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紫をまとういと高き天使  作者: げんくう
第三章 聖地巡礼
23/105

【多度大社】

 近鉄桑名駅で下車して、そこからタクシーだ。


 ジャンヌのお母さんが、ホテルを予約するとき、当日の訪問地を説明し、

桑名駅から観光タクシーを使えないか聞いたところ、ホテルで手配してくれた。


 ホテルの宿泊費とタクシー料金も、合わせて前払いしているそうだ。


 新幹線に近鉄特急とか、交通費も含めると、四人分だから、

かなりの負担のはずだ。


 俺たちの、当初の計画では、最終訪問地の、椿大神社でタクシーを帰し、

四日市までバスで帰る予定だった。


 ジャンヌのお母さんが、テスト期間中だから、

その分ホテルで勉強しなさいということで、全行程タクシーになった。


 四日市のホテルも、二部屋取ってくれているが、一部屋は、

みんなで勉強出来るように、スイートルームを取っているらしい。


 大橋家の、普段の慎ましやかな生活とのギャップが理解出来ない。


 ジャンヌにも、贅沢はさせていないが、今日も、制服や靴は新品だ。

まだ5月だし、一年生の制服は、誰でもまだ新品同様なのに。


 大橋家は、本当は大金持ちだったりして。でも、俺にはよく解らん。


 桑名駅では、改札口で、

『大橋様御一行』のプラカードを掲げて待っていてくれた。


 運転手さんは、50才くらいの温厚そうな人だ。


 トランクにバックを積み込むと、ジャンヌが運転手さんに近付き、

「今日一日、よろしくお願いします」と深々と頭を下げた。


 俺たちも揃って、

「よろしくお願いします」同じく頭を下げた。


 ゴリが、

「俺が前に乗るから」


 後ろは、ジャンヌがジュリを奥へ先に乗せ、次に自分は真ん中に座った。


 出発前にゴリが、

「運転手さん、事前に今日の目的地とルート、確認していいですか?」


「ハイ、初めに多度大社でよかったですよね。

そこで参拝され、次は福王神社、最後に椿大神社で参拝され、

四日市のホテルへお送りすることになっていますが」


「ハイ、それで結構です」


 走り出すと、運転手さんが、

「福西と申します。安全運転を心がけますので、今日一日、

どうぞよろしくお願いします」


 すかさずゴリが、

「こちらこそ、よろしくお願いします。大田と申します」

「私、大浜です」「大橋です」「大澤です」


「皆さん、どちらからお越しで?」

「神奈川県です」


「ああ、横浜ですか」

「いえ、大船とか、藤沢からです」


「皆さん高校生ですか?」

「ハイ、神奈川県立六国高校の一年生です」


「今日の訪問ルートから、明日はお伊勢さんですか?」

「ピンポーンです」ここからジュリが待ちかねたように、


「福西さん、あ、お名前で読んでもいいですか?」

 福西さんは「ええ、どうぞ」


「ハイ、じゃあ、ネットで多度大社調べると、江戸時代の、

お伊勢参りの時代から、『お伊勢参らば多度にも掛けよ、

多度に掛けなきゃ片参り』っていわれていましたよね」


「おっしゃるとおり、多度大社は、お伊勢参りの通り道ですからね」

「ですよね、そこで、福西さん、昔から順番は、多度大社が先だったんですか?」


「すいませんそれは判りません。でも、伊勢神宮も、外宮から参拝し、

内宮は後ですからね」

「そうかー、それなら納得」


「皆さん、高校の研究会か何かで?」

「まあ、そんなとこです」とゴリ。


「ねえ、ゴリ、途中でトイレ休憩してね」

「了解。福西さん、多度大社へは30分位ですか?」


「そうですね、ご祈祷、お受けになられますか?」


 皆んな沈黙、ジャンヌが、

「いえ、ここでは参拝だけです」

「そうですか、それなら、多度大社から福王神社まで30~40分ですから、

お昼前に着くと思います。

 福王神社は、山の奥にありますから、階段もきついと思いますよ」


「ねえゴリ、トイレ、キレイなとこでお願いね」


「あ、トイレでしたら、事前にどこか」


「福王神社にお詣りしてから、お昼にどこか、ファミレスに入ればいいじゃん」

「わかった」


「福王神社から椿大神社へ行く途中に、菰野町の道の駅がありますから、

そこで休憩と、お昼されたらいいかと思います」


「ジュリ、そんなんじゃ、キャンプとか、トレッキングとか出来ないじゃん」

「オズ、今日は、みんな制服着て正装してるでしょ。

 女の子はね、清潔が第一なの、私だってキャンプとか山登りなら、

外で大小だって平気よ」


「だったらジュリ、ぜいたく言わないで、トイレなんてどこでもいいじゃん」

「オズったら、気が利かないわね。

 女の子はね、トイレが汚ないの、絶対いやなの!

