94 名前
どうぞよろしくお願いします。
「私も行こう!」
ジョルジュの言葉に慌てたのはウィリアムや騎士のラルフだ。
「ジョルジュ王子!
単独行動は無謀です!」とラルフ。
「そうです!
カイエンは魔法で捜索、追跡ができますから大丈夫です」とウィリアム。
ジョルジュは険しい顔をしていて、カイエンの腕を放そうとしない。
カイエンはジョルジュの手を振り払った。
「貴様!
私に対して!!
ラルフ、この者を拘束しろ!」
ジョナサンが驚いて、ジョルジュ王子とカイエンの間に立つ。
「ジョルジュ王子!
カイエンはミレーヌを一刻も早く迎えに行かなくてはならないのですっ!
今が緊急だと、おわかりでしょう!
ミレーヌのためなのです!」
「ラルフ、何をしているっ!
早く拘束を!」
ジョナサンの言葉を無視するようにジョルジュが命令する。
さすがにもう黙っていられないといった表情でコーラスがジョナサンの横に並んだ。
「ジョルジュ王子、後でお咎めは我々全員で受けます。
今はミレーヌと合流する方が一番大切なことです。
そしてそれが今、できるのはカイエンだ。
あなたが今していることはミレーヌを危機にさらしていることです!」
ジョルジュが顔を強張らせる。
コーラスがさらに言葉を続けた。
「ミレーヌに何かあったら……、それはあなたも望んでいないことでしょう!」
「それはっ!」
ラルフも遠慮がちにだが、意見をしてくれた。
「ジョルジュ王子、今はまずミレーヌ嬢の身の安全ためにカイエン様を行かせるべきです」
「もう行く!」
カイエンが身を翻して、森の方へ入って行く。
ジョルジュがそちらについて行こうというように身体を動かし、ラルフに捕まえられた。
「放せ!」
「放しません!
私は王子の護衛です。王子の身の安全を一番に考え行動しなければなりません。
今は、この大人数の中で過ごすことが一番の安全です。
この人数が、これだけ戦う者とヒーラーがいれば、何があってもグレイウルフは討伐できるでしょう」
「何を!
ミレーヌを助けるのは……」
ジョナサンがイライラしたように言った。
「さっきからミレーヌ、ミレーヌと……、ミレーヌが名前を呼ぶのを許したのですか?」
コーラスが驚いてジョナサンを見て言った。
「えっ? そこに引っかかってたのか!
まあ、確かに何度も名前を呼ぶから、気にはなったけど」
ジョルジュは小さな声で言った。
「ミレーヌ……嬢には謝った。
これまで敵対的な態度を取っていたこと、その……ひどいことを言って、それが貴族令嬢の間でからかいの種になってしまっていたことも知っている……。
だから、謝って、友人になりたいと頼んだ。
先ほどミレーヌ……嬢は、それを受け入れるつもりのようなことを……。
確かに、まだ、親しく名前を呼んでもいいかは確認していない。
すまなかった……」
ジョナサンとコーラスは驚いてラルフを見る。
ラルフも驚いて、三人で顔を見合わせてしまった。
ウィリアムだけ、顔色が悪い。
シーラもマリアも気がついてしまった。
ジョルジュがミレーヌに特別な思いを寄せ始めていると。
「私のことは……、名前で呼んで下さらないのに……」
マリアが今までのことを思い返しながら呟いた。
読んで下さり、ありがとうございます。
ジョルジュ王子のせいで、心を痛める人が続出ですよ……。
今日はパソコンの調子が悪く(後、息子が冬休みに入り……)、ばたばたしていて投稿遅くなりました。
急遽夕方クリスマス会をしよう義実家から連絡が……(今年はやらないという話でした)。
午後投稿ができないので、この次の話も続けて投稿する予定です。
どうぞよろしくお願いします。
短編の『病弱な姉に全てを奪われました。』の後書きで義実家との結婚前のことは少し触れてます。
結婚する時に『絶対子どもを産め』と言われ『やってやろうじゃん!』と負けず嫌いな私はめらめらと思ったわけですが、まあ、今ではいい関係ではないかなと思います。




