68 金貨3枚
どうぞよろしくお願いします。
公爵が愛想笑いを浮かべて言った。
「先ほどの譲るという話ですが……。
あのネコは、今、王都で流行中の大人気の短毛種のネコでしてね。とても貴重なネコなのですよ。
タダでは……、お譲りできませんね……」
シャルルが「父上!?」と声を上げたが、公爵は『黙れ』とばかりに睨んだ。
そして、すぐに再びの愛想笑いを浮かべ、辺境伯爵に向けた。
「とても人気ですからな。しかも我が公爵家のネコだったわけで。
現在の価値の対価でも、お譲りすることは考えられない……わけではないのですが……」
ジョナサンが頷いた。
「はい、ちょうど王都の事情をよく知る方もいらしてますし、立ち会って頂きます」
ジョナサンの言葉に従者がドアを開け出て行き、すぐマリオン侯爵とエドとバルドを連れて戻って来た。
「ネコを売りつけるんだって?」
エドが楽しそうに言う。
「売りつけるなど!!
欲しいと言われたので、それ相応の対価をと言っているのです」
公爵が不愉快そうに言った。
ジョナサンが気にせずに話を進める。
「マリオン侯爵、王都でこのような短毛種のネコはいくらが相場でしょうか?」
「私の聞いたところによると、金貨1枚から3枚という話が多かったですな」
「ほう、金貨1枚から3枚……、ずいぶん幅がありますね。
さて、どうしましょうか?」
公爵は思案しながら言った。
「……本当は手放したくはないのですよ。
貴重な、本当に貴重なネコですからね。
ですが……、どうしてもというなら……」
「あら!
どうしてもとは申してませんわ。
そんなに貴重なネコならば、公爵の部屋でお世話すればいいのではなくて?」
ケリーがニコニコと明るく言った。
「えっ!?」
慌てたのは公爵だ。
ケリーは公爵を見ながら話を続ける。
「きちんとお世話をして頂けるならば、我が家としては何も。
停まっている馬車へ閉じ込めるほどお困りなら、譲って頂いてもと思ったものですから」
「いや、その、待って下さい。
セシルも本当は世話をしたいんですよ、な?」
セシルは首を振る。
「私の部屋では無理よ。
お父様がお世話するのいい考えだわ。
そうすれば、時々会いに行けるし」
「えっ?
いや……、そういうことならば、ここは辺境伯爵家にお譲りした方が……」
ジョナサンが公爵の言葉を遮る。
「いえいえ、公爵自らがお世話するほど大切なネコならば!
無理にとは言いません。ではこの話は……」
「ぜひ! 買って頂きたい!
私には無理だ、世話できない。
いいな、セシル?」
セシルは渋々だが頷いた。
「では金貨……、3枚でお譲りしよう!」
公爵の声が響く。
読んで下さり、ありがとうございます。
今日はこれから仕事です!
最近、気温差がすごくないですか!?
乾燥も……。
皆様も体調に気をつけてお過ごしください!




