39話:アリシアとの約束(終)
俺はアリシアの顔を見ながらそう伝えていった。そして俺はアリシアに続けてこう注意もしていった。
「あ、でもアレですからね。アリシアさんが悪い事をしたのは事実ですからね。屋敷の皆に黙って一人で外に出ていったのは紛れもなく悪い事ですからね? だからちゃんと屋敷の皆に叱られてくださいね?」
「そ、それは……そうですよね。皆怒ってるに決まってますよね……」
「それはそうですよ。きっと父親のギルバート様はとてつもなく怒ってると思いますし、従者の皆さんもアリシアさんに対して物凄く怒ると思います。もしかしたらアリシアさんが泣いてしまうくらいコッテリと叱られてしまうかもしれませんね」
「あ、う……それは……はい、私の罰としてしっかりと受け入れます……」
「そうですね。そればっかりは仕方ない事なので諦めて皆からコッテリと叱られてください。まぁとは言っても、アリシアさんが一人で皆から怒られたり叱られたりするのはとても辛いと思うので……よし、それじゃあ俺もアリシアさんと一緒に叱られていく事にします! だから叱られる時は言ってくださいね! いつでもアリシアさんの元に駆け付けますから!」
「……え?」
俺がそう言うとアリシアはキョトンとした顔をしながら俺の事を見てきた。
「どうかしましたか? アリシアさん?」
「……あ、い、いえ、その……セツナ様は……私を怒らないのですか……?」
「はは、そんな事はしないですよ。俺はどんな時でもアリシアさんの味方です。それに前にアリシアさんと約束しましたよね? 俺は何があってもアリシアさんを助けるって」
「えっ? あっ……そ、それは……」
「だからアリシアさんが皆から叱られて辛い時はいつでも駆け付けますよ。それでアリシアさんと一緒に怒られる事にします。二人で一緒に怒られればきっと辛い気持ちも半減するかもしれませんしね。だから一緒に怒られましょうよ。あはは」
「い、一緒に怒られる……ですか……?」
「はい、そうです。まぁでも一緒に怒られた所で辛い気持ちにはなるかもしれません。でもその時は甘い物を食べればきっとすぐに幸せな気分になるはずです! だから皆から怒られまくってボロボロに辛くなったその時は……その時はまた一緒にシフォンケーキ屋さんに行きましょうね、アリシアさん!」
「……っ……」
俺は優しく笑いながらそう伝えていくと、アリシアは一瞬言葉に詰まったようで固まってしまった。
そしてそれからすぐに……アリシアの瞳から一筋の涙がツゥっと零れ落ちていった。
「あ、あれっ? す、すいません! 泣かしてしまうつもりは無かったんですけど……! な、何か嫌な事とか言っちゃいましたか?」
アリシアが再び涙を流し始めてしまったので、俺は慌てながらそう言った。
「……え? あ、い、いえ、ち、違います。悲しくて涙を流した訳ではないんです……だ、だからその……大丈夫です。気になさらないでください……!」
「そ、そうですか? まぁそれなら良いんですけど……」
「は、はい……あ、で、でも! そ、その……ありがとうございます。私のために一緒に怒られてくれると言ってくれたり、シフォンケーキ屋に一緒に行くと言ってくれたりしてくれて凄く嬉しいです。でも怒られるのは私一人で大丈夫です。私が悪いので、罰はちゃんと私一人で受けます。でも……」
「でも?」
「でも……皆から叱られて凄く辛い気持ちになるのは絶対にそうだと思うので……だからその……甘い物が食べたくなると思うので……セツナ様と一緒にまた……シフォンケーキ屋さんに行きたいです。だからその……また私と一緒に……シフォンケーキ屋さんに行って貰えませんか……?」
「はい、もちろんですよ! それじゃあ近い内にまた一緒にシフォンケーキ屋さんに行きましょうね! 約束ですよ、アリシアさん!」
「は、はい……ありがとうございます……! そ、それじゃあ……約束ですよ、セツナ様。また近い内に……ふふ、一緒にシフォンケーキ屋さんに行きましょうね!」
「はい、わかりました!」
こうして俺とアリシアは新たに約束を交わしていった。そしてアリシアはようやく俺に向かって笑みを浮かべていってくれた。
先ほどまで泣いていたので目は真っ赤だしぎこちない笑顔ではあったけど……それでもその笑みはまさしく俺の大好きアリシアの温かくて素敵な笑顔だった。
(あぁ、本当に良かった。アリシアさんの笑顔を取り戻せて)
アリシアにはまだ呪術という問題は残っているけど、でも今はそんな事はどうでも良い。今はアリシアを無事に助ける事が出来た事を素直に喜ぼう。
そしてずっと悲しんでいたアリシアから笑顔を取り戻す事が出来て良かったなと、俺はアリシアの事を見ながらそう思っていった。
そして出来る事ならこれからも……ずっとずっと……アリシアが笑顔で居続けられるような優しい世界であって欲しいなと。
俺はそう願いながら……それからも俺はアリシアと一緒に楽しく笑い合っていった。(終)
ここまで読んで頂きありがとうございました。
本作品の投稿はここで一旦終わりにしようと思います(あとオマケ話として2話ほど投稿する予定です)
また評価やお気に入り登録もしてくださった読者の皆様も本当にありがとうございました。評価やお気に入り登録をして下さったおかげで私自身の執筆作業の励みとなっていました!
今後とも読者の皆様に楽しんで貰えるような小説を沢山作っていきますので、これからも私の作品を楽しく読んで頂けたらとても嬉しいです。
という事で以上、本作のあとがきでした。
改めてここまで読んで頂き本当にありがとうございました!




