64 抜け出す
どうぞよろしくお願いします。
時系列的には第3章と続きな感じですが、第4章スタートとなります。
全員の正体が出揃い、お互い探るようなお喋りと朝食が終わると、公爵は辺境伯爵に話がしたいと申し入れてきて、ふたりでテラスへ出て行った。
ジョルジュ王子がレイオス領に来るという話は、辺境伯爵家からもマリオン公爵、エドワード王子からも出なかった。
セシルがマリアに城の中を案内して欲しいと声を掛ける。
エドとシャルルや侯爵もお願いしたいと言い、バルドとカイトと侯爵の従者も呼ばれた。
ミレーヌはジョナサンの近くへ寄ると囁く。
「セシル様の服、マリアのお気に入りだったんだけど。何でセシル様が着てるの?
何かマリアの様子も変なんだけど?」
ジョナサンが改めて気づいたという風にセシルとマリアを見た。
「母に聞いてみてくれないか?
シーラ! 私達も一緒に行こう!」
ジョナサンがシーラを誘い、城巡りの方へ参加してくれるようだ。
ミレーヌとカイエンはケリーと共にみんなを見送った。
「お母様! セシル様の服、マリアのよね!?」
「ええ、用意していた服も全部気に入ったと部屋へ運ばせたのよ。
それから、マリアの部屋を見たいと言って。
今日、着ようと出してお手入れしてたようなの。
それで、強請り取られてしまったようよ」
「強請り取るって……」
「メイドの話では『お母様がいなくて寂しい』とか『御両親も、優しいお兄様やお姉様もいるんでしょう?』とか……、言われてしまったみたい。
まあ、マリアが自分で頷いてしまったのだから。
かわいそうだけど、いい経験ね。
これから気をつけるでしょう」
「マリアの周辺には気をつけましょう。
シーラも私も嫌なことは嫌と言えるけれど、マリアはそういう子ではないもの。
それから、マリアのメイドに身の回りの物について気をつけるようにと伝えて下さい。
足りない物があればマリアを頼って、また譲らせようとしてくるかもしれない」
「そうね。
マリア付きのメイドには伝えておきましょう」
ケリーの目配せにケリーのメイドがさっと礼をして食堂を出て行く。
「それで、ミレーヌとカイエンは何をするの?」
「あ……、追いかけて合流する?
でも、カイエン、もう城の中見たもんね」
カイエンはケリーに願い出た。
「ミレーヌと城下へ行く許可を頂けますか?
今なら、ふたりで抜け出せる」
カイエンの言葉にミレーヌが笑った。
「そうだね。普通に行こうとしたら、絶対、誰かしら付いてくる……」
読んで下さり、ありがとうございます。
ジョルジュ王子が来る前の……、嵐の前の静けさ……。




