76 我が家のネコ
どうぞよろしくお願いします。
「失礼する!」
ジョルジュは何か話し掛けてきているエイルズワース公爵とセシルにそう言うと、エド達の方へ進んで行き「かわいいネコだね」とマリアに話し掛けた。
マリアは少し驚いた顔をしたが「ええ、とてもかわいいです」とはにかんだように答えた。
ジョルジュは手を伸ばし、ハチの頭を撫でてから額を掻いてやる。
ハチは目を細めて喉をグルグルと鳴らした。
「ネコがお好きなのですか?」
「まあ犬よりは好きかな?」
「ネコ派なのですね!
私、ネコを飼うのはこのハチが初めてで!
このグルグルって喉を鳴らすのかわいいですよね。
自分が信頼されてる気がして、とてもうれしくなります」
「ああ、かわいいよな。
エドワードとミレーヌ嬢は仲がいいんだな?」
「パテマで何度か狩りをご一緒して、それからレーニアに戻ってくるのも一緒だったそうです。
エドワード王子の馬の後ろに乗せてもらったとか」
「へえ……」
そこへエイルズワース公爵とセシルも来た。
「このネコは元々エイルズワース公爵家のネコだったのですよ」
公爵が言い出して、ジョルジュは首を傾げた。
「そうなのです!
フランソワーズ! 元気にしてた?」
セシルがマリアの腕からハチを抱き取ろうと手を伸ばしてきた。
マリアは驚いて後ろに下がる。エドとミレーヌがマリアを守ろうと前に立つ。
「今は我が家のネコです」
ミレーヌが少し怒ったような表情で言う。
「……どういう経緯で、エイルズワース公爵家からレイオス辺境伯爵家のネコになったのだ?」
ジョルジュの言葉にエイルズワース公爵が言った。
「どうしても王都で流行中のこの貴重な短毛種のネコを譲って欲しいと言われまして……。
私も娘もしょうがなくお譲りしたのです」
周囲の者達の表情を見回してジョルジュは笑った。
「……違うようだぞ!?」
エイルズワース公爵が周囲を見回し、ジョナサンが声を掛けた。
「我が家は契約書をお見せして説明してもいいのですが……。
どうします?
まあ、返せ戻せとは言ってないようですが、前は公爵家のネコだったと主張し、前の名前で呼ぶことは契約違反になりかねませんよ」
「でも! フランソワーズはうちのネコだったのよ!
世話ができなくなったから仕方なく譲ったのだもの!」
セシルの言葉にエドが「金貨2枚でね」と冷ややかに言った。
「飼い猫を売った?
世話ができない?」
ジョルジュはハチを見た。
「世話だって、辺境伯爵家がフランソワーズの部屋とお世話係を用意してくれれば!
そうよ! フランソワーズを売らせるために、わざと意地悪をしたの!?」
セシルがマリアを睨んで言った。
読んで下さり、ありがとうございます。
わお、セシル、正気ですか!?




