93 ひとり
どうぞよろしくお願いします。
ミレーヌの頭の中で思考が高速で回転する。
自分に狙いが切り替わったのなら、マリア達が襲われなくなる。
それはOK、なんだけど。
自分がひとり……。探しているグループとの合流を安易に考えてしまった。
とりあえず、道に戻るか。ジョナサン達の方が道に出て歩けば確実に合流できるはず。
道に戻るにはこっちだ!
「スニフ!! ブラウン!! ボリス!! マーク!!」
探している4人の名を森の方へ叫んでみる。少し耳をすませて返事らしき声や音が聞こえないことを確認してから、ミレーヌは歩く角度を変え、異変に気付く。
魔物のニオイがする……。方向を変えたことで位置と風向きが変わったのだろう。
「近くにいるな……。1頭? 偵察?
いや、ニオイがするほどとなると1頭以上はいるか、な」
平静を装いながら道の方へ進む。途中で何でもないことのように自然に剣を抜いて手に握るミレーヌ。
「まあ、私ひとりに20頭全部は来ないだろ。
気休めだが防御を張っておこうかな」
身体に直接防御を掛ける。
手合わせの時、カイエンがかけてくれたものと同じだ。
身体に直接掛ける防御はダメージを減らせるというもので完全に攻撃を防ぐことはできない。
ある攻撃に対しての防御魔法なら、その一撃は確実に一度だけ止められる。シャルルのコボーからの攻撃を防いだカイトの防御魔法はこれだ。
同時刻、カイエンとコーラスがジョナサン達と合流した。
「……ミレーヌは?」
ジョナサンが顔をしかめる。
「すまない、ジョナサン。
騎士や職員のグループに知らせてくると、ひとりで行ってしまって」
コーラスの言葉に、ミレーヌが自分で動いてしまったのだろうとわかっても、少し腹立たしい様子で「今はひとりで行動するのがどれほど危険か……」とジョナサンは言いかけ黙り……、「すまない」と謝った。
「ふたりが行かせるわけがないんだ。
あいつが勝手に動いたのだろう。
しかし、そのせいか……、グレイウルフの偵察が先ほどから少なくなった」
「俺達の方にも偵察が来ていた……。
やはり離れたミレーヌの方へ……。
コーラス、俺はミレーヌを追う」
カイエンが少し焦った様子で言った。
「ああ、頼んだ!」
コーラスの言葉を聞きながら走り出そうとしたカイエンは手をつかまれた。
「おい! 待て! ミレーヌがひとりで動いている?」
そう話に入ってきたのはジョルジュだ。
読んで下さり、ありがとうございます。
もう急いでいるんだからっ!
邪魔すんじゃないよ! ジョルジュ王子!




