第0話:プロローグ<達美>
運命とか宿命とか
信じる信じないの問題じゃなかった
そりゃあ
人並みに
都合の良いときは神様だって信じるし?
でも
運命の相手とか
そんなのが
本当にいるなんて
一体誰が思うだろう?
我ながら
ベタな恋の始まり方だ
って思う
一目惚れとはよく言ったものだ
もしかして昔の人はぼくの為にこの言葉を作っのかもしれない
……とか言ったらちょっと馬鹿にされるかなぁ
でも文字通り一目見ただけで恋に落ちてしまった
話したこともない
視線が交わったわけでもない
時間にしてみれば
ほんの何秒かの出会い
でもその瞬間頭のてっぺんから足の先までが魔法にかかってしまったんだ
運命の赤い糸が
きっとこの小指と彼をつなげてくれてるんだと思った
彼が自分の運命の相手だと思った
見てるだけで泣きたくなるほどに…胸が痛くて
同じ空気を吸っているという事実だけで…頭がおかしくなるんだ
彼は
ぼくが生まれた時から探していた
絶対の相手
ほくが
きっと彼を幸せに出来る唯一の存在
大袈裟に言ってるわけじゃない
その時
確信したんだ
ただ―…
この赤い色が誰の流した血の色かなんて
考えてもみないことで
この糸がこの躰にからみつくなんて
身動きがとれなくなるくらい
彼しか見えなくなるなんて
あの頃は思いもよらなかったんだ