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生まれつきの婚約者がいるなんて聞いてない!?  作者: 月迎 百
第4章 これからと『過去』
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84 努力と安心

どうぞよろしくお願いします。

「ウィル、お前の兄のカイエンについて教えてくれ」


 ジョルジュ王子に突然そう言われたウィリアムは表情を硬くした。


「兄……、ですか?

 カイエン・バート・レンダート。レンダート伯爵令息で後継です。

 16歳、魔法協会に最年少記録で所属、久々の逸材、天才少年魔法使いなどと言われていました。

 ミレーヌ嬢との正式な婚約のために、冒険者ギルドにも登録し、魔法協会でのランクが考慮されていきなりBランクで登録となったそうです」


「ミレーヌ嬢との婚約で冒険者ギルドを?」


「はい、ミレーヌ嬢は冒険者パーティを組む予定があり、そこに加入するためと家族から聞きました」


「冒険者パーティ。

 それでエドワードとの狩りが最初は依頼だとか言ってたのか……、それで?」


「それで……、と言うと?」


 ウィリアムは困惑している。

 先ほどの手合わせでミレーヌ嬢に負け、リベンジに失敗したわりにジョルジュ王子の機嫌は悪くない。

 

「性格とか……」


「私のふたつ年上の兄になりますが……、7歳で魔法協会に入り、ほとんど家にいませんでした。

 なので、私が10歳になり魔法協会に入るまで、そこまで接点は……」


「そうか、魔法協会では?」


「……向こうはもう現場の第一線に出ていましたし、私は新人として研修や練習をしていることが多かったですし……。

 物静かで、どちらかといえば無口な方だと思います。

 でも、求められればしっかりと話をする。

 天才と言われていますが、黙々と自主練習に取り組み、努力して魔法を身に着け、さらに磨く……。

 努力家だと思います」


「ふむ……。

 冒険者、パーティ……。それで、狩りか。

 狩りに行ってみたいと誘ってみるか?」


「兄をですか?」


「あ? ミレーヌをだ。

 まあ、パーティならカイエンもついてくるのだろうが……」


「……ミレーヌ嬢はカイエンの婚約者です。

 王子とはいえ、名前を呼び捨てにするのは……」


 ウィリアムが困惑している。

 ジョルジュがふっと笑う。


「ミレーヌにはまだ許されていないが、友人になりたいと伝えている。

 承知してもらえれば、名前で呼び合うことができよう。

 私はミレーヌが、とても気になっている。

 今更だが、もっと親しくなりたい。

 だから、カイエンはライバルということになる、な」


「だから、カイエンのことが知りたかったのですね!?」


 ウィリアムはほっとした表情をした。


「なんだ?」


「いや、わかりました。

 ミレーヌ嬢と親しく……。

 それはもしかしたら、兄からミレーヌ嬢を奪うこともあるということですか?」


「いや、まだ、そこまでは……、でも……。

 もしかしたら、私はミレーヌに恋しているのかもしれない……」


 ジョルジュが少し顔を赤くして早口で言った。


 ウィリアムは安心した。

 私より兄を側近にしたいという話ではなく、兄の婚約者と仲良くなりたい……ということか。

 でも、そんなことが本当にできる? していいのだろうか?

 いや、私はもうレンダート伯爵家を出てミュラー子爵なのだ。そして、ジョルジュ第3王子の側近。兄ではなく、ジョルジュ王子の望みを叶えて差し上げる動きをしなくてはいけない。


読んで下さり、ありがとうございます。

ウィルもねー、天才と呼ばれてる兄の下で、のびのびとはいかなかったのでちょっと思うところがあるのです。兄は好きだけど、尊敬するけど、自分の居場所を脅かされたくない……。

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