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生まれつきの婚約者がいるなんて聞いてない!?  作者: 月迎 百
第4章 これからと『過去』
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67 無理

どうぞよろしくお願いします。

「もう、次から次に……。

 フランソワーズは私が預かるわ」


「お姉様……」


 マリアが心配そうにミレーヌの肩にそっと触れる。


「大丈夫よ、マリア。

 フランソワーズ、おいで!」


 立ち上がったミレーヌはアンナからフランソワーズを受け取る。


「……私は何をお伝えすれば?」


「そうね……。

 馬車に入れる時に私に見つかって、フランソワーズは私が預かるって連れてった……ぐらいでいいんじゃない?

 後で母に相談して話はつけるから。

 アンナはあくまで馬車に連れて行こうとして、私に見つかったって感じで話しておきなさい」


「はい、では……」


 アンナは礼をして去った。


「フランソワーズ……、ずっとあなたがセシル様の心を支えていたのにね。

 フランソワーズ……、うーん、なんかあなたにはこの名前、合ってない気がするのよね……。

 長いし……。

 フラン? フラー?」


「フラーがいいんじゃない?」とマリア。


「いや、もう新しい名前つけちゃうのもありじゃない?

 ネコの模様の種類では、はちわれって言うんですって『ハチ』でいいんじゃない?」


「お姉様、それは安直すぎじゃ……。うちのネコじゃないんだし」


「それだ!

 うちのネコにしちゃえばいい!

 ジェーン、悪いけど母を呼んで来てくれる?

 ダメそうなら兄を!」


「わかりました!」


 ジェーンが慌てて出て行った。





 夕食前、辺境伯爵家の執務室にエイルズワース公爵とシャルルとセシル。

 そして辺境伯爵、夫人、ジョナサンとシーラ、ミレーヌとカイエンがテーブルを挟み向かい合っていた。


「……というわけで、フランソワーズという名のエイルズワース公爵家のネコを我が家でお預かりしているのですが、良かったらお譲りいただけないだろうか?」


 辺境伯爵が重々しく言った。

 また、重々しく作戦!?

 ミレーヌが吹き出しそうになったが堪えている。


 公爵は腕組みをし、セシルを見た。

 シャルルは話がわからず戸惑っている。


「その……、馬車にという話は本当ですか?」


 ミレーヌが頷く。


「セシル様にお聞きしてみたら?」


「セシル、あんなにかわいがっていたのに……。

 本当に馬車に閉じ込めておく気だったのか!?」


 シャルルの言葉にセシルが答える。


「ええ……、部屋の物を荒らすから、一時的に馬車にでもいてもらおうかと」


「では、部屋の片づけが済めば、もう大丈夫なのだろう?」


「いえ、だめよ。

 ドレスを何着か部屋の中に出しているの。

 フランソワーズがじゃれちゃうから、無理」


「セシル!?」


 シャルルが呆然としている。


読んで下さり、ありがとうございます。

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