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公認魔幻語使い(マジスタ)の日常生活  作者: ハル
◆第三巻 幻術の国の王女
65/157

王女の帰国(1)(挿絵あり)

 次の日の朝。

 クリス一行は再び馬車に乗せられ、親衛騎士団による護衛のもと、王宮に向かって出発した。

 途中、小さな村に立ち寄って休憩した以外は特に変わったことは何も起こらず、のんびりとした馬車の旅が続き、昼すぎには無事、首都ルーンヴィルに到着した。


 大きな市門を抜けると、石畳の大通りが真っ直ぐに伸びており、両側には様々な店が建ち並んで大勢の人で賑わっている。そして、その大通りのはるか先にある丘陵地に宮殿が見えた。


「へえ、かなり大きい街だね」


 カーテンを少しめくって通りを見ていたクリスが、パルフィを振り返る。


「まあね」

「わりと、街並みもアルティアに似てるのではないか?」

「そうね、カトリアも元々はアルトファリアの一部だったから、あんまり変わらないと思うわよ」

「ほう」

「確か、カトリアって、元々はアルトファリアの公爵領で、百何十年ほど昔に独立したんだよね」

「そうよ、私の家がその公爵の家系でね。そのまま王の地位についたのよ」

「へえ」


 こうして話している間にも、馬車は大通りを真っ直ぐに進んでいく。そして、宮殿の敷地に通じる立派な門を抜けると、外庭園が美しく広がっていた。


「うわあ」

「おお、すげえ」


 ルティとグレンが感嘆の声をあげる。

 左手には、美しい芝が広がる丘陵地に森がいくつかあり、その合間に、東屋や小規模だが石造りで立派な建物が点在している。そして、右手には、美しい湖が見えていた。


「なあ、ここって、もう宮殿の敷地内だろ? 湖まであるのかよ」

「うん。アルル湖っていうのよ。そんなに大きな湖じゃないけどね」

「きれいだねえ」


 しばらくの間、クリスたちが窓に寄って熱心に景色を見ている横で、パルフィもまた、なにか物思いにふける様子で湖を眺めていた。


「パルフィ……、大丈夫かい?」

「えっ?」

「なんか、浮かない顔してるからさ……」

「ああ。……そりゃね。家出して連れ戻されるんだし」

「そっか」

「へっ、ぶん殴られるんじゃねえか?」

「はは、いくらなんでもそれはないわよ」


 笑ってパルフィが否定するが、その笑顔はいつもの笑顔ではなく、やはりどことなく沈んだものだった。


「まあ、あたしも怒られるのは覚悟してるからいいんだけどさ、いろいろ聞かれそうで、ちょっとね。なんで家出したのかとかさ……」

「ああ……」


 クリスは、自分だけが出来の悪い王女だという、昨日のパルフィの告白を思い出した。そして、おそらくそのことを家族に言うのが嫌なのだろうと察した。


 やがて、馬車は宮殿の内正門をくぐり前庭に入る。

 庭といっても、美しい装飾のなされた石が敷き詰められた大きな広場で、その中央には大きな彫像をしつらえた噴水がある。馬車はその噴水を迂回するように廻り、正面入り口の前で止まった。

 そして、しばらくしてカチャリという音とともに、馬車の扉が開けられる。ジョゼフだった。


「殿下、並びに皆様、大変お疲れ様でございました。オルベール宮殿に着きましてございます。手前の方から順にお降りくださいませ」


 まず先にクリスが降りると、そこには数人の若い侍女が一列に並んで立っており、一斉に礼儀正しくお辞儀をした。


「いらっしゃいませ」

「ようこそお越しくださいました」

「あ、ど、どうも」


 クリスと、あとに降りてきたグレンたちは、ぎこちなくうなずいたり会釈しながら侍女たちの脇に立ち、パルフィを待つ。

 クリスたちの後ろは、王宮の正面玄関らしく、数段しかないがものすごく幅の広い階段がなだらかに建物につながっていた。そして、階段の両側には三階まで伸びる巨大な石柱が二本ずつ建てられており、建物から突き出した巨大なひさしを支えている。また、十人ほどが並んで入れるような入り口の両脇には、槍を持った警備兵が立っているのが見えた。

