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紫をまとういと高き天使  作者: げんくう
第三章 聖地巡礼
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【お伊勢参り】

 四月に続いて、5月に入って二回目の、夜間の六国見山へ登った。

 今回も、大天使ミカエルより、新たな指令が下った。


 先ず、日本の国に安寧と平和をもたらすため、伊勢神宮に、

《平成の祈り》を奉納せよというご下命だ。


 それに加え、伊勢神宮の北の守り、福王神社にも参拝せよ、も付されている。


 大天使ミカエルはじめ、前回の神々も消え、山頂の展望台に静寂が戻った。


 俺たちは、急ぎ自宅に戻り、俺の部屋で落ち着きを取り戻した。


「モンチ、北伊勢大神宮と椿大神社にも、参拝せよってお命じになっているわ」


「ゴリ、椿大神社って、お前のご先祖の、猿田彦大神をお祀りする神社だろ」


「うおー、寄ってくれるんだ。ジャンヌ、ありがとう」

「ううん、私はただ、神様のみこころに従うだけよ。

お礼は、大天使ミカエル様と猿田彦大神にお願いね」


「あ! モンチ、オズ、これからテスト週間に入るのね! 

お勉強があるから、私、一人で行ってこようか? 無理しないでね」


「ジャンヌ、今さらなにいってるんだよ。

俺とオズは、ジャンヌを守護するために生まれてきたんだぞ。

学校の試験だって、部活だって、俺たち、ジャンヌが最優先だから。

一人でなんか、絶対に行かせられないぞ」


 ゴリの気分も高揚している。


 俺もつられて、

「そうだよジャンヌ、部活首になろうが、留年しようが、そんなこと、

ジャンヌのお役に立つなら関係ないよ」


「ありがとう、モンチ、オズ。今週の土日で回ることになると思うわ。でも、

テストに支障がないように、一緒にお勉強しながらいきましょう」


「ジャンヌとゴリは、余裕だろうけど」


「オズ、私で教えられるところは心配しないで。

教科書とかノートも忘れないようにね」


「よっしゃー。俺、お伊勢参りしてた方が成績上がりそうだ。

なんたって、ジャンヌ先生の補習を受けられるからな」


「モンチ、ジュリもお誘いしていいかな?」

「え、いいの? ジャンヌ」ゴリは考えてもみなかったみたいだ。


「椿大神社で天之宇受売命もお待ちかねよ」

「へえー、すごいことになりそうだな。

ゴリ、ぜったいジュリも行かせろよ」


「なあ、ジャンヌ、これも神様のみ心か? 大天使ミカエルも大丈夫か?」


「OKよ、モンチ。私ね、大天使ミカエル様に、ジュリのことお伺いしたの。

そしたらね、ジャンヌの思いは当然だ、ジャンヌの思いは、ほぼみ心にかなっている。

だから、自分で判断したことは、私の判断と思いなさいっておっしゃられたの」


「凄いなジャンヌ、進化してるな、ありがとな。俺もめちゃ嬉しいけど。

ジュリが聞いたら、喜びが爆発するぜ、あいつ。なあ、ジャンヌ、

ジュリに知らせていいか?」


「もちよ」


「あいつもオズと同じように、成績は低空飛行だから、

俺はジュリの面倒みるから、オズの面倒は、ジャンヌ、頼むぜ」


「ハイ。あ、旅行の費用のことだけど、うちで負担させてね」

「そういう訳にもいかんだろう」とゴリ。


「うちのお父さんは、ジャンヌの神様ごとに関わる費用は、

全て大橋家で負担するって言ってるから。モンチ、オズ、お願い。

そうご両親にくれぐれも伝えてね。モンチ、ジュリにも伝えてね」


「費用のことは一応親には伝えるけど」

「そうね、やはり子供どうしの話じゃないわね。ごめんなさい。

お母さんが電話すると思うわ」


ゴリは、インターネットで早速情報を仕入れている。


「伊勢神宮か、えーと、名古屋から近鉄だな。北の守りの福王神社だっけ?」

