97 嫌じゃない
どうぞよろしくお願いします。
「ん、ごめん。
感情的になった」
カイエンがふーっと息を吐いた。
ミレーヌはよしよしというように背中を撫でている。
突然、カイエンがミレーヌの両肩をつかんで顔を覗き込むとキスをした。
ミレーヌの目が見開かれて、身体は硬直している。
カイエンは途中で困って、そっと唇を離すと「その、ごめん……。嫌だった?」とぼそっと言った。
「う、え、い、いや、そんなことはっ!?
ちょ、ちょっと……、びっくりしただ、だ、だけだよっ!」
すごい動揺しまくりのミレーヌの様子を見て、カイエンが笑った。
その姿を見て、ミレーヌも笑う。
「その……、嫌じゃなかったよ。
ほんと。嫌じゃなかった」
ミレーヌが少し恥ずかしそうに言った。
カイエンは微笑んで「うん、じゃあ、行こう」とミレーヌの手を取ると歩き出した。
道へ出て、しばらく行くとジョナサン達とスニフ達が合流しているのが見えた。
グレイウルフが数頭転がっている。
マリアがシーラに抱きついているのが見えた。
「マリア!!」
ミレーヌは駆け出して、カイエンも一緒に駆け出す。
「ミレーヌ! カイエン!」
ジョナサンが気づいて手を挙げてふたりを呼んでくれる。
「兄様、ごめんなさい!
カイエンに助けてもらいました!」
ジョナサンは足の布に目をやると「怪我した?」と言った。
ミレーヌは頷いて「消毒して治癒魔法までしてあります。服が破いたから布を巻いてるだけ」と説明する。
「俺は駆け付けた時には4頭と戦ってました。
その前は全部で7頭いたそうです。
3頭、ミレーヌが怪我したのを見て離脱したそうで。
4頭中2頭は仕留めました」
ミレーヌはマリアの方へ行き、何か話し掛けている。
ジョナサンは何も言わずにミレーヌを見たが、カイエンに「危ない状況だったんだな」と言った。
「はい、詳しいことを聞いて、血の気が失せました……。
森の中で、ミレーヌ得意の魔法剣の威力が落ちたり、使えなかったりだったそうで……。
しかも、気配に気がついて防御魔法をかけている途中で襲われてしまったそうです」
「ああ、カイエンに行ってもらって良かった……。
俺だったら、すぐに探し出せていたかわからないからな……」
「そういえば、ジョルジュ王子は……?」
カイエンが見回す。
いないようだ?
「騎士とギルド職員がグレイウルフと戦いながらこちらに逃げてきたんだ。
それを見て、護衛騎士のラルフが自分と従者とジョルジュ王子だけ戻ると言ってきてね。
全く何しに来たんだか……」
カイエンはくすりと笑った。
「いや、魔法協会の討伐にも時々、王族方が参加というか……、視察に来られますが……、見ているだけですね。
そんなものじゃないですか?」
読んで下さり、ありがとうございます。
投稿遅くなりすみません!
午後は少し続けて投稿する予定です。




