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紫をまとういと高き天使  作者: げんくう
第二章 ジャンヌ・ダルク
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【姫カット】

 5月の連休明けだ。朝、ジュリが、ジャンヌにご馳走のお礼を言っていた。


 昼のチャイムが鳴って、午前の授業は終了だ。


 ランチタイムはいつもの4人で一緒に食べる。といっても、

ジャンヌはお茶だけだ。


 ジャンヌは、基本は一日二食で昼は抜きだ。それも肉と魚を除く、精進料理だ。


 弁当の代わりに、ポットにお茶を入れてきて飲んでいる。


「ジャンヌ、お父さんによーくお礼言っておいてね。お母さんにもね。

お寿司とてもおいしかったって」


「みんな、来てくれてありがとう」


「そうそう、お父さんの仕入れというか、センス、最高だったな」とゴリ。


「なんか海苔もいいの使ってなかった? 家とやること違うよな」


「お寿司の材料も褒めてくれてありがとう。みんなとても喜んで、

美味しかったって、お父さんに伝えておくわね」


「この前ジャンヌ、食べられなかったから、ジャンヌの修行が終わったら、

またやってもらいたいな」


「オズ、いい材料使ってたし、それに私たち、結構食べたから、

次回のお願い、気が引けるわよ」


「ううん、全然気にしないで。私も次は、みんなと一緒に食べたいから。

私の断食期間が終わったら、お父さんに絶対やってもらうから」


「なんかさー、ジャンヌのお父さんって、娘がお世話になってるから、

感謝の気持ちを表したいって思いが、こちらにひしひしと伝わってきたよな。

なあ、ゴリ」


「そうそう、それは私も感じた。なんていったって、大事な独り娘だからよ」


「あ、そうだ、忘れていた」


 ジャンヌはバックから、ジュリが忘れていったカチューシャを渡した。


「あら、ジャンヌ、ありがとうね。私、帰りにモノレールの駅まで行く途中で、

小学生の女の子がカチューシャしてたの。その子見て私、はっとして、

頭にカチューシャないからあせっちゃって、ああ、そういえばトイレに入った後、

洗面台に置き忘れたって気がついたの」


「そうよ、洗面台にあったの」

「私、取りに帰ろうかと思ったけど、まあいいやって、ジャンヌが気がついて、

学校に持ってきてくれるだろうって」


「ジュリのショートヘアに、とっても似合っていたわ」


「ありがとジャンヌ、ジャンヌのロンゲ、いつから伸ばしてるの?」

「私、たぶん、小さいときから、三つ編みが好きだったから」


「前髪ぱっつんは?」

「中学2年からかな」


「そっかー、それで、その姫カットも?」

「ううん、姫カットは、今年中学卒業してからよ。

行きつけの美容院に勧められたの。お任せしますって」


「ジャンヌの美容師って、カリスマなの?」

「いいえ、大船の、お母さんが昔から行ってる美容院よ」


「でも、ジャンヌの美容師、センスいいじゃない。

黒のロンゲで、前髪ぱっつん姫カットジャンヌ風ってとこね」


「ジャンヌのヘアースタイル、すっげー似合ってるし、かっこいいよ。

ジュリも伸ばしてみたら」


「ありがとう、モンチ」


「ちょっとゴリ、私のショートヘア、嫌いなの?」

「いや、そんなことないって。今のショートヘア、とってもジュリに似合ってるし、

カチューシャも最高に似合ってたぜ。だけど」


「だけど、なによ」

「ジュリも、ロングヘアー、似合うんじゃないかなって」


「ゴリ、ジュリも演劇部だから、ロングヘアーのかつらなんて、山ほどあるだろ」


「そうよ、オズ、いくらでもロンゲに変身しようと思えばできるんだから。

それよりオズ、ジャンヌの髪、褒めてあげなさいよ。

女の子はね、容姿は別にして、髪型は、おせじでも褒められたら嬉しいものよ」


「まあ、ジュリったら、私、オズのおせじ、きいてみたーい」


 ジャンヌのやつ、微笑みながら、目を大きく開き、瞳を一段と輝かせながら、

俺を覗き込む。


「ジャンヌの黒髪、いいツヤしてるじゃん」

「オズ、ありがとう」


 ジャンヌはいかにも嬉しそうに、両手を胸の前に合わせた。


「何、そのコメント。ジャンヌに似合ってるかどうか、聞いてるんでしょ」


 ジュリのフォークに刺したウィンナーが、こっちにすっ飛んでくる勢いだ。


 ジュリのやつ、すっげーおせっかいだな。


「ああ、とっても似合ってるよ」


「だってさ。ジャンヌ、よかったわね」


 ジャンヌは首を、横に傾げながらニッコリうなずいた。


 ジャンヌはボトルからお茶を注ぎ飲んでいる。それを見ながらジュリが、


「ジャンヌ、お茶だけでほんと、大丈夫なの?」

「これ、お抹茶なの。お抹茶に、ブドウ糖混ぜているの。

だから、脳に栄養補給しているから、授業を受けていても大丈夫なの。

ジュリ、心配してくれてありがとう」


「それ、抹茶なんだ。ねえ、ジャンヌ、今度、私たちにも抹茶点ててよ。

私まだ、抹茶飲んだことないのよ」


 ジャンヌのことだから、きっと優雅な指さばきだろうなって、

想像しただけで、無性に飲みたくなった。


「俺も、ジャンヌが点ててくれたお茶、飲んでみたい」


「じゃあ、作法室使っていいか、部長と顧問の先生に聞いておくから」

「そっかー、茶道部は、作法室で部活っていうか、稽古してるんだ」


「ええ、八畳間で、全員入ると狭いけど、楽しくやっているわよ。

先輩たちも優しいし。先生から、お部屋の許可いただいたら、

私、お家から、お茶碗とか、お道具持ってくるから、

そしたらオズ、お願いがあるの。

お家から、携帯のポットにお湯入れて、もってきてくれるかな」


「ああ、お安い御用さ」

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