92 連絡をつけるには
どうぞよろしくお願いします。
「カイエン、ウィリアムに連絡はできるんだろ?
止まって防御を固めるとか!
騎士達の方へは連絡できないか?」
コーラスが早足で移動を始めながら聞く。
「ウィルには連絡はつくが、少し止まってくれ!
騎士達は位置はわかるが、連絡はできない」
カイエンの返事にコーラスは立ち止まるが、ミレーヌは止まらない。
「おい、ミレーヌ!?」
「向こう側の森だよね!
私、このまま真っすぐ道へ出て、向こうの森に入り連絡してくる!」
「おいっ! ミレーヌ、ひとりではっ!」
コーラスが慌てて声を掛けるが「大丈夫!」と高く一声叫んで、ミレーヌの姿は今まで進んでいた角度をつけずに道へまっすぐ走って行ってしまう。
カイエンは少し慌てたように目を閉じ何か呟き、少しすると目を開け、角度をつけた方向に進み始めた。
「こっちだ!
ウィルと連絡が取れた。ちょうど休憩しようと話してたみたいだ。偵察を何度か確認したという。
道のこっち側。こちらが道に出て少し進めば会えるはず。
ミレーヌはまっすぐ突っ切って向こうの森に入って進むつもりみたいだ。
それだと、ウィリアム達とは会えないだろう。
道に近い位置で進んでくれるといいんだが……。
とりあえず、ミレーヌの位置は常に気を配る。
まずジョナサン達と合流しよう」
「ミレーヌの位置?
わかる?」
カイエンはコーラスに左手首をトンと指で示して見せた。
「あ? ミレーヌのブレスレット?」
「あれでミレーヌの位置はだいたいわかる。
外れないようになってるし……、と言ってもいつも監視しているわけじゃない……けど」
コーラスの苦笑した顔にカイエンが言葉を濁す。
「ミレーヌは知っているのか?」
「一応はぐれた時に、困ったら石の部分に魔力を流して俺に呼びかけるようには伝えてある」
「でも、そうしなくてもミレーヌの位置をカイエンはわかるってことだろ」
「感知しなきゃ、わからない。
もし、ミレーヌが魔力を流してくれるんなら、そのほうがいいんだけど。
そこへ俺が転移できるようになってる」
「は……、そりゃ、すげえな。
国宝級の魔道具だな……。
そこまではミレーヌは知らない?」
「そこまでは伝えてない」
コーラスが道へと急ぎながら「使わないで済むといいな……。今、一番襲いやすい獲物はひとりになったミレーヌだ。その前に向こうの騎士とギルド職員達と出会えるといいんだが……」言った。
「ああ、彼らの方が道のグループを追い抜いて先行してしまっている」
カイエンが心配そうに言った。
ミレーヌは一度道へ出てから、反対側の森へ斜めに入って行く。
森の中にもなんとなく道があるのだが、そこを進んで行っても気配がない。
「もっと先に行っちゃったのか?
順調に進んでるって言ったし」
そう呟いてから今の状況が少々まずいことにミレーヌも気づいた。
「まだ襲う先を決めかねていたら……。
今の私が一番襲いやすいか……」
読んで下さり、ありがとうございます。
だって、すぐ会えそうな気がしたんですよ……。
森で見通しが悪いこと、すっかり忘れてました……。




