69 消えていくだけ
どうぞよろしくお願いします。
「それはおかしくないか?
自分達で世話ができなくなったから譲るのに、金を取るのか?」
エドが首を傾げた。
シャルルが顔を赤くする。
公爵が何とか高値でネコを売りつけようとしていることに気がついたのだ。
エドの言葉に公爵も言葉に詰まり、動揺しながら「では……、金貨、2枚でならどうだろう?」と少し小さな声で言い直した。
ケリーがすかさず交渉を進める。
「そうですわね。
ではあなたの言い値で買いましょう。
書面を!
エイルズワース公爵家のネコ、フランソワーズを、レイオス辺境伯爵家が金貨2枚で買い取ると。
これで、ネコはレイオス辺境伯爵家のものですわ。
後で、返せ、戻せという話には応じませんのでよろしくて?」
ジョナサンが書類を差し出す。
「では、こちらにサインを」
シャルルが書類を手にして読んでいる。
「なるほど、このネコに関する権利はレイオス辺境伯爵家に全て渡す。
名前を変えてもいいと。
でも……、きちんと世話をしてもらえる方がフランソワーズにしてもいいか……」
シャルルは納得した様子で「父上が決めて下さい」と書類を手渡しながら言った。
公爵は頷いて、ペンを手に取るとサインした。
辺境伯爵家の執事が金貨2枚をトレイに乗せてテーブルに置いた。
「では契約完了ということで。
フランソワーズと呼ばれていたネコは、今、これより辺境伯爵家のネコです。お忘れなきよう」
ケリーがにっこり微笑み、書類を辺境伯爵に手渡す。
公爵が辺境伯爵を窺うように見ながら「先ほどお願いした件は?」と言った。
ジョナサンが言った。
「父から聞きました。
借金の件ですね。
それはお断りします。
まだ有望な事業を起こすというならわかりますが、話を聞いた限りでは、当面の生活費に使われるのですよね。それでは消えるだけだ。返済できないとわかっていることに貸すことはできません」
「我が家はエイルズワース公爵家だぞ!
この国の最高位の公爵だぞ!
爵位が下の者は私達を助ける義務が……」
「そんなのはないよ」
エドの声が響いた。
「王家からそれぞれ爵位と共に領地を託され、そこからの収益で生活できるはずだ。
それができないというならば、領地も爵位も王家に返すべ……」
「いえ! できます! なんとかします!」
公爵がエドの言葉を遮るように叫び、セシルを強引に立たせて執務室から出て行こうとする。
「領地の方はどうなっているんだ?」
エドが声を掛けるが聞こえない様子でセシルが「お父様、エドワード様が……」と言いかけるのにも取り合わず、部屋を出て行ってしまった。
「……あれは聞こえてるよな?」
エドが怪訝そうに言い、シャルルが「申し訳ありませんっ!」と平謝りだ。
読んで下さり、ありがとうございます。
エドの正論。
明日の朝、がん検診です。ああ、胃カメラにマンモだー。
このふたつが苦手です……。
胃カメラ、二年前から鼻からのにしてるんですけど、カメラを通す時だけすごく痛くて(鼻フックっこんな感じかなと毎回思う)、通っちゃえば終わった後の身体は口からと比べて楽なんですよー。
とういうわけで、明日の朝投稿はお休みします。
これからもどうぞよろしくお願いします。




