99 兄弟
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ギルドではグレイウルフを倒した者がポイントも買取してもらった代金も受け取ることになり、ミレーヌとカイエンは1頭ずつにすることにした。
2頭ともカイエンが倒したのだが、それまで7頭とひとりで戦い続けていたミレーヌにもという話になったのだ。
それから騎士と職員の4人組がひとり1頭ずつ。
どうやらこの4人はなかなか相性が良かったようで、また4人で組まないかという話になっていた。
合流した地点で退治した3頭はジョナサン、コーラス、ウィリアムが1頭ずつ。
討伐依頼が出ていたこともあり、1頭が銀貨1枚と銅貨2枚とかなり高額になった。
ウィリアムはマリアとシーラを守っていてくれたのだが、怪我をしてしまい、ふたりに治療してもらったそう。
「マリア嬢、シーラ嬢。
このお金でおふたりに何かお礼をさせて頂けませんか?
ジョナサン様、許可を頂けないでしょうか?」
ジョナサンはウィリアムの言葉に笑って頷いた。
「私も一緒にいいかな。
前にミレーヌとカイエンがふたりで『マズル』へ行った話を聞いてね。シーラと行きたかったんだ」
ミレーヌが言い返す。
「ジェーンとマーティも一緒でしたー。
でも、マズルでお茶してケーキ食べるのはうれしいお礼かもね!」
コーラスがぼやいた。
「俺だって、マズルに行きたいよ……」
マリアとシーラが笑って、コーラスの両腕にくっついた。
「一緒に行きましょう!」とマリア。
「ミレーヌとカイエンは今回はだめよ!」とシーラが笑う。
「私達はジョルジュ王子を護衛して戻ります。
けど、5人ともその格好でいいの?」
5人とも確かにグレイウルフとの戦いを終え、少々汚れている。まあ、辺境の冒険者よりは小綺麗か?
しかし、ウィリアムは腕を怪我したこともあり、上着が破れて血の跡が残っている。
カイエンがウィリアムの上着を脱がせて預かり、収納から自分の上着を出そうとすると、ウィリアムが止めた。
「兄さん、私も収納魔法できますから……」
ウィリアムは別の上着を取り出し羽織ると、カイエンの手に預けていた汚れた上着を受け取り、しまう。
「そうだったな……。ウィルももう魔法使いとして一人前だった。
すまない、家族として……、構い過ぎた」
カイエンがうれしそうな表情で言い、ウィリアムも微笑み返した。
そんな兄弟の今まで見られなかった親密な様子にジョルジュ王子とラルフと従者が何も言わずに馬車の方へ行こうとする。
ウィリアムがジョルジュ王子の背に声を掛けた。
「ジョルジュ王子、私は怪我の治療をしてくれたマリア嬢とシーラ嬢にお礼をしてから戻りますので!」
ジョルジュ王子は「わかった!」とだけ言って、馬車の方へ向かう。
ウィリアムは小さな声でカイエンに言った。
「兄さん……、気をつけて。
ジョルジュ王子はミレーヌ嬢を気にしているというか……、好きになってる」
「うん……、ありがとう。
ウィルも巻き込まれて、ごめんな」
「いや、ジョルジュ王子の側近だから、王子の願いは叶えて差し上げたいけど。
無理というか、おかしいと思うことには意見したり、諫めたりするのも側近の仕事だと思う。
でも……、私は、そこまでジョルジュ王子と親しい友人の関係でもないし、どこまでできるか……。
だから、兄さん、気をつけて……」
カイエンがウィリアムの肩をポンと叩いて、ジョナサン達の方へ向かわせた。
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