第一章・第四幕:脱出
あれからいくつか日が過ぎた。
僕はまだ、3人で話していた場所に座っている。
「これからどうすれば・・・」
僕はうずくまる。
「・・・星」
アステル姉さんが話してくれた『星』。
真っ暗な夜空に輝く無数の輝き、そう姉さんは言っていた。
姉さんは僕が『星に選ばれた』と言っていた。
じゃあ、僕は星を目指すべきなのだろうか・・・。
レントも、地上へ憧れを抱いてたはずだ。なら・・・。
「出よう、こんなところ・・・」
僕は強く決心した。
決心した日からかなりの時間をかけて、僕は準備を進めた。
資材から石灰を盗み瓶に詰めて煙幕の代わりになるものを作ったり、奴らが来るタイミング、つまり上のハッチが開く瞬間を見張ったりした。
そして、その日はきた。
3回目に奴らが来た時、不注意にも奴らはハッチを開けっぱにしていた。
僕はそのチャンスを逃さなかった。
奴ら全員が階段を降りその場を離れた時、鎖で封鎖された階段を駆け上がり一直線にハッチへ向かった。
「ふぅ・・・」
階段の踊り場みたいなところで僕は一息つく。
いくら計画的と言っても、衰弱しきったこの体では進めるのにある程度限界がある。
僕はもう一つの瓶に詰めていた水を一口飲み、階段を登り始めた。
「はあっはあっ・・・」
ようやくここまで来た。
見張りはいない、絶好のチャンス。
僕は目の前にある梯子に手をかけ、登った。
とても長い梯子を一段、また一段力を込めて登る。
「はぁっ・・・、きつ・・・」
その時だった。
下の方で音がした。
奴らが来た、直感でそう感じた。
僕は急いで梯子を登る。
指の皮が剥がれ落ちるような感覚を感じる
「はぁ・・・、なんで政府は俺たちにこんなことを・・・」
「仕方ないさ、軍人はこれが仕事だって昔から・・・ん?」
「どうした?」
「いや、この梯子・・・こんなに汚れてたっけ?」
終わった、そう確信した。
「まさか・・・!」
僕は持っていた手作り煙幕弾を投げた。
瓶は割れ、石灰が飛び散る。
「ゲホッ・・・なんだこれ!」
石灰は飛び散るだけで残留はしない。
僕は急いで梯子を登る。
途中通路のようなものが見えたが、それを無視して進んだ。
・・・ようやく一番上まできた。
だが何かで塞がっていて通れない。
「ふっ!ふぅっ!!」
手で押し上げる。少しだけ横にずれた気がする。
「はぁっ、ふっ!!ふぅっ!!!」
眩い光が差し込む。
僅かに開いた隙間に手を突っ込みこじ開ける。
「?!」
僕は、外に出た。
今まで見たことないほどの真っ白な光に包まれ、目がしょぼしょぼする。
乾ききった冷たい風、オブスクラシティでは見たことない白と黒で構成されたモノトーンの高い建造物。
そして・・・青い空。
何もかもが新鮮だった。今這い出た場所からガタガタと音がする。
奴らが追いかけてきたに違いない。
僕は狭い路地に入り、大通りから一つ外側の通路に出る。
「うわっ!」
何かにぶつかる。
「ごめん、大丈夫かな?」
そこにいたのは・・・人間だった。
「あの・・・君はどこから?」




