オマケ2:天国のお母様へ(アリシア視点)
あの騒動から数日が経った。
あれから私はお父様や従者の皆からこっぴどく怒られてしまった。
でも皆から怒られるのは当たり前だ。だって悪いのは私なのだから。
それに皆は私が憎くて怒ったわけではなく、私を心配して怒ってくれたんだ。
だから私は皆に多大な心配をかけさせてしまった事を猛省していき、これからはこういう事は二度と起こさないようすると心に誓っていった。
そしてそんな騒動が収まってから一週間後。
「お母様。お久しぶりです。お元気でしたか?」
私はエルフェミナ家の屋敷の庭園の奥の方にやって来た。そこには母が眠るお墓が建っている。
私はリハビリをして一人でも歩けるようになってから、時々ここにやって来ていた。理由はもちろん天国にいるお母様に近況報告をするためだ。
「私は病気も治ってリハビリも順調です。こうやってお母様の元に気軽に歩いて来れるようになりましたしね。でも自由に歩けるようになったと慢心してしまったせいで、先週には大きな事件を起こしてしまったんです。何を起こしてしまったのかというと……」
私はお墓の前に花束をお供えしていきながら、先週私に起きた事件について話していった。
「……という事件を私のせいで引き起こしてしまったんです。悪人達に囲まれてとても怖かったんですけど……でもそんな怖がっている私を助けてくれたのがセツナ様だったんです。セツナ様は私を悪人達から身を挺して庇って下さって……ふふ、本当にとても強くてカッコ良かったです」
あの時のセツナ様は本当にカッコ良かった。でもよく考えたらあの時だけではなかったよね。
セツナ様はいつも私の事を助けてくれるんだ。今まで私のリハビリの時に倒れそうになったらすぐに抱きかかえてくれたし、怖い時は手をぎゅっと握ってくれた。そもそも私の怪我を治してくれたのもセツナ様ですしね。
本当にセツナ様はいつもいつも……いつも私の事を助けてくれるんだ。それにさ……。
「それにセツナ様はカッコ良いだけでなく、誰よりも心優しい男の子なんですよ。私が辛い時はいつもセツナ様が私に寄り添ってくれますし、私のために甘いお菓子も作って下さったりした事もありました。いつも私のために優しく接してくれるんです。ですから前々からちょっとだけ思ってたんですけど……ふふ、セツナ様とお母様って似ているんですよね」
私は前々から思っていた事をお母様に報告していった。
実はセツナ様はいつも明るく優しかったお母様と雰囲気がとても似ているんだ。だからこそ私はセツナ様からとても懐かしい親近感を抱いていたのかもしれない。
でもセツナ様は優しいだけの男の子ではない。セツナ様は本当に強くてカッコ良くて素敵な男の子なんだ。こんなにも素敵な殿方がいらっしゃるなんてね……。
だから私はそんなセツナ様の事が……。
「……だ、だから、えっと……まぁその……い、いつか近い内にお母様にもセツナ様を紹介しに来ますね! だからそれも楽しみに待っていてくださいね、お母様」
私はちょっとだけ顔を赤くしながら天を見上げてそう伝えていった。きっとお母様もセツナ様に会うのを天国から楽しみにしてくれてる事だろう。
まぁお母様のお墓参りに付き合って欲しいなんて言うのはちょっと重い気もするけど……どこか良いタイミングを見つけたらセツナ様を誘ってみる事にしよう。セツナ様ならきっと嫌な顔とかせずに付き合ってくれると思うしね。
「……さてと。私そろそろ自分の部屋に戻りますね。今日もこの後はしっかりとご飯を食べて、リハビリも全力で頑張っていきますよ。それで近い内に必ず杖無しでも元気に動き回れるようになってみせますから、だからお母様も天国から私を見守っていてくださいね。ふふ、それじゃあ……またね、お母様」
私はお母様にそう別れを告げてお墓を後にした。お母様との別れはいつも悲しい気持ちになっていたけど……でも今の私はとても明るい気持ちでいっぱいだ。だって今の私にはお母様にセツナ様を紹介するという夢が出来たのだから。
本来ならば私も数か月前にはお母様の元に旅立つはずだった。でも私はセツナ様のおかげで今もこうして生きる事が出来ている。
そしてセツナ様と出会ってから今日に至るまで、私は毎日セツナ様と共に過ごしてきた。
セツナ様と一緒にリハビリを頑張ったり、甘いお菓子を食べたり、楽しくお話をしていったりと……本当に毎日セツナ様と共に過ごしてきた。
セツナ様と毎日一緒に過ごしていて、私は幸せに思う日々だった。そしてそんな日々を過ごしていればセツナ様に心惹かれるのは必然の事だと思う。
だけど私の心の内に秘めていた“その事”は誰にも喋っていなかったのに、何故か妹のエステルや、従者のシルスなどにはバレてしまっているようだ。普通にちょっと恥ずかしい。
「でも恥ずかしがってる場合じゃないわよね……よしっ!」
近い内にセツナ様は自分の領地に帰ってしまうのだから、私の心に秘めてた思いはそのまま誰にも喋らずに秘めたままにしておこうと思ったのだけど……でもやっぱり後悔だけはしたくないから。
だからこそ、私はこの心に秘めた思いをちゃんといつか……いつかセツナ様が帰られてしまう前にちゃんと伝えようと思う。
私は……アナタの事が……。
(オマケ編:終)




