77 公爵家の現状
どうぞよろしくお願いします。
ミレーヌが怒りを含んだ声で言った。
「……ネコを公爵家の馬車に閉じ込めようとなさるから。
それでは死んでしまいます。
話し合いましたよね。
公爵家でお世話ができないなら。こちらに譲って欲しいと。
ネコが欲しいからじゃない。虐待され死んでしまうのを見ていられなかったからです」
「虐待!?
私はそんなことはしてないわ!
ただ、一緒の部屋では出してあるドレスの裾や飾りにじゃれてしまうから、部屋から出すけれど、さすがに他家のお屋敷だから、うちの馬車にいればと思っただけで!」
「だったら、ドレスをしまえばいい。
ドレスとネコと……、セシル様はドレスの方を選んだのでしょう」
「ドレス?
辺境伯爵家で用意をしてくれた?」
シャルルが言った。
「私が12、3歳の時のものを直して用意したそうです。
全部喜んで部屋に運ばせたと。
そして、マリアの部屋に行き、マリアのお気に入りのドレスも強引に譲らせましたね」
「そんなことが!? セシル?」
シャルルが父である公爵を見るが公爵は無表情だ。
「父上も知らなかった?」
ミレーヌは静かに、でも怒りを含んだ言葉を続けた。
「滞在されている部屋や食べている食事、それはこちらでするものですが。
それにしても、公爵とセシル様の要求は……。
メイドや従者、まあこちらから見て必要とあらば手配はしますが、彼らに対しての対応にも言いたいことがありますし……。
さらにそのうえ、ネコの部屋と世話人を用意しろと?」
セシルが怯えたように言う。
「だって!
辺境伯爵家が招待してくれたのじゃない!?」
「……そうですね。客として招待しましたが……。
パテマであのまま、公爵家を残して行ったら、いずれギルドに通報されて大騒ぎになっていたでしょうね」
シャルルが謝る。
「ミレーヌ、すまない。
私がセシルにちゃんと話をしてなかったから……」
「お兄様?」
「すまない、セシル。
エイルズワース公爵家は、今、使える金が……、ほとんどないんだ。
辺境伯爵家の厚意によって、パテマからここまで連れて来て頂き、世話になっているが……。
すべてレイオス辺境伯爵家に掛かりを持ってもらっている。そして、それはいくら客とはいえ……、おかしなことなんだ……」
「えっ!?」
「恥ずかしい話だが、もう王都や領地に帰るための旅費すらない状態だ……」
シャルルの絞り出すような声にセシルは戸惑い、怯えて、兄と父を交互に見る。
「だから……、お母様はいなくなった?
お兄様はエドワード王子と行動を共にするようになり、戻って来なくなって……。
お父様はお金を借りようとしたり、フランソワーズを高く売ろうとしたり……した?」
シャルルが頷く。
「そうだ。
父上は私を王子の側近に、セシルを王子の婚約者にすることでこの状況を打開しようとしていたが……。
それでも、もう後がない」
公爵が口を開いた。
「セシル!!
だから、お前はできるだけ高位の貴族や王家、またはできるだけ裕福な家に嫁がなくてはならない。
エイルズワース公爵家を存続させるためにな!」
読んで下さり、ありがとうございます。
やっとセシルにも真実が見えてきた、かな?
ブックマークが増えていて、とてもうれしいです!
ありがとうございます。
これからもお付き合い、どうぞよろしくお願いします。




