オマケ1:俺の看病をしてくれてありがとう
アリシアとまた近い内にシフォンケーキ屋さんに行こうと約束した後。
「あ、そうだ。そういえば……」
「? どうされましたかセツナ様」
「はい、そういえばアリシアさんは俺の看病をして下さったんですよね? 包帯を巻いてくれたのもアリシアさんがと聞きましたよ? 気を失ってた俺の看病をしてくれてありがとうございました」
ついさっきスクルドさんからそんな話を聞いたので、俺は自分の身体にグルグルに巻かれた包帯を指さしながら感謝を伝えていった。
「あ、は、はい。僭越ながら私がセツナ様の看病をさせて頂きました。でもそんな大した看病は出来ませんでした。セツナ様が意識を失ってしまって、私は凄く気が動転としていましたし、身体を拭いたりする時もずっと手が震えてしまいましたし、包帯も歪な巻き方になっちゃいましたしね。かなり歪に包帯を巻いてしまって本当にすいません……」
「いやいや、これだけ丁寧に看病をしてくれた時点で感謝の気持ちしかないですよ。だから本当にありがとうございます。アリシアさん」
「は、はい。そう言って下さると頑張って看病をした甲斐がありました。あ、でも……今更ですけど、よく考えたらアレですよね。セツナ様は回復魔法が使えるのだから、私のこの看病ってよく考えたら無駄でしたよね。あ、あはは……」
アリシアはちょっとだけ寂しそうに笑いながらそう言ってきた。確かに俺は回復魔法が使える。でも……。
「いえ、俺の怪我は致命傷を負ったという訳ではないです。だからこの怪我は回復魔法は使わずに自然に治るまで待つ事にします」
「……え、回復魔法を使用しないのですか? で、でもセツナ様は身体が痛い事には変わりないですよね? それなら早く回復魔法を使用した方が苦痛が和らいで良いのでは?」
「まぁ確かに身体は痛いんですけど、でもスクルドさん……俺の冒険者の師匠に昔言われたんです。“いつでも回復魔法が使えるからと言ってすぐに回復魔法を使用すると、怪我や傷の痛みに鈍感になっちまう。そうなると無謀な冒険を平気でやろうとする大馬鹿野郎になっちまうかもしれねぇから、自分の怪我はなるべく自然に治すようにしろ。怪我や傷の痛みをしっかりと覚えるんだぞ”ってアドバイスを貰ったんです。だから俺はその師匠のアドバイス通り自分の怪我に関しては致命傷じゃない限りは自然に治すようにしてるんですよ」
「怪我や傷の痛みに鈍感になってしまう……ですか、なるほど。確かにいつでも怪我が治せると思ってしまうと、いつかかなり無茶な冒険をしてしまうかもしれませんものね。そのお師匠様の言葉は素晴らしい至言ですね。きっとセツナ様のお師匠様は素晴らしく優秀な方でいらっしゃるのですね」
「そうですね。俺の師匠は冒険者として超一流ですし、いつも俺の役に立つような素晴らしいアドバイスを沢山くれるんです。まぁでも今日の怪我を回復魔法で治したくない理由は他にもあるんですけどね……」
「え、お師匠様のアドバイス以外にも何か理由があるのですか? それは一体?」
「は、はい。それはまぁ、何と言うか……せっかくアリシアさんが俺のために精一杯看病してくれて、それで包帯も巻いてくれたっていうのが何だか嬉しくて……だから回復魔法をすぐに使用して怪我を治したくないなって思ったという感じです。あ、あはは」
「あ、セツナ様……」
俺はちょっと恥ずかしくなりつつも本音をアリシアに伝えていった。もしかしたらちょっとだけ顔が赤くなってるかもしれない。
「……ふふ、そうだったんですか。そう言って下さると私も嬉しいです。それでは一つセツナ様にお願いがあるのですが……セツナ様は今回の怪我は自然に治していくのですよね? それでしたら……今後も私にセツナ様の看病をさせて頂けませんか?」
「え? アリシアさんが俺の看病をですか?」
「はい。セツナ様は私を守るために怪我を負ってしまったのですから、そんなセツナ様の看病は是非とも私にさせて欲しいのです。どうかお願いできませんか?」
「そ、それはまぁ……アリシアさんが看病をして下さるなんて俺も嬉しいですけど。それじゃあその……是非ともお願い出来ますか?」
「はい、わかりました。それでは私がこれから誠心誠意を込めてセツナ様の看病を努めていきますね。そして包帯の交換も私が毎回しっかりとやらせて頂きますね」
「はい、ありがとうございます。それじゃあこれからお手数をおかけしますが、これからもよろしくお願いします、アリシアさん」
「ふふ、お手数なんて全然かかりませんよ。はい、それでは私の方こそ……こちらこそこれからもよろしくお願いしますね、セツナ様」
「はい、よろしくお願いします」
俺とアリシアは共に笑い合いながら新しい約束を交わしていった。アリシアに看病をして貰えるなんて嬉しい限りだよな。
そしてその後はアリシアと共に他愛無い話をしながら、とても楽しいひと時を過ごしていったのであった。




