71 急な知らせ
どうぞよろしくお願いします。
夕食時に男性陣は公爵に対して、シャルルへの代替わりをどう話すか相談していたのだが、公爵は食堂には現れなかった。そしてセシルも。
ケリーがため息をついて食堂に集まった家族と来客達を見回して言った。
「おふたりとも気分が優れないそうで、部屋で食事をということです。
気分が優れなくても食べられるのですから、医者は呼ばなくて良さそうね」
シャルルに対して、どのように公爵家を立て直すかというアドバイスや実際に信用のおける古美術商を紹介できるという話などが飛び交っている。
マリアが少し驚いてミレーヌに言った。
「エイルズワース公爵家、そんなことになっているの?」
「ええ、だからセシル様は、いい嫁ぎ先を見つけようと頑張っているのかもね」
「……だから私を引き立て役にしたかったのかしら?」
「もう気にしなくていいよ。
マリアは友人になろうとしたけど、セシル様はライバルだと思ったんだろうね」
「ライバルだなんて……」
その時、執事が慌てたように入室してくると、辺境伯爵と夫人に何やら告げた。
「まあ!」と声を上げたのはケリー。
口を押さえて周囲を見回してから言った。
「公爵もセシル嬢もいないからここに来てもらっていいんじゃない?
ねえ、あなた?」
「ああ、そうだな。コーラスをここへ!」
シーラが驚きの声を上げる。
「コーラス、もう戻って来たの!?」
コーラスは元気そうな顔で食堂へ入ってきた。
「わ、うまそうだな!」
「コーラスはここに!」
ケリーが自分の席を空けると、ミレーヌ達の方へ来る。
空いた辺境伯爵とジョナサンの間の席にコーラスが座ると、すぐ食事ができるように新しい皿が並べられる。
グラスの水を飲んでから、コーラスはシャルルを見た。
「シャルルの母上様と逃げた従者に会ったよ」
シャルルが「え!?」と言って固まる。
「……どこで!?」
「あ、ごめん。順を追って話すな。
まずシーラとジョナサンの婚約。うちはOKだ。問題ない。
書類は明日、父と兄が王都に出しに行くと言っていた。
急いでも……、三日ぐらいか?
それで正式に婚約だ、おめでとう!」
シーラとジョナサンが見つめ合って微笑む。
みんなで拍手して「おめでとう!」と口々に声を掛けた。
「……そして、エイルズワース公爵家の……シャルルだけには言っておくが、ローレウス伯爵家に新しい使用人がいて、夫婦で、エイルズワース公爵家の推薦状を持っていたと聞いて……。
会ってみたら、シャルル、君の母上だったよ」
「では、自分で自分に推薦状を?」
カイエンが驚いたように言うとコーラスが笑う。
「ああ、エイルズワース家に長年仕えてくれていたが、災害のせいで使用人を少なくすることになり雇い止めとなったが、夫婦で大変優秀な使用人だったと、いうような。
まあ、うちもそこそこ辺境だからな。
まだエイルズワース公爵家の話もそれほど広まっていないし」
シャルルは「で!? 今どこに!」と立ち上がらんばかりにコーラスに言う。
「シャルル、落ち着いてくれ。
ふたりはローレウス伯爵家に使用人としている。
もうそのままにしておいてやって欲しいと……」
読んで下さり、ありがとうございます。
コーラス、ちょっぱやで戻ってきたで~!




