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02話:貴族令嬢の治療依頼を引き受ける

 とある日の午後。


「あっ、セツナー! おつかれー!」

「うん? あぁ、ショルツじゃんか。おつかれー!」


 俺は外を歩いているとショルツに声をかけられた。ショルツは俺と同じ16歳の男だ。そんで馴染みの定食屋で料理人見習いとして働いている。


 ショルツとは同い年という事もあって、暇なときは一緒に飯を食ったり遊んだりする仲だ。社交的でめっちゃ良いヤツなので頻繁に遊んでる大事な友達の一人だ。


「セツナは最近冒険者の仕事はどんな感じだ? 忙しい感じか?」

「いやそんなに忙しくはないよ。ボチボチって感じかな。そういうショルツは……って、あれ? その顔の怪我どうしたんだ?」

「あぁ、これか? いや実は昨日ペットの猫に顔を引っかかれちゃったんだよ。爪切りをしていた時に嫌がられてザクっていかれちまったんだ」


 ショルツは自分の顔を指さしながらそう言ってきた。確かにひっかき傷のように見える。ザクっと切られていてちょっと痛そうだ。


「そうだったのか。まぁショルツの家の猫は爪切り嫌いだもんなぁ。よし、それじゃあ痛そうだし今から俺が治してやるよ」

「え、いいのか? それはスゲェ助かるよ。それじゃあ今からお願い出来るか?」

「わかった。それじゃあ回復魔法(ヒール)


―― ポワァッ……!


「おぉ、顔の痛みが無くなった。それにひっかき傷の跡も綺麗さっぱりと無くなったよ! ありがとう、セツナ!」

「良いって事よ。ま、でもこれからは猫に引っかかれないように気を付けろよ」

「もちろんだよ。これからは猫を怒らせないように細心の注意を払わなきゃだな。あ、そうだ。それじゃあ治療してくれた謝礼の代金を支払わなきゃだな。セツナの治療依頼の料金って幾らだったっけか?」

「いや料金なんて要らないよ。ただのひっかき傷程度の怪我で治療費なんて取る気ないし。ま、これからも食堂でショルツの美味い飯を沢山食わしてくれるならそれで十分だよ」

「マジかよ。そんなカッコ良い事を言ってくれるなんてセツナはめっちゃ良いヤツだな! はは、わかったよ。それじゃあ今度食堂に来たらセツナの飯をサービスで大盛にしてやるよ! だからこれからも沢山俺が働いてる食堂に来てくれよな!」

「おー、それは嬉しいサービスだ! わかった。それじゃあまた近い内に食堂にご飯食べに行くな」

「おう。いつでも待ってるぜ」


 ショルツは大きく笑いながらそう言ってくれた。ご飯のサービスをしてくれるなんて育ちざかりな俺にとっては最高に嬉しい事だ。また近い内に飯を食いに食堂に寄らせて貰う事にしよう。


「それにしてもセツナの回復魔法はいつ見ても凄いよなー。こんな即効性があって効き目抜群な回復魔法が使えるなんてマジで凄いよ。そういえばセツナはどうやってこんなにも凄い回復魔法を取得してこれたんだ?」

「えっ? え、えぇっと、まぁ何と言うかあれかな? 人助けを沢山してきたら勝手に覚えた感じかな? 頑張ってたら神様がくれたというか何というか……まぁそんな感じだよ」

「ふぅん? まぁよくわからないけど……でも確か回復魔法の才能って優しい心に比例するって昔からよく言われてるもんな。だから沢山人を助けてきたセツナだからこそ、そんな凄い回復魔法を使えるって事なのかもしれないな。まぁセツナはめっちゃ優しいヤツだから当然っちゃあ当然だよな」

「いやいや。俺は全然普通の人間だよ。むしろ俺なんかよりも町にいる皆の方がめっちゃ優しいだろ。ショルツも俺がこの街に来たばっかりだった頃にタダで飯を沢山食わせてくれたもんな。あの時は凄く助けられたよ。本当にありがとな、ショルツ」

「はは、そっかそっか。そんな風に感謝されるのは悪い気はしねぇな。ま、これからも俺たちはセツナが困ってる時はいつでも助けてやっからよ。だからこれからも困った事があったらいつでも言ってくれよ? 俺たちは皆セツナの味方だからな」

「はは。ありがとうショルツ。そう言ってくれると嬉しいよ。よし、それじゃあそろそろ俺は冒険者ギルドに向かうよ。それじゃあまたなー」

「おう。またなー」


 そう言って俺は友人のショルツと別れていった。


 さてと。それじゃあ今日も生活費を稼ぐために冒険者ギルドにさっさと向かうとするかな。


◇◇◇◇


 それからすぐ。


―― カランコロン♪


「こんにちはー」


 俺は冒険者ギルドの扉を開けてギルドの中に入っていった。するとギルドマスターのダグラスがすぐに俺に声をかけてきた。


「ん? あ、セツナじゃないか! ちょうど良い所に来てくれた! ちょっとこっちに来てくれ!」

「どうしたのギルドマスター? もしかして何か俺にピッタリの依頼でも入ったの?」

「あぁ、セツナにピッタリな可能性が高い依頼が来たんだ! 王都に住んでる公爵家からの依頼だ」

「……えっ? 王都の公爵家? 凄いお偉いさんからの依頼じゃんか。俺みたいなどこの馬の骨ともわからない人間が受けても大丈夫な依頼なの?」

「そんなの気にしなくて大丈夫だ。その公爵様は俺の古い知人だからな。だから俺が紹介状を書けば何も問題ないから心配すんな。それにこの依頼はおそらくセツナにしか受けられない依頼なんだよ。公爵様からの依頼は娘さんの病気を診察して欲しいとの事だ。それで治せるようなら治療してやって欲しいという内容だ」

「ふむふむ。娘さんって事はつまり公爵令嬢って事? 公爵家みたいなお偉いさんの家ならお抱えのヒーラーとかいるんじゃないの? そんな人でも治せなかった病気って事?」


 俺はダグラスにそんな事を尋ねていった。王都にいるであろう一流のヒーラーでも治せない病気だなんて、それってかなりの難病か不治の病の類なんじゃないのかな?


「あぁ、今まで診察して貰ったヒーラーたちでは治す事が出来なかったそうだ。原因がわからないから治療も困難らしくて……そんで公爵様の娘さんの病状はかなり悪化していて、今ではもうベッドから出られなくなっているらしい……」

「ベッドから出られない程に悪化してるんだ……それはかなり辛そうな病気だね……」

「あぁ、そうらしいんだ……でも誰よりも凄い回復魔法を使えるセツナならもしかしたら治せるかもしれないだろ? だから良かったらその娘さんの診察を一度やってみてくれないか? 頼む……俺の旧友の娘さんを助けてあげてくれないか?」

「もちろん。俺で治せるなら全然行くよ。という事で今から一旦家に帰って王都に向かう準備を始めていくから、ギルドマスターは紹介状の方を頼んでも大丈夫?」

「おぉ、本当か! 依頼を受けてくれてありがとう! それじゃあ今日中に紹介状を書いておくから、それを受け取ったら早速王都に向かってくれ!」

「うん、わかったよ」


 という事で俺はギルドマスターから公爵令嬢の病気を治しにいくという依頼を引き受けていった。不治の病や難病の類だったら凄く辛いだろうし、さっさと治しに行ってあげる事にしよう。

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