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生まれつきの婚約者がいるなんて聞いてない!?  作者: 月迎 百
第4章 これからと『過去』
96/169

96 思っていたより

どうぞよろしくお願いします。

 カイエンが目を開けた。


「騎士達の方にもオオカミの襲撃があったようだ……。

 道へ出る手前でなんだかもたもたしてて、でも、今、道に出てきた。ジョナサン達の方へ移動している」


「早く合流しよう!」


 ミレーヌが歩き出して、カイエンが背後に気を配りながら、すぐ後ろを歩く。


「怪我するなんて、何があった?」


 歩きながらミレーヌがぽつぽつと話している。


「えーと、森に入ってすぐ進んだんだけど、見つからなくて、あ、これやばいかな……って。

 道へ出ようと方向を変えたら、ニオイがして、グレイウルフがそばに来ていることに気がついて、防御魔法を掛けて……。でも、それで気がついていることがばれちゃったんだろね。掛けてる途中で襲われちゃって……。

 不完全な防御になってしまって……。

 それに襲われた場所が藪が多い所だったから、稲妻魔法の威力が……」


「威力が半減する?」


「うん、藪に隠れられたら……、で、魔法は使わずに剣で撃退しながら、さっきの木の所まで。

 あそこなら木の前が少しひらけてたし、真後ろは守れるし。

 で、あそこで稲妻の剣をしたんだけど、読まれてたみたいで、前衛の2頭だけ吹っ飛んだんだよ」


「ん? 前衛の2頭?」


「あ、カイエンが来た時には私と対峙しているのが3頭、後ろのリーダーみたいのが1頭だったよね。

 他に3頭いたの……」


「えっ? 7頭と戦ってたの!?」


 カイエンの顔色が悪くなる。カイエンが思っていたより事態は深刻だったようだ。


「で、2頭が気絶してたんだけど、他の仲間が突いたり揺すったりしてたら意識が戻って。

 でも、そのうちの1頭に稲妻の剣発動の瞬間に噛まれてたみたいで、気がついたら、足が……。

 私が怪我したのを見て、3頭は走り去った。気絶してたのが走り去ったよ。残りの元気な4頭でやれるってなったんじゃない?

 で、にらみ合いになってたところにカイエンが来てくれた。本当にありがとう!」


 カイエンはミレーヌの腕をつかんで振り向かせて抱きしめた。


「カイエンっ?」


 ミレーヌが上ずったような声で名を呼ぶが、カイエンの身体が微かに震えていることに気がつき、そっと抱きしめ返した。


「うん、ごめん。

 私も本当にどうしようと思った……。

 カイエン……、心配してたよね……。心配かけてごめん。

 でも、カイエンが来てくれて、助かったから!」


「助かったからじゃないよ!

 もう、本当に離れないで!

 話を聞いてて、血の気が失せたというか……、そんな事態になっていたとは……」


「うーん、光も藪がある所だと半減だろうし、炎は森の中だから使わない方がいいだろうし……。

 風と水、どちらかでもできたらいいよね。カイエンに教えてもらおうかな」


「うん、教える……。

 でも、強くなっても、俺から離れないで!

 離れたら、困ったら、すぐ、呼んで!」


「う、うん。わかった。

 ね、マリア達のところに行こう、ね」


読んで下さり、ありがとうございます。

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