 よく覚えておきなさいよ。今日は、私がいるからいいけど、

ジャンヌだけだったら、気を付けてあげなさいよ」


「ジュリ、ありがとう。私なら大丈夫、平気よ」


「桑名市の観光協会でも、観光客、特に女性の要望は、

清潔なトイレらしいですよ」


「でしょ、解った?」

「ハイハイ、気を付けますよ」


 市街を抜けると、多度山が見えてきた。麓に大きな鳥居が見える。

 ジャンヌが合掌している。神様の光を強く感じる。


「ジャンヌ、強烈だな」

「ジャンヌは黙って頷いた」


「オズ、何か感じるの?」

「うん、見えたりはしないけど、神様の強い光を感じるんだ。

 目がヒリヒリするんだ。俺たち、毎日、神殿でお祈りしてるだろ、

だからどんどん進化してるみたいだ」


「ねえゴリ、ゴリも感じるの?」

「いいや、俺はなんにも感じない、だけど、ジャンヌが祈り出すと凄いんだ。

光明燦然と輝き出すんだ。それは俺も判る」


「へーえ、ジャンヌって、やっぱ凄いんだ。私はなんにも感じないわ」

「感じる感じないは、体質的なものだろうけど、

ジュリだったら霊媒体質かと思った」とゴリ。


「ジャンヌは、見えたり、感じたりするの?」

「いいえ、私は直感的に感じるの」


「ジャンヌの直感力は、日々進化してるよ」


 助手席のゴリが、

「ジュリ、多度大社の神様がお出迎えのようだから、

おしゃべりは控えておこうぜ」


「了解」ジュリも合掌している。


「あの多度山全体が、神域といわれています」

「そうなんですか、そんな感じがしますね」とジャンヌ


 車内はみんな、合掌している。外から見ると、高校生が制服着て、

全員合掌している光景は、異様に写るだろう。


 多度大社に到着した。俺たちは、タクシーを降り、

荷物はトランクに置いて参拝する。

 本殿に向かいながら、参拝の仕方でゴリが、


「なあ、ジャンヌ、参道の歩き方だけど、熊野神社の時は、

参道が狭かったから、一人づつ進んだけど、

ここの参道広いから、三人並んで行くか? 

 それと、参道の真ん中は、神様の通り道だから、

端を歩けって言われてるだろう」


「神様は、上から降りていらっしゃるから、

参道はどうかなあ、お通りになるのかなあ。

 でも、ここでは世の習いに従って、中央は避けましょう」


「了解、じゃあ、俺たち、朝、体を清めてきたけど、

手水で手と口、ゆすぐんだな」

「そうね、ほかの人が私たちを見て、礼儀知らずな高校生って思われたら、

見た人の心を曇らせてしまうものね」


「いろんな作法があるのね、ゴリ、よく知ってるわね」

「うちの親父、けっこう信心深くてさ、よくいろんな神社へお参りに行ったよな」


 俺たちは、参道というか、曲がりくねった道を進み、奥の方に本殿があった。

小川に架かる、小さな橋を渡ったところが本殿だ。


 多度山の麓の、奥まった渓谷にあり、神聖な霊気を感じる。

 幽玄の世界へ来たようだ。


 橋の手前に、御祭神の説明書きがある。

 本宮の御祭神は《天津彦根命》。天照大神の第三御子とある。

 別宮で、一目連神社。御祭神は天津彦根命の御子神とあった。


 橋を渡り、左の本宮から参拝だ。


 いつのまにか、みんな無言だ。

 ジュリも神妙に後からついてきている。


「こちらにいらっしゃったのね。

 私が始めに、《平成の祈り》を奉納させていただく旨、報告しますから、

そしたら一斉に二拝二拍手、そして、ピラミッドの印を組み、

心の中で《平成の祈り》ね、最後は、多度大社の神々様ありがとうございます。

で一礼でおわり。よろしいですか?」


 ジャンヌが、俺たちに確認する。ゴリはうなずいた。


「OK、ジュリ、大丈夫?」ジュリはうなずき、

「私、ゴリの後ろでまねするから大丈夫」


 ジャンヌは、本殿の前、左寄りに立った。左右を俺とゴリが並んだ。

 ジュリはゴリの後ろに控えた。


 ジャンヌが合掌して低頭、無言で報告している。


 報告が終わり、気をつけの姿勢をとった。


 一斉に、ゆっくりと二拝、続いて二拍手。


 ピラミッドの印でお祈り。

 気をつけの姿勢をとり、ゆっくりと一拝。


「みなさん、ありがとうございました。

 続いて、あちらの別宮も、今と同じ要領でお願いします」


 別宮でも、同様に参拝し、帰りは福西さんの指示通り、駐車場の方へ。

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