96 思っていたより
どうぞよろしくお願いします。
カイエンが目を開けた。
「騎士達の方にもオオカミの襲撃があったようだ……。
道へ出る手前でなんだかもたもたしてて、でも、今、道に出てきた。ジョナサン達の方へ移動している」
「早く合流しよう!」
ミレーヌが歩き出して、カイエンが背後に気を配りながら、すぐ後ろを歩く。
「怪我するなんて、何があった?」
歩きながらミレーヌがぽつぽつと話している。
「えーと、森に入ってすぐ進んだんだけど、見つからなくて、あ、これやばいかな……って。
道へ出ようと方向を変えたら、ニオイがして、グレイウルフがそばに来ていることに気がついて、防御魔法を掛けて……。でも、それで気がついていることがばれちゃったんだろね。掛けてる途中で襲われちゃって……。
不完全な防御になってしまって……。
それに襲われた場所が藪が多い所だったから、稲妻魔法の威力が……」
「威力が半減する?」
「うん、藪に隠れられたら……、で、魔法は使わずに剣で撃退しながら、さっきの木の所まで。
あそこなら木の前が少しひらけてたし、真後ろは守れるし。
で、あそこで稲妻の剣をしたんだけど、読まれてたみたいで、前衛の2頭だけ吹っ飛んだんだよ」
「ん? 前衛の2頭?」
「あ、カイエンが来た時には私と対峙しているのが3頭、後ろのリーダーみたいのが1頭だったよね。
他に3頭いたの……」
「えっ? 7頭と戦ってたの!?」
カイエンの顔色が悪くなる。カイエンが思っていたより事態は深刻だったようだ。
「で、2頭が気絶してたんだけど、他の仲間が突いたり揺すったりしてたら意識が戻って。
でも、そのうちの1頭に稲妻の剣発動の瞬間に噛まれてたみたいで、気がついたら、足が……。
私が怪我したのを見て、3頭は走り去った。気絶してたのが走り去ったよ。残りの元気な4頭でやれるってなったんじゃない?
で、にらみ合いになってたところにカイエンが来てくれた。本当にありがとう!」
カイエンはミレーヌの腕をつかんで振り向かせて抱きしめた。
「カイエンっ?」
ミレーヌが上ずったような声で名を呼ぶが、カイエンの身体が微かに震えていることに気がつき、そっと抱きしめ返した。
「うん、ごめん。
私も本当にどうしようと思った……。
カイエン……、心配してたよね……。心配かけてごめん。
でも、カイエンが来てくれて、助かったから!」
「助かったからじゃないよ!
もう、本当に離れないで!
話を聞いてて、血の気が失せたというか……、そんな事態になっていたとは……」
「うーん、光も藪がある所だと半減だろうし、炎は森の中だから使わない方がいいだろうし……。
風と水、どちらかでもできたらいいよね。カイエンに教えてもらおうかな」
「うん、教える……。
でも、強くなっても、俺から離れないで!
離れたら、困ったら、すぐ、呼んで!」
「う、うん。わかった。
ね、マリア達のところに行こう、ね」
読んで下さり、ありがとうございます。




