表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/6

第一章・第二幕:変化

 「ナディエ・・・?」

「・・・ん?レント?今は眠いから後にして」

「わかった、じゃあ水はここに置いておくね」

彼は自分が着ていた上着を僕に被せ、去っていった。

きっと彼も仕事へ向かったのだろう。

「あったかい・・・」

こんな世界でも、人の温もりというのは実に落ち着くものだな。

僕はそのまま、眠りに落ちた。


 気がつけば、レントとアステル姉さんが目の前で水を飲んでいた。

「あ、起きた」

「おはよ〜」

僕は置いてあった水を一気に飲み干す。

なんとも言えない味が口に広がるが、そんなこと言ってられないほど喉が渇いていた。

「そんな一気に飲まなくても・・・」

「仕方ないじゃん、死にそうだったんだから」

「あはは、じゃあこれもやるよ」

彼は自分のコップを差し出す。

「ん、ありがと」

僕は受け取った水をひと口飲んだ。

「・・・・・・」

「・・・なに?レント」

「いや、なんでも」

彼の頬が赤くなったのは気のせいだろうか。

「しかし、最近はパンを買うのもやっとだな」

「だね。闇市の値段はどんどん高くなるのに給料はあがんないし・・・どうやって生きろって言うんだよ」

「まあ・・・元々生きるために作られた都市じゃないもの」

「え?」

「姉さんは何か知ってるの?」

姉さんは優しく微笑む。

「知ってるよ、あなたたちの知らないことを、色々」

「例えばどんなの?」

「そうねぇ・・・」


僕らは今、広くて暗い通路を二人で歩いている。

「なあ・・・ほんとにここであってるのか?」

「あってるよ、姉さんも言ってたでしょ」

そう、僕たちは今、姉さんが話した『秘密の場所』を目指している。

『12番通路をずっと進んでいくと左側に消えてるガス灯があるから、そこの路地裏に入るの』

路地はとても暗く、狭い。

『で、路地を抜けるとあるわ』

「ふう・・・、狭いっつうの」

「レント・・・、あれ・・・」

目の前には、巨大な金属でできた扉があった。

不幸中の幸いか、扉は開いていなかった。

「なんだこれ・・・」

「この街にこんな場所があったなんて・・・」

僕は扉に触れる。

金属特有の冷たい感触を感じる。

「得体の知れないものには触れない方がいいって・・・」

「ねえ、レント・・・聞いて?」

「ん?」

「耳を澄まして」

微かに聞こえる幼い少女のような歌声。

「まさか・・・この扉から?」

「わからない・・・でも」

ふわふわとした感覚。

なんだか懐かしささえ感じる。

まるで、何かと重なるような・・・

瞬間、激しい頭痛が僕を襲った。

「いたっ、いっ・・・、あっあっあああ!!」

「大丈夫か⁉︎一体どうしたんだよナディエ!」

僕は頭を抱えて倒れ込む。

「おい!しっかりしろ!!」

どんどん彼の声が小さくなっていく。

「おい!ナディエ!ナディエ!ナディエ・・・」


 気づけば、いつもの場所にいた。

「あ、気がついた?良かった、死んでなかったんだね」

「・・・レント?」

「ん?なに?」

彼が向ける優しい目は、なんだかいつもと違って少し濁って見えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