリがジャンヌに確認し、ジャンヌが頷く。
「福西さん、ゆっくり上がってきますから、少し時間かかるかもしれません。
よろしくお願いします」とゴリ。
「ハイ、了解しまいた。どうぞ、ごゆっくり参拝なすってください」
かなり上がってきたようで、後ろを振り返ると、かなり眺めがいい。
鳥居下の階段のへりに、傘立てみたいな箱に、杖が何本も用意されていた。
見上げると、階段が、奥の方まで続いており、本殿は見えない。
登りはきつそうだ。
「ジャンヌ、杖使ったら? 本殿まで、かなりありそうだぜ」
「ううん、大丈夫」
「じゃあ、ゆっくり行こう。ジャンヌ、断食で体力落ちてるだろうから、
しんどかったら言えよ。俺、おぶってやるから」
「心配してくれてありがとう、オズ。ゆっくり登れば大丈夫だから」
「俺も、オズと替わりばんこにおんぶするから、遠慮しないで言えよ」
「そうよジャンヌ。もう、初めからゴリの背中に乗って行ったら?
後で昼ごはん、沢山食べさせれば大丈夫だから」
「おい、俺、荷駄馬じゃねえぞ。でも、ジャンヌが荷物なら、喜んで運ぶから」
「ありがとう、ジュリ、モンチ。しんどくなったら、遠慮しないから」
「じゃあ、ゆっくり行こうか」ゴリが先頭だ。ジャンヌ、俺、ジュリと続く。
俺は、ジャンヌの斜め後ろから、様子を見ながら進む。
途中には、いろんな神様を祀っていて、それぞれお参りしていく。
本殿下の、急な階段も、ジャンヌはなんとか、自力で上がった。
苦しそうに、荒い息をしている。
「ジャンヌ、少し休憩してからお祈りしようか。
息、整えてからの方がいいだろう」とゴリ。
「ハイ、そうするわ。少し待ってね」
「ここ、神社なのに、毘沙門天祀ってるんだよな。
聖徳太子の時代は、神社も寺院も区別なかったのかもしれないな」
ゴリは、神社とか、寺院では、御祭神とかご本尊は、必ずチェックしている。
社務所は閉まっていて、無人だった。
本殿までの参道は、木々が整備されていて、杉の大木が、歴史を感じさせる。
本殿は、福王山の中腹にあるようだ。
ジャンヌが、息が整ったところで立ち上がった。
「ジャンヌ、ここでの祈りは、最後は、
毘沙門天様ありがとうございますでいいのか?」とゴリ。
「途中、いろんな神様にもお参りしたから、毘沙門天様、福王神社神々様、
ありがとうございますでいきましょうか」
「ジャンヌ、ここ、そもそも、聖徳太子が開かれたから、
俺、聖徳太子も加えたいんだけど」
「わー、オズ、よく気がついてくれたわね。
じゃあ、私が始めに報告しておきます。最後に聖徳太子も入れましょう」
「それからジャンヌ、下見ても、上がってくる人見えないけど、
二拝二拍手でいく?」
「そうね、今回の神社巡りでは、全て二拝二拍手一拝で行きましょう。
だけどオズ、私、少し長めにお祈りさせてね」
「OK、終わったら、合図してな」
「じゃあ、正面に並びましょうか。ジュリもモンチのお隣で」
俺たち、一列に並び、初めにジャンヌが、合掌して報告している。
ジャンヌの報告が終わり、一斉に二拝二拍手のあと、お祈りに入った。
ジャンヌが金色の光を放っている。
ジャンヌにつられて、俺の意識も宇宙大に広がっていった。
ジャンヌの、ハイ、の合図で目を開け、最後の一拝で終了した。
「皆さんありがとうございました。一つ目のミッション終了ね」
ゴリが、本堂を見上げながら、
「この地から、伊勢神宮をお守りしてるんだ。
南の方角に、100キロくらいあるんじゃないかな。
さすが、伊勢神宮の、スケールの大きさがわかるよな」
「なあゴリ、ここの毘沙門天、聖徳太子の時代からだから、
聖徳太子は600年前後の人だから、1400年も前から、
お伊勢さんをお守りしてたんだ」
帰りは、登りと別の参道だ。左側を下っていく。
少し下ると、聖徳太子が駒を繋いだという<太子杉>があった。
御神木なので、みんなでお祈りした。
参道の入り口で、福西さんが待っていてくれた。
12時20分になっていた。俺たちは、入り口で整列し、
深々と礼をしてタクシーに乗り込んだ。




