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8 パーティ登録

どうぞよろしくお願いします。

 ミレーヌは13歳の誕生日が来た時、冒険者ギルドには登録させてもらっていた。

 ギルド登録は何歳からでもできるが、貴族の令息となると登録する者はそれぐらいが一般的である。令嬢は……ほとんど聞いたことがない。

 それ以来、ミレーヌは父や兄と一緒に魔物討伐に参加したり、植物の採集などの依頼をこなしたりして少しずつランクを上げていた。

 父からは中堅レベル上のCランクまで上がらないと旅立つことは許可できないと言われていたからだ。


 Fからスタートして、すぐにEを過ぎ、Dになった。

 そこからCに上がるのは時間がかかった。

 それはミレーヌが弱いわけではなく、やはり貴族令嬢としての立場もあり、現場の前線には立たせてもらえなかったということもある。他にも貴族令嬢として学ぶこともあり、時間の掛かる高難度の依頼には参加できなかったのだ。


 シーラとコーラスも親を説得してギルドに登録し、領内の魔物退治はもちろん、ふたりで行動できることもあり、自分の家の方のギルドの依頼をサクサク進めていて、ミレーヌより先にCランクになっていた。

 ミレーヌはカイエンと顔合わせをしてから1カ月で無事Cランクまで到達できたのである。



「まあ、Cクラスが3人もいれば大丈夫だろ」


 コーラスの言葉にカイエンが笑った。


「私のことを心配してくれているのか?

 みんなの足を引っ張ったりはしないよ。大丈夫だ」


 とはいえ、カイエンはつい先日冒険者ギルドに登録したと聞いている。

 

 4人揃ってギルドに来たのはパーティ登録するためだ。


 レイオス辺境伯爵領の一番大きな城下街であるレーニアのギルドに入ると「あ! お嬢様!」と受付のカレンが慌てたように言った。


「おはよう、カレン!

 今日からは冒険者のミレーヌだから!

 お嬢様はなし!」


「……そうでした、はい。

 ではミレーヌさん、今日の御用事は?」


「パーティ登録をお願いします」


「はい、では皆様のギルドカードをこちらに! 4人ですね」


 差し出されたトレイに4人はそれぞれのカードを並べる。


 ミレーヌ、コーラス、シーラは明るい銅色のカードで、Cランクとすぐわかる。

 カイエンのカードは銀色だった。


「お前、Bクラス!? どうやって!」


 コーラスの小さな驚きの声。


「私は幼少の頃から魔法使いとして活動していたから、魔法協会には登録しているんだ。

 今回、冒険者ギルドに登録する時、そちらの資格をランクに反映させてもらえることができて。

 Bクラススタートとなった」


「はっ、実戦じゃどうだかね!」


「コーラス! 

 そんなこと言わない!

 魔法協会だって、魔物退治には参加している。

 実戦をせずにクラスが上がったりはしない」


 ミレーヌが言いながらカイエンを見た。


「子どもの頃から、すごく努力したんだろう。

 実戦の経験も相当積んだんだよね。きっと」


 カイエンは頷いた。


「ああ、君達とはまだ一緒に戦ったことはないので、最初はお互い手探りになると思うが、足手まといにはならない」


 カレンがおずおずと言った。


「お話中すみませんが、パーティ名は?」


「えーと、その……」


 ミレーヌが赤くなり口ごもる。


「『暁の勇者』だろ」


 コーラスが言い、カレンがふふっと笑った。


「ああ! 分不相応なのは十分承知です! Cクラスなのに……」


 ミレーヌがひとりで赤くなったり白くなったりドギマギしている。


「いえ、素敵な名前ですよ。

 初代辺境伯爵さまの二つ名ですね。

『暁の勇者』……、はいお待ち下さい」


 カレンがカウンターの後ろヘ下がり、カードや書類の作成を他の人と作業し始めた。

 カードを器具に差し込み、打ち込みのようなこともしている。


「お待たせ致しました!

 ギルドでのパーティ登録完了です。

 この書類はどなたか大切に保管をお願い致します。

 ギルドによっては提示を求められることもあります。

 それぞれのカードにもパーティ名が入りましたので、ご確認下さい」


 4人がカードを確認すると名前とランクの下に『暁の勇者』所属と新たな文言が刻まれていた。


「これで私達はパーティだね!」


 ミレーヌがくすぐったそうに笑い、手を差し出した、シーラがその手をつかみ、カイエンが両手でミレーヌとシーラの手を包み込む。

 その三人をコーラスががばっと抱きしめた。


「なっ、コーラス一番偉そう……」


 ミレーヌが呟いて、みんなで笑った。

読んで下さり、ありがとうございます。

さーて、どんな冒険させようかな。


この後、人物紹介入れる予定です。


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