67 無理
どうぞよろしくお願いします。
「もう、次から次に……。
フランソワーズは私が預かるわ」
「お姉様……」
マリアが心配そうにミレーヌの肩にそっと触れる。
「大丈夫よ、マリア。
フランソワーズ、おいで!」
立ち上がったミレーヌはアンナからフランソワーズを受け取る。
「……私は何をお伝えすれば?」
「そうね……。
馬車に入れる時に私に見つかって、フランソワーズは私が預かるって連れてった……ぐらいでいいんじゃない?
後で母に相談して話はつけるから。
アンナはあくまで馬車に連れて行こうとして、私に見つかったって感じで話しておきなさい」
「はい、では……」
アンナは礼をして去った。
「フランソワーズ……、ずっとあなたがセシル様の心を支えていたのにね。
フランソワーズ……、うーん、なんかあなたにはこの名前、合ってない気がするのよね……。
長いし……。
フラン? フラー?」
「フラーがいいんじゃない?」とマリア。
「いや、もう新しい名前つけちゃうのもありじゃない?
ネコの模様の種類では、はちわれって言うんですって『ハチ』でいいんじゃない?」
「お姉様、それは安直すぎじゃ……。うちのネコじゃないんだし」
「それだ!
うちのネコにしちゃえばいい!
ジェーン、悪いけど母を呼んで来てくれる?
ダメそうなら兄を!」
「わかりました!」
ジェーンが慌てて出て行った。
夕食前、辺境伯爵家の執務室にエイルズワース公爵とシャルルとセシル。
そして辺境伯爵、夫人、ジョナサンとシーラ、ミレーヌとカイエンがテーブルを挟み向かい合っていた。
「……というわけで、フランソワーズという名のエイルズワース公爵家のネコを我が家でお預かりしているのですが、良かったらお譲りいただけないだろうか?」
辺境伯爵が重々しく言った。
また、重々しく作戦!?
ミレーヌが吹き出しそうになったが堪えている。
公爵は腕組みをし、セシルを見た。
シャルルは話がわからず戸惑っている。
「その……、馬車にという話は本当ですか?」
ミレーヌが頷く。
「セシル様にお聞きしてみたら?」
「セシル、あんなにかわいがっていたのに……。
本当に馬車に閉じ込めておく気だったのか!?」
シャルルの言葉にセシルが答える。
「ええ……、部屋の物を荒らすから、一時的に馬車にでもいてもらおうかと」
「では、部屋の片づけが済めば、もう大丈夫なのだろう?」
「いえ、だめよ。
ドレスを何着か部屋の中に出しているの。
フランソワーズがじゃれちゃうから、無理」
「セシル!?」
シャルルが呆然としている。
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