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紫をまとういと高き天使  作者: げんくう
第三章 聖地巡礼
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【優等生】

 今日は、お伊勢参りへ出発の日だ。


 土曜日だから、ジャンヌは、お父さんが送って来るはずだ。

 恐らくお母さんも一緒だろう。


 ジャンヌは、やっぱし両親が送ってきた。

 今朝は家に上がって、リビングでオトウたちと話している。

 費用のことで話してるみたいだ。


 続いてゴリは、親父さんが送ってきた。

 ゴリの親父さんもリビングで、ジャンヌの両親と、費用のことで話している。

 家もゴリん家も、大橋家に恐縮していた。


 ジャンヌのお母さんが、ゴリの親父さんに、伊勢神宮での特別参拝の、

情報をもらったお礼を言っていた。

 それから、ゴリに、切符とかお金を預けるから、

よろしくお願いしますって頼んでいた。


 ゴリの親父さんが、俺たちに、お伊勢参りのアドバイスをいろいろしてくれた。


 外宮も内宮も、玉砂利を長いこと進むから、

 荷物は手軽に。キャリーバックは使用不能に陥るから、預けておけ。など、


 それと、あとのお楽しみに、赤福とか伊勢うどんとか、教えてもらった。


 それから、伊勢神宮での特別参拝は、ドレスコードが厳しいから、

ジュリのスカート丈、大丈夫か念を押していた。


 ゴリもジュリが理解したから心配ないと言っていた。


 俺たちは、7時前だけど、早めに神殿でお祈りすることにした。


 大船駅で8時にジュリと待ち合わせだ。


 俺たち三人が改札でジュリと合流した。


「お早う、ジュリ。早いのね」まだ15分前だ。


「お早う、みんな。ジャンヌ、決まってるわね。制服新品? 

あら、ローファーまで新品?」


 ジャンヌは、恥ずかしそうにうなずく。


 ジュリも今日は、スカート丈が膝下だ。


「ジュリ、今日はまじめそうじゃん」


「今日もでしょ」

「それに、性格まで素直に見えるぜ」


 しまった。また一言よけいだった。


「なにそれ! オズ、普段の私の性格、ひどいみたいじゃない」

「いえ、違うのジュリ、普段お芝居やっているから……」


 ジャンヌを遮ってジュリが


「いいのよジャンヌ。今日はオズの挑発に乗んないから。

喧嘩してたら、ご先祖樣に叱られてしまうわ」


「わー、ジュリ、今日も立派ね」

「はあ? まあまあ」


 ジュリがジャンヌのキャリーケースを見て、


「ジャンヌ、これ、マリークワントじゃない!」

「え、なに?」


「ジャンヌ、マリークワントよ! あなた、知らないで買ってるの?」

「このキャリーケース、大船のルミネで買ったの。

軽くていいから。お母さんと制服買いに来て」


 なるほど。いわれてみると、黒で光沢があって、センス良さそうだ。


「ジャンヌの家、やっぱし金持ちなんだ」とジュリ。


 俺たちは、ホームの階段を降りながら、


「でも、金持ちに見えないんだけど、ほんとは金持ちだったりして」

「ううん、家は、お金持ちなんかじゃないわ。普通のお家よ」


ホームに降りると、すぐに電車が入ってきた。


 新横浜駅から新幹線に乗った。車内ではみんな、

無言で教科書とかノートを広げて勉強しだした。


 ジャンヌもゴリも、集中している。切り替えが完璧だ。


 俺も仕方なく、勉強道具をテーブルに置いたけど、なかなか身が入らない。


 俺は勉強を始めると、すぐ眠くなり、気がついたら浜松あたりだった。


「オズ、目が覚めた? あんまりよく寝ているから、起こすのやめちゃった」


「なんだ、ジャンヌ、起こしてくれればよかったのに。

俺だけ赤点取ったらみっともないしな」

「わかったわ、オズ、私も寝ちゃったら起こしてね」


 名古屋駅で近鉄に乗り替えだ。ゴリが誘導していく。


「親父から、近鉄に乗り替えるなら、改札口の外に出ないで、

在来線の乗り替え口から在来線を突っ切って、突き当たりが、

近鉄との連絡口になってるからと言われてるんだ」


 俺たちは、在来線の端から端へ横切って、近鉄のホームに入った。

 桑名駅は、近鉄特急で一駅だ。座席は全席指定で、左の窓側がジュリ、

通路側がゴリ。通路を挟んでジャンヌ、


 右の窓側が俺の席だ。ジャンヌに窓側を勧めても受け付けなかった。


 名古屋駅から桑名駅まで20分弱だから、すぐ着くはずだ。

 でもみんな、勉強道具を出して勉強している。


 電車が鉄橋にかかり、橋を渡っている。


 ジャンヌが突然教科書を閉じ、窓の外を見つめると、


「神様がお迎えくださっているわ」と小さく言いながら合掌している。


 俺もジャンヌに言われ、神様を感じている。

 光は見えないが、ヒリヒリ感じる。地元の熊野神社と同じ感覚だ。

 やはり神様だ。


 ジャンヌが行くところ、神様のお出迎えを受けるなんて、

ジャンヌはやっぱり、いと高き天使なんだと実感した。


 ゴリとジュリが、何事かとこちらを見てる。

 俺はジャンヌの背中越に、多度大社の方を指さしながら、


「神様がお出迎え」


 ゴリもジュリも、ジャンヌに併せて無言で合掌している。


 ジュリは、驚きの表情で、ゴリを見つめている。

 ジュリも、信仰心は、それなりにあるようだ。


 桑名駅に到着した。

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