 馬車のそばでは、すでに親衛騎士団が下馬し、整列していた。


 そして、最後にパルフィがジョゼフに手を支えられながら、馬車を降りてきたとき


「姫さま!」

「お帰りなさいませ」

「お元気そうで……」

「姫さま、お久しゅうございます」


 侍女たちが、安堵と喜びに溢れた表情で、口々にパルフィに挨拶する。よほど王女の帰還を喜んでいるのか、中には、涙ぐんでぐすぐすと鼻をすすっている者もいた。


「みんな、ひさしぶりね」


 パルフィも、この侍女たちとは顔なじみであるらしく、再会が嬉しいのだろう、自ら近づいて、笑顔で話しかけていた。


 そして、さらに


「姫さま!」


 一人の侍女が、スカートのすそを両手でつまみ上げながら、王宮の奥からかけ降りてきた。 クリスたちよりも数才ほど年上に見え、他の侍女よりも位が少し上のようで、お仕着せの服が異なっていた。


 パルフィは、声の方を振り返り、顔をほころばせながら名前を呼んだ。


「クレア!」

「ああ、姫さま」


 クレアはパルフィの元までくると、嬉しさで感極まったのか、笑顔のままポロポロと涙をこぼす。


「姫さま、よくぞご無事で……」

「クレア、久しぶりね」

「しばらくお会いしない間に、こんなに立派になられて……、本当に、ようございました。クレアは、クレアはうれしゅうございます……ううぅっ」


 そして、滂沱と流れる涙を止めかねるように、クレアは右手で口を覆ってむせび泣いた。


「……あなたにも心配かけたわね」

「いいえ。いいえ。わたくしなどのことは……、無事にお戻りいただければそれだけで……」

「クレア……」

「姫さま、おかえりなさいませ。ご無事のお帰りをずっとお待ちしておりました」

 

 クレアは、涙で顔をくしゃくしゃにしたまま、微笑んだ。

 パルフィもその様子に心を打たれたのか、赤い目を手でこする。


「……ただいま」


 そのとき、ふと、クレアが我に返ったかのように照れ笑いしながら手で涙を拭った。


「これは不調法をいたしました」


 そして、すこしだけ面を引き締め、侍女としての務めを果たすべく、落ち着いた口調で話す。


「パルフィ殿下におかれましては、このまま国王陛下がお会いになりたいとの仰せですので、すぐにご案内いたします。残りの皆様は、その後、陛下がご引見なさいますので、別室でお待ちくださいませ」

「そう。わかったわ。じゃ、みんな、また後でね」

「う、うん」

「おう……」


 次々と繰り広げられる感動の再会を前に、所在なく立っていたクリスたちを尻目に、パルフィがさっさと行こうとするが、途中で何かに気がついたかのように振り返った。


「そうそう。ちゃんと言っとかなきゃね。ようこそ、オルベール宮殿へ。あたしの家だから、ゆっくりしていって」

「あ、ああ。ありがとう……」


 パルフィはこれだけ言うと身を翻し、ジョゼフと侍女たちをつき従えて、クレアに案内されて行く。それはまさに、普段からそうしていたということが感じられる所作であった。それをやや言葉を失ったかのように見送るクリスたち。

 そこに、一人だけ残っていた侍女が、クリスたちに話しかけてきた。パルフィより一つか二つ下の年齢で、人懐こそうな感じである。



挿絵(By みてみん)