「ええ、そうよ。判る?」


「あった、うん、聖徳太子が伊勢神宮の北の守りのために、

毘沙門天を祀ったんだって」

「それで、大天使ミカエル様が、参拝をお命じになったのね」


「所在地は、三重県菰野町、アクセスは、近鉄四日市駅からバスで50分、

そこから徒歩で……」


「モンチ、今回は、テスト期間中だし、みんなの勉強時間も考えて、

移動で不便なところは、タクシーを使いたいからって、お父さんにお願いするわ」


「分かった。タクシーで調べとく。北伊勢大神宮は、えーと、あ、

通称北伊勢大神宮で、多度大社っていうらしい。

ここは、近鉄桑名駅から乗り換えて、多度駅下車だな。

名古屋から、三重県に入ると桑名駅で、四日市の手前の駅だな。

福王神社は、多度大社の左奥だな」


「ねえ、モンチ、椿大神社も四日市だったわね」

「うん、そうだよ、だけど、かなり奥へ入るはずだけど。

ちょっと待って、ああ、出てきた。椿大神社も近鉄四日市駅からバスで50分だ。

近鉄四日市駅の右奥が福王神社で、左奥が椿大神社ってとこだな」


「それならモンチ、桑名駅からタクシーで、多度大社へ行って、その左というか、

西側に福王神社でしょ。それから下へというか、南へ下ったら椿大神社じゃない?」

「うん、初日はそんなルートだな」


「椿大神社でタクシーに帰っていただいて、ゆっくりすればいいじゃない。

帰りはバスでいいんじゃない」


「四日市に戻ったら、夕方になるだろうから、初日は四日市泊まりだな」


「わかったわ。タクシーは、桑名駅周辺の会社に、チャーターとかできないか、

お母さんに聞いてもらうわ。それと、四日市のホテルも調べて取ってもらうから」


「よっしゃー」


「ゴリ、スゲー、気合い入ってるじゃん」

「あったりまえじゃん。みんなで椿大神社へお参りできるんだぜ。

それも、ジュリまで一緒に」


「なんか、今回の旅行って、巡礼みたいでねえ?」

「オズ、俺たちが行くところ、いずれも聖地だろうから、聖地巡礼そのものじゃん」


 ジャンヌも、気分が高揚している。多少興奮ぎみだ。


「なんか、私、伊勢神宮で、天照大御神にお会いでき、

大天使ミカエル様から授かった《平成の祈り》を奉納できるなんて、

思っただけで、なんか、身体が熱くなるの」


「なあ、ジャンヌ、伊勢神宮って、あの神話に出てくる、

天照大御神をお祀りしてるんだろ? どんな神様なの?」


「私もよく解らないけど、皇室のご先祖で、

日本の国家と皇室の守護にあたっていらっしゃるわ」


 ゴリが検索を続けている。


「なあ、ジャンヌ、椿大神社には、本殿の横に、天之宇受売命を祀った

お社があるんだ。芸道の神様として祀られているようだ」


「ジュリ、ますます喜びそうね」


「そのまた隣に、お茶室があって、抹茶一杯お菓子付きで800円だって」

「ほんと? 時間があったら寄ってみたいわね」


「ジャンヌさー、なんか、部活の合宿みたいで、楽しみが多くて、

これも神様からのご褒美っていうことでいいんだよな」


「ミッションへの心構えがしっかいしていれば、

お楽しみと切り替えればいいでしょう」


「ジャンヌがミッションモードというか、お祈りモードに切り替わると、

ピーンと空気が張り詰め、冗談も言えない雰囲気に変わるよな」


「あったりまえだろ、オズ、ジャンヌ自身が天使モードに変身するし、

神様ごとの時は、大天使ミカエルとか、相手の神様だとかを前にして、

フレンドリーな雰囲気なんか、出せっこないよ」


「そうだよな」俺も納得。


「私は別段、意識したことないけど、確かに、神様ごとの時は、

身が引き締まってるわ」


 玄関に、ジャンヌのお母さんが迎えに来たみたいだ。

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