「みなさま、わたくしは侍女のアンナでございます。これより、みなさまをお部屋にご案内いたします」


 そう言って、アンナは肩で揃えた栗色の髪を揺らして、にこやかにおじぎをする。


「あ、はい。お願いします」

「どうぞ、こちらでございます」


 クリスたちもアンナに率いられ、正面入り口から入る。そして、すぐ右に曲がり、ひたすら続く回廊を歩いて行く。これもただの通路ではなく、よくある建物の倍は幅広く、アーチ型の高い天井で、立派な装飾を施した柱が一定の間隔でそれを支えている。そして、白い壁のところどころに大きな絵が飾られ、小さなテーブル、金や銀の彫像、背の高い燭台なども置かれていた。


「へえ」

「うーむ」


 まるで田舎者のようにキョロキョロとしては感心するクリスたちに、アンナが振り返って、話しかけてきた。


「皆さまがたは、この王宮は初めてのお越しでいらっしゃいますか?」

「ええ、そうなんです。というか、宮殿に入ること自体が初めてなもので……」

「さようでございましたか。広うございましょう?」

「まったくだぜ」

「迷ったら大変ですね」

「本当だよ……。あ、ねえ、アンナさん。僕たちは貴族でも何でもないんで、そんなに丁寧に話してくれなくてもいいんだけど……」


 アンナはそれを聞くと、思わぬことを言われたというような表情を見せたが、すぐに笑顔になった。


「いいえ。みなさまは、パルフィ殿下のご友人で、王宮の大切なお客様でいらっしゃいますから、そういうわけにはまいりませんわ」

「はあ、そんなものかな……。なんか、僕たちにとっては場違いな気がするけどね」

「いえいえ、うふふ」


 しばらくして、回廊を離れて大理石に赤い絨毯を敷いた階段を上がり、さらにまた、長い廊下を歩いたあと、普通の家の扉の幅も高さも倍はあると思われるような両開きの扉の前に着いた。


「こちらでございます。どうぞお入りくださいませ」


 アンナが扉を開けてクリスたちを入れてやる。


「うわっ、すごいやこりゃ」


 クリスは思わず口に出し、あわてて口を押さえる。後ろでアンナがくすくすと笑う声が聞こえた。

 しかし、クリスたちが驚くのも無理はなかった。そこはまさに、これまで見たことのない豪華絢爛な部屋だったのだ。

 数十人は余裕で収容できるのではないかというぐらい広いうえに、二階分はあろうかという高い天井。壁には美しい彫刻が施され、巨大な絵画がいくつも飾られている。大理石で作られた巨大な暖炉も見える。そして、テーブルやイス、飾り棚、そして、壺や小さなランプにいたるまで、すべての家具と調度品は、贅沢の限りが尽くされ、まさに芸術品の域に達している。


「うわあ」

「ほう」

「これは……」


 クリスの横でミズキたちも、ため息をついて立ち尽くしていた。


「では、陛下のお召しがあるまで、こちらでお待ちくださいませ」

「あ、はい」

「別の侍女が控えの間におりますので、何か御用がございましたら、なんなりとお申し付けくださいね」


 物腰は変わらないが、少しうち解けたような笑顔を見せて、アンナは丁寧に礼をして出て行った。

 あとに残されたクリスたちは、中に入り部屋の中を見て回る。


「しかし、こりゃすげえ部屋だな」

「このような豪華な部屋に入ったのは初めてです」

「私もだ。だが、これでも単なる待合室みたいなものなのだろう?」

「へっ、この部屋一つだけでもオレのうちよりでかいぜ」

「さすが、王宮だね」


 そして、あれやこれや品定めをしながら、この贅沢な部屋を一通り検分して堪能したあと、クリスたちは高級そうなソファにおずおずと座って、今後の事を考えた。


「これからどうなるんだろうな、オレたち」

「まさか、このようなことになるとは夢想だにしなかったな」

「まったくだぜ」

「うーん。パルフィの友人ってことで、僕たちも賓客としてもてなしてもらってるけど、パルフィはここで抜けることになるんじゃないかな。マジスタを続けられるように両親に頼むって言ってたけど、実際、難しいよね、なんといっても王女なんだし……」

「やっぱり、そうですよね……」

「……ケッ、つまんねえな」


 いかにもそれが面白くないことであるかのように、グレンがぼやいた。


「ん、どうした、グレン? いつもパルフィと角の突き合いをしている割には、やけにさびしそうではないか」

「ふふ。グレンもいろいろ言う割には、パルフィがいないとさびしいんですね」

「ば、ばっかやろう、二人して何うれしそうな顔で言ってやがる。あいつがいなくても、さびしくもなんともねえよ。ただ、からかう相手がいないと調子が出ねえだけだ」


  グレンは、照れ隠しのように、ソファにドサッともたれて、両手をソファの背に広げ、ケッと横を向いた。


「はいはい」


 憎まれ口をたたくものの、どこかしょんぼりしているグレンに、クリスも微笑ましさを感じずにはいられなかった。

 とはいうものの、クリスたちの笑顔もすぐに消え、また、沈黙が続く。


「……」

「……」


 しばらくして、今度はルティが口を開いた。


「やっぱり、パルフィがいないと、静かですね」

「……そうだね」


 この部屋が、ひと気のない一角にあるのか、それとも王宮というのはこういうものなのか、シーンと静まり返っている。

 これまでも、パルフィが買い出しに行っている時など、四人だけしか部屋にいないというのはいくらでもあった。しかし、こんな風に孤独を感じることはなかったのだ。


「パルフィが抜けたら、寂しくなりますね」

「そうだね。普段騒がしかっただけに、余計にそう感じるな……」


 マジスタにとって、メンバーは、戦友でもあり、家族でもあり、切磋琢磨するライバルでもある。それが急にパーティを抜けるというのは、実に大きな出来事なのだ。

 パルフィがいなくなれば、これから四人でやっていかなければならなくなる。その見込みに、クリスは戸惑いと深い寂寥感を感じていた。


「だが、ここで悩んでいても仕方がなかろう。まだ、抜けると決まったわけではないのだ」


 ミズキが皆を、そしておそらく自分を元気づけるかのように、明るく装った。


「……うん」

「そうですね」


 そのとき、コンコンとノックがして、アンナが入ってきた。


「失礼致します。国王陛下が皆さまにご相談したき儀があると、みなさまをお召しでございます」

「わかりました。今すぐうかがいます」

「ご案内いたしますので、どうぞ」


 アンナはドアを広く開け一礼し、クリスたちに出るように促した。

 四人は立ち上がり、アンナの後について廊下を歩いて行く。


「ねえ、アンナ。僕たちはどこに向かってるの?」


 しばらくして、かなり奥のほうまで歩いてきたことに気がついて、クリスが尋ねた。


「国王陛下ならびにご一家のお居間ですわ。そこで、陛下がご家族ご一緒にみなさまとご面会なされます」

「え」


 それを聞いて、クリスたちは顔を見合わせた。国王だけでなく、一家総出で面会とは思ってもみなかったのだ。しかも、国王一家の私的な居間とは……。


「だ、大丈夫でしょうか……」


 ルティが心配そうな声を出す。


「うーむ。まさか、ご一家全員にお目通りが叶うとはな……」

「ホントだぜ。会えればいいなんざ、冗談半分だったんだがな」

「私、緊張してきました……」


 ルティたちの不安を耳にして、アンナが安心させるように微笑んだ。


「ご心配はいりませんよ。陛下もご家族のみなさまとてもすばらしい方々ですし、私たちのようなものにまで優しくしていただいていますから」

「そうなの」

「ええ」

「なあ、そういや、パルフィはどうなんだ? いい姫さまだったのかい?」


 ふと思いついたように、グレンが尋ねた。


「もちろんですわ」

「ほう」

「姫さまは下々の者にも気さくに接してくださいますし、少々やんちゃでおはねなところもおありですが、それはむしろ可愛いらしいと申しますか、みな姫さまをとてもお慕いしております。先ほど姫様をお迎えしたときの侍女たちの様子、ご覧になったでしょう? 修行の旅に出られたと伺ったときには、本当に悲しい思いで一杯でしたし、宮殿の中も少し暗い感じと申しますか、覇気のない感じがしておりました。でも、こうやって無事にお帰りになって、しかも立派におなりになって、みな喜んでいるんですよ」


 パルフィの帰還が本当にうれしいのだろう、アンナは顔中をほころばせて熱心に語っていた。


「それに、姫さまはカトリアの人たちからもとても人気がおありになるんです。もちろん、陛下もご家族も、みなさま人々の尊敬を受けられておりますが、姫さまは気さくなお人柄もあって、人々はみな姫さまのことが好きなのです」

「へえ、パルフィがねえ……」

「いいお姫様だったのですね」

「みなさまがたも、姫さまの王宮でのお姿をご覧になれば、わたくしの申すことが本当だとお分かりいただけると思いますわ」

「そうだね。楽しみにしてるよ」

「はい……。あら、申し訳ございません。私としたことが、はしたなく軽口などをいたしてしまいました。どうかお忘れくださいませ」


 アンナが少し顔を赤らめて、頭を下げる。


「いや、そんなのいいよ。パルフィがみんなに慕われてるって聞けてよかったし……」


 そして、パルフィの王女ぶりについて話をしているうちに、ひときわ大きく、美しい装飾のされた扉の前に来た。


「こちらでございます。しばらくおまちくださいませ」


 そう言って、ノックし扉を開け、一歩中に入った。


「陛下、クリス様ならびにご一行様をお伴い申し上げました」

「うむ、ご苦労であった。苦しゅうない、通してやってくれ」


 奥から、低いがよく通る、そして、威厳が感じられる声がクリスにも聞こえてきた。おそらくこれが国王の声に違いない。


「かしこまりました。それでは、みなさまどうぞ中に」


 アンナが丁寧に頭を下げる。

 クリスはたちはそれを見て、やや緊張しながら、礼を失することのないようにやや目線を下げつつ中に入った。先ほどと部屋の大きさは変わらないようだったが、国王一家の居室であるせいか、温かみのある生活感が感じられた。

 家具や調度品も芸術的なものばかりだろうが、これはもはや目に入っても、心に留める余裕がなかった。

 部屋の中央部、やや奥よりには、国王と王妃、そしてその横に、王子と王女らしき4人が二人がけの大きなソファに別れて座っているのが目に映る。


 パルフィはこの場にはいないらしく、姿は見えない。


 クリスは、ふかふかの絨毯に足を取られないように気をつけながら、部屋の中ほどまで進み、片ひざをついて頭を垂れる。グレンたちもクリスの後ろにつき、同じようにした。


 そして、クリスが、リーダーとして国王に挨拶を述べる。


「国王陛下ならびにご家族の皆様方に、拝謁の栄を賜りしこと、誠に恐悦至極に存じます。お初にお目にかかります。わたくしはアルトファリアからまかり越しましたマジスタのクリスと申します。こちらは、私と同じパーティにおります、グレン、ミズキ、ルティでございます。一同、陛下のお召しにて参上いたしました」

「うむ、これは丁寧な挨拶、痛み入る。だが、この際だ、堅苦しい物言いは抜きにしてくれ。それに、聞けばそなたたちは、パルフィの大切な友人でもあるそうだからな。さ、面を上げてそこに座ってくれ」

「はい。失礼つかまつります」


 四人は一礼して、国王一家の向かいに置かれているソファに座った

 そして、無礼にならないように気をつけながら、面を上げる。


(こ、これは……)


 クリスたちの目の前にいる人物たち、それは紛れもなく、王族という種類の人間であったのだ。



短編『新年の夜』を、短編集のページにアップしました。

ぜひご覧ください。パルフィのラブストーリー(っぽい)話です。

http://ncode.syosetu.com/n6595bf/

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